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価格の裏側。価値はどう作られている?

こんにちわ。隆之です。
私たちは日々、無数の製品とサービスの消費に選択をせまられています。
価格、値段は分かりやすい指標です。高いものはいいものなのでしょうか?
私達が手に取るものは価格と価値がつりあっているのか、再考してみましょう。

本記事では、私が携わっているモノづくりの視点から、生産コストや販売戦略がどのような仕組みで行われているかを考察します。
製品の価格設定に隠されたメカニズムを解明し、価値のある商品に出会える人が一人でも増えたらと思います。

価格設定の背景: マーケティングと生産能力

マーケティング戦略の影響

製品の価格設定は、シンプルに製作原価から売値を設定しているわけではありません。
消費者の感情、期待、そして購買意欲を高めるために緻密に計画された戦略の上で決定します。

例えば、高級なハンドクリームと、一般的なハンドクリームの価格差はブランドイメージやパッケージデザイン、広告キャンペーンを通じて作られています。これらの戦略は、消費者に製品の使用によって得られる満足感やステータスの向上を暗示して、結果として価格と価値の認識を変えることができます。

生産能力の役割

一方で、製品の価格は企業の生産能力や効率性にも大きく依存します。効率的で高度な技術で生産できれば、安定して高品質な製品を低コストで提供することが可能になります。

手作りのニットと工場で作ったニット。
コストはどちらが高いでしょうか?
品質が安定しているのはどちらでしょうか。

企業の生産技術や生産キャパでコストは決まります。製造コストが低いものは安価で売られる傾向がありますが、必ずしも安いものが質の悪いものということでは有りません。

製品の歴史と価値

ドラム式洗濯機と縦型洗濯機

ドラム式洗濯機の市場導入は、洗濯機技術における大きな革新でした。その設計と機能は従来の縦型洗濯機と大きく異なり、衣類を傷めずに乾燥まで備え節水や手間の省力化など、多くの利点を消費者に提供します。

しかし、ホコリなどで故障してしまうなど、まだまだ成熟しきれていない商品でもあります。まだ成熟していない製品は、さらなる革新を提供することで価値を向上させることができます。メンテナンスも楽で弱点のホコリを克服したドラム式洗濯機が市場に投入されれば他の洗濯機より高価に設定する事ができます。

これらの革新には研究開発費や新技術の導入コストを価格に反映させる必要もあり、結果としてドラム式洗濯機は縦型の洗濯機と比べて高価格帯の製品となりやすいわけです。

製品自体の機能価値より、技術革新が消費者の価値認識や価格設定に影響を与えているということです。

一方縦型の洗濯機に革新的なものがなかなか出てこないのは、製品が長い歴史を持ち成熟している分、新しい技術の投入余地が少なくなっているからです。そういった場合は品質を維持しつつ低コストで製品を作る技術を開発し、価格を押さえたリーズナブルな製品を作るか、低コストで利益性の高い製品を企業は目指すことになります。

それが、縦型洗濯機が安価な理由で、コストパフォーマンスが高いと言えます。

釣り用のリール: スピニングリールとベイトリールの比較

釣りリールの世界では、スピニングリールとベイトリールがそれぞれ異なる歴史と市場ニーズに応える技術革新を遂げてきました。

スピニングリールもその長い歴史の中で高い完成度を実現し、安価なものでも信頼性の高い性能を提供できるようになりました。初心者の方でも扱いやすくトラブルが少ない良質なリールになっています。

ベイトリールは特定の釣法や高度な技術を求めるアングラー向けに開発が進められており、新しい機能やカスタマイズ性が追求されています。このような製品は性能を求めるニーズが高く上位モデルを選択することが釣りを快適にするので、価格は比較的に高くなります。

最近は低価格帯でも使いやすいリールが出てきましたが、昔はルアーフィッシングでは安価なベイトリールは使いにくい事が多かったです。

製品の歴史や技術発展も価格設定にかかわるということですね。

価値を見極めよう

消費者として賢い選択をするためには、価格の背後にある製品の本質を理解することが重要です。製品の品質、性能、使用感だけでなく、その製品が提供する経験や満足度を評価することが、真の価値を見極める鍵となります。
また、製品の生産背景や企業の技術力、ブランド哲学に目を向けることで、製品選択時の新しい物差しを手に入れることができます。

価値分析(VA)と価値工学(VE)

私たちのモノづくりの工場では、製品を開発する上で価値の分析を行います。

価値とは、製品やサービスが持つ「機能」に対する「コスト」の比率であり、高い価値を持つ製品は、少ないコストで大きな機能を提供します。この価値を最大化するために、私たちは「価値分析(VA)」と「価値工学(VE)」という手法を用います。

価値分析(Value Analysis, VA)

価値分析は、既に市場に出ている製品の価値を高めるために行われる手法です。製品を構成する各部品や機能と製作工程を分析し、コストを削減しつつ必要な機能を維持または向上させる方法を探ります。
無駄なコストが発生している部分を特定し、より効率的かつ経済的な代替案を検討します。
例えば、機械で削っている部品を金型で成形する事でコストをおさえるなどです。

価値工学(Value Engineering, VE)

一方、価値工学は、製品の設計段階で価値を最大化するために用いられる手法です。製品の機能を満たすための最もコスト効率の良い方法を見つけ出すことを目指します。VEは、製品の開発初期に行うことで、コスト削減、品質向上、

生産性向上などの効果を狙います。

消費者にとっての意味

VA/VEを通じて価値の高い製品が提供されると、同じ金額でより多くの機能や、より高い品質、デザインの優れた製品を手に入れることができるようになります。
企業はVA/VEによりコスト削減を実現し、競争力を高めることができるのようになる。
つまり、製品の価値を高めることで、企業と消費者の双方にメリットをもたらすわけです。

価格と価値は常に等価ではない

コストパフォーマンスを最大化し、消費者にとっての価値を高めた製品がたくさんあります。
価格が高いから価値が高い、安いから価値が無いとはいえないのです。

価格の背後にあるこれらのプロセスを理解して、価値の高い消費をできる手助けになれば幸いです。自分に必要な物を明確にして、機能とか価格を比較して選択する事は、資産を守り豊かな生活を形成する手助けになります。

最後までお読みいただきありがとうございます。この記事がお役に立てれば幸いです。
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ありがとうございました。

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