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トリビアという抵抗

トリビアという言葉は、以前放送されていた『トリビアの泉』という人気番組の影響で、日本ではよく知られた語彙ですね。

ご存知の方も多いかと思いますが、トリビア(trivia)とは、「つまらないもの、取るに足りないもの、無駄知恵、雑学的知識」を意味する英単語ですが、その語源は、「tri=3, via=道」、つまり「三叉路→「(三叉路のように)どこにでもあるもの」→「ありふれたもの、つまらないもの」という流れがありようですが、これこそがトリビアですね。
 
さて、このトリビアという語彙ですが、実はこれ、心理カウンセリングの専門用語としても使われる概念です。
 
なんだかまたトリビアになってしまいましたが、どうか読み続けてください。この記事全体がトリビアとかいうオチではありませんので。これから、きっと皆さんの日常生活に役立つお話をしていきます。

カウンセリングルームで、クライアントさんは実にいろいろなお話をしてくれますが、時として、セラピストは、「このクライアントが今話してるのはトリビアかな」、などと推測したりします。
 
ここでいうカウンセリング用語としてのトリビアは、「その人が本来話すべき本題や問題の核心とはあまり関係のない、発展性のない話」というような意味です。 
 
ところで、私がこの記事を最初に書いたのは今から16年も前の話で、セラピストとしても随分若かったので、今現在の私の見解とはだいぶ異なります。
 
「その人の問題の核心とは全然関係のない発展性のない話」は、確かに存在しますが、そう判断するには本当は細心の注意が必要であり、当日私が思っていたよりも、「トリビア」と解釈すべきケースはずっと少ないことが長年の臨床経験で分かりました。
 
それから、「これはトリビアだ」と確信した時に取るスタンスも、今と16年前とではだいぶ異なります。お勧めしたいのは現在私が取っているスタンスです。こうした但し書きを加えた上で、トリビアについて考察していきます。
 
ちなみにこの「トリビア」現象についての知識と理解は、カウンセリングの実践のみでなく、私達の日常生活の人間関係においてもとても有効なものです。

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