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第一回 ルアーフィッシングから学ぶ、ビジネス戦略


私は20年以上にわたりルアーフィッシングを楽しんできました。川、海釣り、餌釣りにも手を出しました。そんな釣りという趣味を通じて、現在務めている工場長というポジションで経営戦略を学んだ時、多くの共通点を感じることがありました。

釣り人が環境を読み解き、適切なルアーを選び、さまざまな要素を考慮に入れて魚を釣る事は、ビジネスにおける戦略的思考と同じであると感じました。今回は釣り経験がある人の方が理解しやすい内容だと思います。



はじめに、釣りと経営の共通点

20年以上にわたりルアーフィッシングを楽しむ一方で、リサイクル装置のメーカーで工場長を務めています。釣りとビジネスは一見すると全く関連性がないように思えますが、長い間、この両方を行っていると、実は多くの共通点があることに気付きました。

たとえば、一つ目は”場所”の選択です。ルアーフィッシングにおける場所選びはターゲットを捉えるために最も重要な要素の一つです。一方、ビジネスでは、適切なターゲット顧客を見つけるためにマーケットセグメントを選ぶのが重要です。つまり、釣りにおける”場所”は、ビジネスにおける”マーケットセグメント”に対応しているのです。

二つ目は”道具”の選択です。ルアーフィッシングでは、使うルアーは常に一握り。要らないものをたくさん持っていくと、その分だけ手間となります。同様に、ビジネスでは、無駄な手法やツールを用意しすぎると、それがむしろ邪魔になることがあります。

三つ目は”情報”の扱い方です。ルアーフィッシングにおいて、最新のルアーがすぐに魚を釣ることを約束するわけではありません。それと同じように、ビジネスでは新しいトレンドやサービスが必ずしも成功を約束するわけではないのです。

それでは、これらの共通点について、もう少し詳しく見ていきましょう。

第1章:場所選び、魚のコンディション、そしてマーケットセグメンテーションとペルソナ

まず、場所選び。これは釣り人が最初に考えることですね。どこに行けば目指す魚がいるのか。しかし場所選びだけではなく、その日の天候や時間、そして魚のコンディションまで考慮しなくてはならないのが釣り。水温や水流、餌の種類など、魚の活性に関わる要素は多岐にわたります。これら全てを読み取り、魚の存在を予測するのが釣りの楽しみ方であり、技術だと思います。

ビジネスでも同じように、市場の”魚”を探すとき、単純に一つの要素だけで判断するのではなく、多角的に考えることが必要になります。これがマーケットセグメンテーションです。

また、ここで重要なのがペルソナの作成。ペルソナとは、具体的な顧客像を想定し、その人がどんなニーズを持っているのか、どんな問題に直面しているのか、どんな情報源から情報を得ているのかなどを詳細に描き出すこと。ペルソナは製品やサービスの開発、マーケティング戦略、コンテンツ制作など、ビジネスのさまざまな場面で活用される。

釣りで言えば、魚のコンディションを考えるのがペルソナの作成に相当します。どの種類の魚が、どんな状況で、どんなルアーに反応するのか。その理解が深まれば深まるほど、自分のルアーが魚にとって魅力的なものになります。

つまり、ルアーフィッシングにおける場所選びや魚のコンディションを読み解く技術は、ビジネスにおけるマーケットセグメンテーションやペルソナ作成と非常に似ていると言えると思います。

第2章:必要な道具を選ぶ - 無駄を削ぐ戦略


釣りもビジネスも、成功への道のりは適切な道具選びから始まります。釣りではロッド、リール、ルアーなどの選択が求められ、それぞれの道具が釣りの結果に大きな影響を与えます。ビジネスでも同じ。適切なソフトウェアやハードウェア、人材などを選ぶことで、より効率的に目標に向かって進むことができます。

では、どのようにして適切な道具を選ぶべきでしょうか。釣りにおいては、まず自分がどのような魚を狙い、どのような環境で釣りをするのかを明確にすることが必要です。例えば、深海で大型の魚を狙うのであれば、それに適した強靭なロッドと大型魚に対応できるリールが必要になります。同じように、ビジネスでも自社の目標やビジョン、ターゲットとする顧客層を明確にしておくことで、必要な道具を選び出すことができます。

