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今年の札幌ドームのフェンス直撃数からエスコンフィールド移転後の影響を考える

来シーズンからエスコンフィールド北海道に移転します。開閉式の屋根やガラス張りの壁など様々な魅力を持つボールパーク。その中でも今回注目したいのは、その広さです。

セでPFが最も大きいのはヤクルトの本拠地・神宮の1・44で、最も本塁打が出にくいのは0・58だった中日のバンテリンドームナゴヤだ。パでは、ホームランテラス席を増設した際に左中間と右中間を狭くしたソフトバンクの福岡ペイペイドームが最も打ちやすく、逆が日本ハムの札幌ドームだった。

神宮球場は1・44、ナゴヤは0・58…パークファクターご存知ですか

この記事から、札幌ドームはPFが0.74とパリーグの中で最もホームランが出にくかったことがデータからも読み取れます。中田翔がフェン直査定を求めたことからもわかりますが、札幌ドームのそびえ立つフェンスは大田泰示や清宮幸太郎など数々の長距離砲のホームランを防いできました。

今季まで日本ハムの本拠地だった札幌ドームは両翼100メートルに加え中堅122メートル。日本屈指の広さを誇っていたばかりか、外野フェンスも5・75メートルと高く、これが今季〝フェンス直撃安打〟10本以上に及んだ清宮の本塁打数に少なからず影響を及ぼしていた。だが、新球場は左翼97メートル、右翼99メートルの非対称に加え、フェンスの高さも低減。特に右翼フェンスの一部は2メートル前後と低いため、左打者の本塁打が今季に比べ激増する可能性がある。

【日本ハム】新庄監督も心変わり? 清宮幸太郎〝レギュラー継続〟を浮上させた「外的要因」

しかし、上記の記事や公式の写真の雰囲気からエスコンは札幌ドームと比較すると若干狭くなり、フェンスはかなり低くなることがわかります。
札幌ドームでホームランを阻止された時の「札幌ドームじゃなければ入ってた…」、他球場でホームランを打たれた時の「札幌ドームだったら入ってなかった…」というファンの嘆きはなくなりますが、実際移転後はどれほどの影響があるのでしょうか。
なら今シーズンのフェンス直撃数を数えてみれば来シーズンの成績をある程度予想できるのでは?と意気揚々と調べ始めたところ、

なんとフェンス直撃数を集計して検証している方が。ということでめちゃくちゃ参考にさせてもらいました。集計の仕方など今回の手引きとなったnoteなのでぜひご一読ください。タイトル争いへの影響やテラス設置の是非など、めちゃくちゃ面白かったので全野球ファンにオススメします。

今回のデータも全てスポナビから集計しました。手作業なのでミスがあるかもしれませんがご了承ください。
スポナビに「フェンス直撃」「フェンスギリギリ」「フェンス激突」と記載されているものをエスコンでは全てホームランになるものと仮定しています。

フェンス直撃数ランキング

まずは打者から見ていきます。

1位はダントツで清宮。岸から放ったプロ初ヒットもそうでしたが、個人的にフェンス直撃の印象が強いので納得の結果です。10本以上損していたのは気の毒ですが、来季の爆発を最も期待できるバッターです。
2位は意外にも中距離ヒッターの近藤。長距離砲というイメージが強い野村・今川を上回る結果になりました。
3位以下は今川野村アルカンタラと長距離砲が並び、さらに今季大ブレイクの松本剛。そしてオリックスの中川や楽天の茂木が食い込んでくるという、中距離ヒッターが数字を伸ばす意外な結果に。
万波や山川、柳田、吉田正尚、浅村などパリーグを代表するパワーヒッターは1~2本に収まったのも意外でした。このレベルになるとフェンスなど関係ない打球を飛ばすのでしょうか。

フェンス直撃がホームランになった影響で延長や9回裏が発生しない場合、結果が消えることになるので打点がマイナスになった選手もいます。
他にもホームランになった影響で次の打者のタイムリーなどの打点が減る場合もマイナスになっています。
例:3月30日の西武戦の7回裏、一死1塁の場面での清宮の二塁打がホームラン(打点2)となるため、次の石井は一死2,3塁→一死ランナーなしに。本来一ゴロで打点1ですが、この打点は消えてただの一ゴロ(打点-1)としています。

フェンス直撃被本数ランキング

続いては投手です。

1位は追いロジンこと伊藤大海。今季は被本塁打が少ない印象でしたが、被本数も失点増加数も1位と札幌ドームの恩恵を受けた結果とも言えます。しかし投球回が多い以上被本数が増えるのも当然かと思います。
2位はエース上沢加藤井口松本という結果に。松本航がここに入ってきたのは予想外(失点も1しか増加しないのも意外)。またイニング数を考えると井口は多いなあという印象です。特に9月7日の8回無死1,2塁という場面、吉田正尚が井口から打ったフェンス直撃がホームランに変わり、万波のフェイクや福田の走塁ミスもなくなって敗戦に変わるのは印象的でした。
西武の松本以外は日本ハムの投手が上位を占めるという予想通りの結果でした。

打者と同様、延長に入らない場合、延長で失点した場合はその結果が消えて失点増加数がマイナスになっています。
後続の打者にタイムリーを打たれているなど、フェンス直撃がホームランに変わっても結果的に失点は増加しない場合は±0となっています。

