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読書1 『神さまを待っている』


畑野智美著

大学卒業まで就職活動を続ける。何10社も受けた。愛はそれでも就職先が決まらず、派遣会社に登録をして、文房具を開発している会社に勤めている。派遣可能期間は3年と定められていて「3年後には正社員にすることを検討する」と、約束されていた。ところが、3年たった今、会社の業績が悪化したため、正規社員登用の話はなくなってしまう。

さほど、贅沢な暮らしをしているわけてはない。しかし、アパートの更新や立て続けに友人の結婚式など、何かと出費が重なっていた。さらに税金や保険の請求もあり、アパートの家賃の支払いが厳しくなる。そして、仕方なくアパートを解約することなった。

「新しい仕事を見つけるまで」のつもりで、漫画喫茶で寝泊まりする。そこで、愛と同年代くらいのマユと親しくなり、それまで知らなかった方法で、お金をを稼ぐことを教えてもらう。

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いろいろなことが、うまくつながっていなくて、差し伸べてくれる手はあったのだけれど、すべて受けつけられなくなってしまった愛には届きませんでした。

「自分だけがどうして」と思ってみたり、同じような境遇の人に「自分の方がまだマシ」と思ってみたり。やっていることがいけないことだと、わかっているのにやめられなかったり。うまくいかないことを誰かのせいにしたくなったり。「私は違う」と思ってみたり。愛の心の中をあらゆる感情が叩きつけます。きっと自分の中にも、ずっとずっと奥の方に、こんな風に思ってしまうことがあるような気がしました。

なぜ?と思ってみても、それは本人にしかわからないことで、だけど、誰かの助けがないと救われないことも多くあります。簡単に抜けられると思っていたのに、どんどん陥っていきます。

自分のことでいっぱいいっぱいだった愛が、環境が整ったことで、少しだけ余裕ができた時に、苦しんだりもがいたりしている人を目の当たりにして「何とかしたい」と思えるようになった変化に、救われた気がしました。

#読書
#畑野智美
#神さまを待っている

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