一方で、道具選びにおいては「無駄を削ぐ」ことも大切です。釣りでは必要以上に多くのルアーを持っていても邪魔になるだけで、実際に使用するのは一部だけです。同様に、ビジネスでも必要ないものに投資しすぎてしまうと、結果的には資源の無駄遣いにつながります。ここで大切なのは、目の前の課題に対して最も効果的な道具を選ぶこと。これが無駄を削ぎ落とす戦略なのです。
状況に適した道具を持つことは重要ですが、必要以上に多く持つことは効率的ではありません。どんな状況にも使える”万能ルアー”なんて存在しないので、多くのルアーを持つというのは魅力的に見えますが、それはたいていの場合、自分自身の不安からくるものです。

釣り師がルアーを選ぶように、ビジネスパーソンもまた自社の状況に合わせて最適な道具を選び出す。これが成功への一歩となり

第3章:情報過多から必要なものを選ぶ

現代社会は情報が溢れている。スマホの通知、SNSのタイムライン、そしてメール。日々私たちは数え切れないほどの情報に触れている。それはとても便利な一方で、意識ていないと自分が情報に振り回されてしまう可能性があるでしょう。

例えば、あなたが釣り具店に行ったとします。店内は色とりどりのルアーでいっぱい。そして、売り場の隅には「〇〇プロおすすめ!」と書かれた一角がある。さらには「売れ筋商品!やっと入荷しました!品切れ続出!」という看板が。これらの情報に惑わされずに、自分が本当に必要なルアーを選べるでしょうか?

ここで大切なのは、自分が”釣られてしまわない”こと。プロがおすすめするルアーも、品切れ続出のルアーも、それらが自分にとって本当に必要なものなのかを見極める必要があります。情報に惑わされず、自分自身で判断することが重要です。

これはビジネスにおいても同様です。情報が溢れる中で、自分がどの情報を選ぶか、どの情報に反応するかは、自分自身の力で決めることが重要です。自己判断力を持つことで、情報に振り回されずに自分のビジネスを進めることが可能になります。

情報過多から必要なものだけを選ぶ力、これは釣りにおいてもビジネスにおいても大切なスキル。自己判断力を身につけ、自分自身を信じて進むことがです。次の章では、差別化戦略について考えていきましょう。

第4章:差別化戦略 - みんなとは違うルアーを投げる

差別化というと、難しそうなビジネス用語を思い浮かべるかもしれません。しかし、実際は釣りにもぴったり当てはまる概念なのです。釣りで差別化戦略をとるとは、つまり他の人とは違うルアーを投げてみる、ということ。

釣り人の中には、他の人が使っているルアーを見て、自分も同じものを使おうとする人がいます。それはそれで間違いではありません。
しかし、そのやり方で本当に釣りたい魚を釣ることができるのでしょうか。

他者とは違うルアーを使う事で、他の人とは違うアプローチができるようになります。みんなが使っている見切られたルアーよりも、魚を釣るチャンスがあるかもしれませんし、何より自分の釣り方を楽しむことができます。

ビジネスでも同じです。他社の真似をしていては、自社の個性や強みを活かすことができません。自社だけの特色を活かすことで、競争相手とは違う商品やサービスを提供できるようになります。これが差別化戦略。

そして、自分だけの差別化戦略を持つことで、市場での自社の存在価値を高めることができます。お客様に選ばれるためには、他の選択肢とは違う、特別な何かを提供することが重要なのです。

釣りで差別化を図るとは、周りと異なるアプローチをするということ。ビジネスで差別化を図るとは、自社だけの商品やサービスを提供するということ。両者は本質的には同じ。釣りからビジネスへ、その考え方を活かしてみるのも一つかもしれませんね。

第5章:ルアーローテーション - 変化に対応する柔軟さ



釣りとビジネスの比較を続けていきましょう。今度は、ルアーローテーションについて考えてみます。釣りにおけるルアーローテーションは、同じ場所で同じ魚種を狙っていても、常にルアーを変えていくこと。それは何故かと言うと、魚に飽きられないようにするためです。また、状況によって最適なルアーは変わる事もそうでしょう。

