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最近の夜の過ごし方

誰かとお酒を飲みながら夜を過ごすのが好きなわたしだが最近は健康面と懐事情を考慮して家で過ごすことを増やそうと考えている。
とにかく、このところの物価高は貧民にとって恐ろしいものがあり、これまでのように遊びまわるわけにはいかなくなった。

そんなことから最近はとにかく映画や海外ドラマを観てゆるゆると過ごそう、そんなふうに考えたのだ。
映画はジム・ジャームッシュやジャン=リュック・ゴダールなどが大好きで出てくる俳優たちのファッションを真似たりしていたのだが30代中盤からSFものを小学生ぶりに観る機会が増えた。元々好きではあったのだがドンパチやる感じに飽き飽きして観るををやめていたのだ。
ところが歳も歳だしあとは老いていくだけ。子供の頃のような純粋な楽しみ方をしようなんて考え始めるともう止まらない。探し始める。昔観たものも含めて楽しくなる。

そんななかで皆さん、ご存知かと思うがここで紹介したい。

ソラリス

この作品、ノスタルジーが半端ない。
1971年に公開された「惑星ソラリス」は、アンドレイ・タルコフスキー監督によるSF映画で、スタニスワフ・レムの小説「ソラリス」を原作としている。この映画は、単なるSF映画にとどまらず、哲学的・心理学的なテーマを深く掘り下げる作品だ。

物語の中心にあるのは、宇宙ステーションで働く科学者たちが、謎の惑星ソラリスの影響を受け、過去の記憶や未解決の感情と向き合わざるを得なくなるという設定。ソラリスの海は、彼らの心の奥底に眠るトラウマや未解決の問題を具現化する力を持っている。

「惑星ソラリス」は、当時のSF映画とは一線を画す存在感を放つ。ハリウッドの派手な特撮とは異なり、タルコフスキーは映像美と静かな語り口で、観客を引き込む。彼の作品には、過去や記憶に対するノスタルジーが色濃く漂っている。特に、主人公クリス・ケルヴィンが過去の恋人ハリーとの再会を通じて、自身の内面と向き合うシーンは、見る者に深い印象を与える。

また、タルコフスキー特有の長回しや自然光の利用、静謐な音楽など、視覚と聴覚を通じて、観客に時間の流れや感情の深さを体験させる手法も特徴的だ。これらの要素は、映画全体に独特の詩情を与え、「ソラリス」をただのSF映画ではなく、一種の詩的な瞑想と呼ぶにふさわしい作品に仕上げている。

「惑星ソラリス」は、見るたびに新たな発見がある映画であり、その深いテーマ性と映像美は、今なお多くの映画ファンに愛され続けている。タルコフスキーの他の作品同様、ノスタルジーに満ちたこの映画は、時を超えて心に残る名作だ。

ラ・ジュテ

「ラ・ジュテ」(La Jetée)は、1962年にクリス・マルケルが制作したフランスの短編映画で、SF映画の中でも特にユニークな作品だ。この映画は、モノクロの静止画を連ねた形で構成され、わずか28分の中に深い物語を詰め込んでいる。

物語は、第三次世界大戦後のパリを舞台にしている。人類は地下に避難し、科学者たちは時間旅行の実験を行っている。その実験の被験者となる主人公は、幼少期にオルリー空港で目撃した女性のイメージに取り憑かれている。彼はその記憶を頼りに過去に送り込まれる。

過去に戻った彼は、その女性と出会い、短いながらも幸福な時間を過ごす。しかし、科学者たちの目的は彼を未来にも送り込むことであり、実験のために再び時間を飛び回ることになる。最終的に、彼は自分が子供の頃に見た男性が実は自分自身であり、その瞬間に死を迎えるという悲劇的な結末に至る。

「ラ・ジュテ」は、その独特の形式と語り口で多くの映画ファンに強い印象を残している。映画全体が静止画で構成されているため、一枚一枚の画像が観客に強烈なビジュアル体験を提供する。これにより、物語の中で描かれるノスタルジックな要素や、記憶の曖昧さ、時間の不可逆性といったテーマが一層強調される。

さらに、「ラ・ジュテ」はテリー・ギリアムの映画「12モンキーズ」に大きな影響を与えたことで知られている。ギリアムの作品もまた、時間旅行と記憶を中心に据えた物語であり、マルケルの独創的なビジョンを受け継いでいる。

短編映画でありながらも、「ラ・ジュテ」はその詩的な語り口と斬新な映像表現で、多くの映画ファンや批評家に愛され続けている名作だ。ノスタルジー、愛、時間のテーマを見事に織り交ぜたこの作品は、SF映画史においても特別な地位を占めている。

Code46

「コード46」(Code 46)は、2003年に公開されたマイケル・ウィンターボトム監督のSF映画で、ディストピア的な未来社会を描いている。この映画は、遺伝子工学と社会統制が重要なテーマとなっており、近未来の社会構造や個人の自由、倫理的な問題に深く切り込んでいる。

物語の舞台は、厳格な社会規制とテクノロジーによって管理された未来都市。この世界では、遺伝子操作が進んでおり、人々は「パプ」を使って都市内を移動する。映画のタイトルである「コード46」は、遺伝的に近い関係にある者同士の生殖を禁止する法律を指している。この法律に違反すると厳しい罰が科される。

主人公のウィリアム・ゴールド(演:ティム・ロビンス)は、保険調査員として働いており、不正な保険証を発行している疑いのある人物を調査するために上海に派遣される。そこで彼はマリア(演:サマンサ・モートン)と出会い、彼女がその不正に関与していることを知りながらも、彼女に惹かれていく。

二人の関係が深まるにつれ、ウィリアムはマリアが自分の母親のクローンであることに気づく。これは「コード46」に違反しているため、彼らの関係は法律によって禁じられていることが明らかになる。ウィリアムは道徳的な葛藤と社会的な制約の狭間で苦しむことになる。

「コード46」は、クールな映像美と未来的な世界観を持ちながらも、人間関係や倫理的な問題を中心に据えた作品だ。映画は、テクノロジーと社会統制が人間の自由や感情にどのような影響を与えるかを探求している。また、都市と自然の対比や、近未来的なガジェット、言語の混在など、細部にわたるディストピア的なビジョンが印象的である。

この映画は、SF映画の枠を超えて、現代社会における倫理的な問題や個人の自由に対する問いかけを行っており、その哲学的なテーマとビジュアルの美しさで多くの観客に考えさせる作品となっている。

ダーク・マター

これは最近見始めた作品。Apple TV+でやってるんだけど面白い。元はブレイク・クラウチの小説だだが小説の方は読んだことがない。
ストーリーは、シカゴに住む物理学者であり教授であるジェイソン・デッセンが、ある夜、自宅へ帰る途中に謎の男に拉致されるところから始まります。目が覚めると、彼は自分の人生とは全く異なる現実に直面する。その世界では、彼は独身の有名な科学者であり、妻ダニエラとは結婚していないというなんとも不思議な感じになっている。
iPhoneでも観られるができれば大画面で見てほしいと思う。やっぱり迫力が違うから。


とにかくただ飲みに出歩くよりもまた違って特別感に浸れるのがいい。
ぜひ、これらの映画・ドラマを観てほしい。
静かに1人で、家族や友人と、特別な時間になるはずだ。欲を言えば、外で雨が降っていると更に良いと個人的には思う。

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