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郷に入ってはー

”水を落とす” というフレーズを耳にしたことはあるだろうか?
ピンとくる方は生まれ育った環境が雪国でしょ。

”ちょいとお母さん、今夜は氷点下になるってよ。水落としておいた方がいいんでないかい?”

北海道の訛りを表してみたつもり
ーでないかい?ってとこね!

例文でわかった人もいるかもしれない、どうだろう?


氷点下を下回ると水道管が凍ってしまい、キッチンもトイレもシャワーも、水道という水道がすべて使えなくなってしまう。

それだけでも不便だというのに、最悪の場合は設備が損傷したり、水道管が破裂してしまうこともあるという。
なんてこったい。


それでそんな水道管凍結を予防するために行うのが ”水落とし”

手順1:家の中の蛇口を全て閉める
手順2:水抜栓を操作する(完全にハンドルやレバーが止まるまで閉める)
手順3:家の中の蛇口を全て開ける(トイレのレバーなど含め全て開ける)
     手などをあてて蛇口が軽く空気を吸い込む感触を確認する
手順4:家の中の蛇口を全て閉める

これが正規の手順のようだが、開けたり閉めたりかなり大変そうね。

そんな話を聞いたぼくは、札幌で迎えた初めての冬、マンションの大家さんに “水の落とし方” を聞きに行ったのだ。

そしたら

”いやいやー、札幌は平気だよ。このマンションは建ってから25年も経つけど、水道管が凍ったことなんてないよ”

と笑いながら教えてくれた。


その冬の年末、水を落とすことなく6日間部屋を空けたのだが、水道にはなんの問題もなかった。

(よかったー、マンション暮らしなら問題ないのか。豪雪地帯や一軒家の人は大変だなぁ)

なんて軽く考えていたのだが…

𓅟𓅟𓅟

今から約1ヶ月前

”日本列島に10年に一度の最強寒波到来!”

なんてニュースが報じられた。

その日の会員さんとのパーソナルトレーニング中にも

”私は一軒家に引っ越してから初めての冬なんだけど、水は落とした方がいいかなぁ?マンションなら心配いらないんだけどねぇ”

”そうですよね、マンションなら他の部屋も温まっていますし、凍結まではねぇ”

そんな会話をしていた。


と、ところがである!

帰宅してから弁当箱を洗おうとすると、水道からいつも通りに出ていた水がだんだんと弱くなっていくじゃないの。え?

(いやいや〜、そんなはずないよねぇ)

洗面台へと移動して水道を確認。
み ず が で な い!OMG!!

(水道管、こおった?)

よくよく考えてみると、電気料金の高騰をこわがり蓄熱暖房機を一切使うことなくそしてブレーカーすら切っていたぼくの部屋はキンキンに冷えていたのだ。

𓄿𓄿𓄿

生まれて初めて水道の使えない期間を過ごしている。
水道管凍結事件は1月25日なので、もう1ヶ月以上だ。


2週間ほど前、滅多に鳴らないスマホの着信音を聞き、出てみると

”◯◯不動産ですけれども、9階の住人より水道が出ないとの報告を受けておりまして、調べてみたところ8階のあなたの部屋から水道管が凍結しているということがわかりまして…あのまだ住んでらっしゃいますよね?”

最後の一言は強烈である。
冬の間、道民は家の中を暖かくしてアイスを食べる 
なんて耳にしたことがあるが、そういう人からしてみれば水道管が凍るような部屋は無人だと感じたのだろう。

苦笑いをしながら応答していると

”修理代がだいたい3万円ほどになるかと思いますが、ご請求は…”

なんてさらに強烈なことを聞かれた。

節電し、部屋の中でもアウターを着続けていたあの苦行をよそに、よりによっていちばん寒いタイミングで3万円を請求されるとは。
給料の1/6である。

大変痛い勉強代となった。のである。

水道は修理されたようなので、オンラインセミナーをおえたら廊下の元栓をひねってみよう。


ぼくの頭の中には ”郷に入っては郷に従え” という諺が響いている。ガーン。


イラストについて
両手で雪を持っている様子を描いてみた。けれどもカビを抱えているようにしか見えないのが不思議である。色が濃過ぎたかなぁ。

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