チーム単位で見るホームランの増減

移転することで具体的にどれだけ本塁打と被本塁打が増えるのか、チーム単位で見ていきます。
順位が高いとエスコンでの恩恵が大きい(札幌ドームでは損した)チーム
低いとエスコンでの恩恵は少ない(札幌ドームでは得した)チームとなります。

増減を見ると、なんとファイターズが1位に!しかも2位とダブルスコアでダントツです。今季は若手長距離砲が順調に育ったので来季は更なる恩恵を受けるのは楽しみでしかないですね。
2~7位はほぼ差がありませんが、西武とロッテは少し抜けた数字になりました。この2チームはエスコンでの恩恵は少ない一方で、今季は札幌ドームに助けられたという結果になりました。

一方で得失点の増減を見ると、ファイターズは7位に沈む結果に。ホームランの増減は8も貯金を作りながらも失点は2増えるという微妙な結果です。
今季苦手だった楽天やオリックスが上位に来たのは意外でした。札幌ドームで損しながらもファイターズに大きく勝ち越されたのは悔しいものです。
得失点差を見ても西武・ロッテが今季は札幌ドームの恩恵を受けて得したことがわかります。

個人成績の変動(野手)

ここまでフェンス直撃数を見てきましたが、どのように個人成績が変化するのかという点を見てみます。

赤は増加、青は減少

まずは清宮.220台で31本70打点、OPSも.800を超えるなど圧巻の成績です。近藤は15本と見栄えがよくなり、OPSは.900を超えるリーグ屈指の好打者となります。フル出場すれば20本までありそうなペースです。
野村は2桁ホームランとなり、今川・万波はともに16本と底上げされています。このデータを見ると目先の率にこだわって小さくまとまらないでほしい、という気持ちが一層強まります。

ホームランに変わったことで延長に入らず、結果が変動した(消えた)ケースもあります。安打が消える場合は打率低下、凡退(打数だけ)が消える場合は打率上昇となっています。

個人成績の変動(投手)

防御率が軒並み悪化するのは予想通りでしたが、勝敗は大きく変わらないのが意外でした。特に投球回が少ない投手の防御率はかなり見栄えが悪くなってしまいました。上沢メネズは勝敗を良化させている点、伊藤のプロ初セーブは幻となってしまう点が印象的です。

フェンスギリギリのアウトがホームランになるケースは、投球回を3分の1減らした上で自責点を計算しています。
セーブやホールドもフェンス直撃がホームランになったという仮定で集計しています。

清宮幸太郎の成績を深掘りする

今季ブレイクを果たした清宮。シーズン中にはホームランの大半がライト方向ということがファンの間で話題となりましたが、フェンス直撃がホームランになればどう変わるのか見ていきます。

フェンス直撃13本のうち9本がライト方向以外という結果に。また、好調だった5月と9月にフェンス直撃数も増えるといったように、調子とリンクしていたこともわかります。
レフト方向は4本で、うち3本は9月と成長が見て取れます。オールスター第1戦の左中間に放ったサヨナラホームランがpaypayドームだったように、ある程度狭い球場なら軽く流すだけでホームランになりそうです。この辺りのバランス感覚が磨かれると率も残せるようになるのではないかと個人的に思いました。

4月9日は前のヌニエスがフェンス直撃の二塁打だったことから、本来は二死2塁だったものが二死という状況に変化したということで、二死(2塁)という表記になっています。

アウトがホームランになった数

ファイターズの選手だけですが、フェンスギリギリのアウトがホームランに変わった数も集計しました。これが多い選手は打率も底上げされています。なんと1位は執念先輩。来年は20本期待しています。

試合結果の変動

次にフェンス直撃がホームランになるという仮定で、どれほど試合結果に影響を及ぼすのか集計しました。

フェンス直撃が起こったのは64試合中44試合、割合で言うと69%という数字に。ちなみに直撃数1本は18試合、2本は15試合、3本は8試合、4本は3試合という内訳です。
エスコンであれば勝敗が変動していた試合をピックアップすると、その数は6試合という結果に。

引き分けについて
5月3日の元結果
2点ビハインドで迎えた9回裏
二死1塁 投手松井祐樹
近藤 中二塁打+1点 (フェンス直撃)
その後無得点に終わり、2-1で敗戦
変動後結果
二死1塁 投手松井裕樹
近藤 中本塁打+2点
その後無得点に終わる。本来ならば延長戦に突入するが、その後の記録がないため9回裏で打ち切りとし、2-2で引き分けとする。
他にも後続の記録がない場合は強制的に打ち切るものとしています。

4勝1敗1分が0勝4敗2分に。得失点差は-2とそれほど悪くなかったものの、結果は大きく悪化する結果になりました。

勝敗・順位への影響

勝敗の変動がわかったので、次に順位に反映させます。まずは今季の本来の順位です。

続いて変動後の順位です。

オリックス・ソフトバンクともに1勝ずつ伸ばしたものの、順位は変わらず。楽天も勝率を伸ばしましたが西武には及ばず。
一方でファイターズは負けが増えて勝率は4割を下回りました。これが死体蹴りか…

まとめ

今季エスコンを本拠地と仮定してフェンス直撃をホームランと換算した場合、本塁打は46本増えて被本塁打は38本増える得失点差は-2、勝敗は悪化するという結果になりました。
後続の記録がない場合は打ち切る、点差が変われば出てくる投手も変わるといった点である意味破綻しているので、あくまで仮定の話として読んでいただければ嬉しいです。
かなり長文となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

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