オリジナルプロテイン開発

ぼくの勤めているパーソナルジムにて3月13日より、ぼくが一から開発したプロテインの販売を始めた。

2012年10月14日からこの “自社オリジナルプロテイン開発プロジェクト” が始まった。ぼくはBossより商品開発部 と任命された。

それから515日。
実に1年と150日だ。
ひとつの商品を作るというのは時間がかかるのね。

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まず初めにOEM製造を提携してくれる製薬会社を6社選んで、電話やメールで連絡を取った。そしてプロテイン開発にかかる期間やコストの確認をおこない、OEM提携パートナーを絞った。

各企業の担当者によって、説明が簡潔でわかりやすかったり、不機嫌そうな雰囲気が受話器越しに伝わってきたり、提示された開発コストがあまりにも高くて驚いたり…
初めの工程から新鮮で面白かったなぁ。

それからは
プロテインの種類や、どのような成分をどれだけの量入れたいのか、ターゲット層、また販売価格などを話し合いによって明確にしていく作業をおこなった。

今回の商品はヘンプ(麻)を使ったプロテインパウダーである。
しかし、開発し始めた3ヶ月間はソイプロテインをベースとしたものを作ろうとしていた。

なぜソイプロテインからヘンププロテインと路線変更をしたのだろう?

日本で流通している大豆の94%は輸入品でありそのほとんどが遺伝子組み換えのもの。
それじゃあ遺伝子組み換えではない国産大豆を使おう!となったのだが、
国産大豆のパウダーはコストがかかりすぎ、また大豆そのものを粉状にするのも予想コストを大きく超えていた。

そこで思いついたのがヘンプであった。
植物性であり、環境にも優しく、遺伝子組み換えでもなかった。
また、コストの面でも問題ではなかった。

”第4のプロテインとして売り出そう!”
なんて盛り上がっていたなぁ。

それからは
各成分の最適な量とは?
完全オーガニック化しようとして揉める
人工甘味料や香料を除くという条件のもと味をどうするのか
スーパーフードのパウダーを使えないか?

などなど、Bossとも製薬会社担当者とも話した。

多くの方は経験したことであるだろう、この “サンドイッチ状態” が非常にきつい。

・上の兄弟と下の兄弟の顔色を伺う次男
・キャプテンの言うことを聞きつつ、部員をなだめる副キャプテン
・社長の発言を真っ向から否定はできないが、部下の意図も汲みたい部長

このようなポジションの人を “サンドイッチ状態" なんて読んでみた。

このサンドイッチ状態、なかなか難しいポジションなのよ。


Bossの主張を理解し製薬会社担当者に伝え、
”このような条件によりそれは使用できません”
と言われ、それをBossに伝えるとまた違う意見が出てきて、また担当者へと伝え、また断られて…
そんなことが頻繁にあった。

ようやくプロテインに使う成分と量が決まったと思ったら、ロシアのウクライナ侵攻によって、いくつかの成分が値上げしていて変更をせざるをえなくなったり…


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隣の市へ行ったこともあった。
生まれて初のロングドライブで、とは言っても70分くらいのものであったが隣の市まで車の運転をした。

赤ビーツの栽培をしている農業の社長へと交渉へ行くためだった。

なんとこの農場は、国内で2つの農園しかおこなえていない無農薬での赤ビーツ栽培をしている農家のひとつなのである!

ぼくの勤めているジムについて、アスリートのトレーニング実績、どのようなコンセプトでプロテイン開発をしているのか、そしてなぜそこに無農薬赤ビーツが欠かせないのか…
社長に説明させていただいたうえで

”どうか御社の赤ビーツパウダーを弊社のプロテインに使用させてください”

社長はにこやかにこちらの依頼を快諾してくれ、そのままぼくを実際に赤ビーツを栽培している畑まで車で連れて行ってくれた。

社長の経歴や、なぜ今の事業をしているのか、オレゴン州に留学経験があるという共通の話など話題が大変盛り上がったことを覚えている。


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そんなこんなで
予定の変更、内容の吟味、赤ビーツの使用許可、味が完成するまでの数えられないほどの試作製造と試飲

揉めに揉め、ようやく完成したヘンププロテイン。

販売し始めて5日が経過したが、反応も売れ行きも大変好調である。

会員さんが目の前で試飲をしてくれて、正直な感想を伝えてくれて

”今日このまま買って帰れるんですか?ひとつ買いたいです!”

なんて言ってくれた時にはものすごく嬉しいのだ。
嬉しさ込み上げちゃう。

だが、そんなすばらしい環境ともお別れの時が近づいている。
残り2週間でここを離れる。

今回開発したヘンププロテインは、多くの人の健康をサポートするような大きな商品へと成長してほしい。

ぼくが去る前に直接会員さんへと渡せることが嬉しいな。


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