魚の活性や気候、水温や季節など、色々な要素がルアーの選択に影響を与えます。したがって、決まったルアーだけを使い続けるのではなく、状況に応じてルアーを変えていく柔軟さが求められるのです。

ビジネスでも同じことが言えます。市場は常に変化していて、消費者のニーズも時と共に変わっていきます。一度成功した戦略をひたすら繰り返すのではなく、時代や市場の変化に対応して、戦略を見直す柔軟さが求められます。

いくら素晴らしい商品やサービスでも、それが市場のニーズに合っていなければ、消費者から選ばれることはありません。そのためには、常に市場の変化を見て、自社の戦略を適宜調整していく必要があります。

ルアーローテーションの考え方をビジネスに生かすとは、つまり、変化に対応する柔軟さを持つということ。それが、企業が長期的に成功を続けるための重要な要素と言えるでしょう。

第6章:結果の評価 - PDCAサイクルの重要性

さて、私たちのビジネスと釣りの比較はまだまだ続きます。ここでは、結果の評価について話してみましょう。

釣りで大事なのは、結果を適切に評価すること。例えば、一日中釣りをしても何も釣れなかったとしましょう。その時、ただ単に「運が悪かった」と結論付けるのではなく、なぜ釣れなかったのかを深く考えることが大切です。使用したルアー、釣り場の選択、その日の天候など、色々な要素を評価することで、次回に生かすことができるのです。

これは、ビジネスにおいても同様です。企業がプロジェクトを実施した後、その結果をただ受け入れるのではなく、適切に評価することが重要。特にPDCAサイクル(Plan:計画, Do:実行, Check:評価, Act:改善)という考え方は、企業活動の効果を最大化するために非常に重要です。

「Check」のステージでは、企業はプロジェクトの結果を評価し、何がうまくいき何がうまくいかなかったのかを理解します。そして「Act」のステージでは、その評価結果に基づいて改善策を考え、次回の「Plan」に反映させます。

このPDCAサイクルの繰り返しにより、企業は継続的に改善し、成果を最大化することができます。釣りでもビジネスでも、結果を適切に評価し、改善につなげていくことが成功への鍵となるのです。

各章のまとめ


1. 釣りとビジネスの類似性
釣りとビジネスはどちらも成功するためには戦略が必要。市場分析をはじめとする様々なビジネス戦略は、魚のコンディションを考える釣りと非常に似ていると言える。

2. ビジネスの理解
ビジネスは単に利益を追求するだけでなく、消費者のニーズに答え、競争相手と差別化するという要素も含む。これは、魚種や天候によってルアーを変える釣りと共通する。

3. 市場分析の重要性
どの魚種がどのルアーに反応するかを理解することは、どの顧客がどの商品やサービスに反応するかを理解することに繋がる。

4. 差別化戦略
すべての釣人が同じルアーを使っている場合、同じ結果しか得られない。これは、競争の激しい市場において自社を際立たせるためには差別化が必要であるというビジネス原則と一致する。

5. ルアーローテーションの重要性
魚の反応を見てルアーを変更することは、ビジネスにおける柔軟な戦略変更と非常に似ている。

6. PDCAの回す重要性
釣りでの成功要因を分析して次回に活かすことは、ビジネスにおけるPDCAサイクルと重なる。これらを通じて、効率的な結果を生み出すための方法を見つけることができる。

終わりに


この記事を通じて、ビジネスと釣りの深い関連性について理解を深めていただけたら嬉しいです。特に釣りの経験がある方々には、各章で取り上げたポイントが身近に感じられ、新たな視点を得られたのではないかと思います。これらが皆さまのビジネス、そして釣りへの情熱を一層深めるお手伝いとなったら、私としても大変うれしいです。

最後まで読んでいただいた皆さまへ、心からの感謝の意を表します。この記事が何らかの形

で皆さまのお役に立てていたら幸いです。
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