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収入について、水に喩えて考える~YouTuber=オワコン問題から

先日、たまたま目にした記事だが、なかなか面白い内容だった。

1247万回再生だったのに収益は328円という衝撃的な見出しに始まり、YouTuberが「稼げない仕事」に激変してしまった原因を探る内容であった。

いまやなりたい職業ランキング(個人的には、最も身近な職業ランキングとイコールだと解釈しているが)1位となり、名実ともに有名になってきた印象のあるYouTuberだが、稼げるかどうかはまた別問題のようである。

私自身、それ程YouTuberに興味があるわけではないのだが、ただ一方でこのニュースを見て色々思うところがあったのも事実。

ここから読み解いた私なりの解釈を、少し書き出してみたいと思う。

■『YouTuber=オワコン』以上に深刻な問題点

『YouTuberはオワコン』というだけで終わってしまっては勿体無くて、この記事の持つ本質的な問題点は、個人的には二つあるように思う。

1.収入源が一つ、もしくは少ないという点
2.その収入源を自分でコントロールできないという点

YouTubeを専業で行っているYouTuberがいるとしよう。

その人をダムの水に喩えるとすると、そこに注がれる川が一つしかないようなものである。

ダムの中に保てている水の量は、ビジネスで言えば、まさしく儲け(利益)であり、枯渇=資金ショート=倒産を意味する。

その唯一と言える川が先細りして、コントロールもできない状況こそが問題ということである。

こう考えていくと、これは何もYouTuberに限った話ではなく、全事業主に当てはまる問題だとわかるだろう。

もっと言えば、それこそ会社員もそう。なぜならその収入源は、あなたの勤め先ひとつしかなく、まさしくコントロールしにくいからである。

水源が豊富な時代はそれでも良かったのかもしれない。少しずつ水が増えることが約束されていることが終身雇用である。

ただ、それが崩壊した今、それは必ずしも正解とは言い切れない部分はあるだろう。

つまり、YouTubeに限らず、他人任せの水源一つに頼ることがリスクになる時代だということである。

■川という名の収入源の増やし方

税理士として日々中小企業の財務状況に向き合っている経験上、資金繰りが悪化する理由は、ほとんどがこの部分だと言っていい。

浮き沈みの激しい業界で悪化の余波を受けたというのは、ほとんどの場合"みかけだけ"であって、

・得意先を、特定の数社(数人)に依存している
・自社がコントロールできないような収益構造に依存している

この辺りが本質だと考えている。

逆に言えば、この辺りを堅実にできれば、間違いなくビジネスは安定する。

事実、コロナ等の環境変化があっても、ある程度の得意先の数を持っていて自社がコントロール可能な収益構造を持つ会社は、ほぼ上手く生き残っている。

単純に数だけ増やせば良いという話ではないのは勿論だが、とはいえある程度(最低10〜20)程はないと安定とは言い切れない。

にもかかわらず、目先の利益を追求して特定の数社とだけ…というパターンは、意外にも多くある。

これらは短期的には到底出来るものではないので、その準備をどれだけ平常時に時間をかけてできたか、に運命の分岐点はあるように感じている。

まずはこの流れ込む川(収入源=得意先)の数をある程度のレベルまで増やしていくことが大切で、太くするのは後からでも遅くはない。

川によってはその上の水量の関係で勝手に太くなる場合もあるし、そこから近くの支流が合流してくる場合だってある。

それは掛け算のように広がる性質を持つので、まずはやはり一定数を確保する方が優先事項だといえる。

■収益構造をコントロールするということ

流れ込む川を増やす一方で、もう一つ忘れてはならない大切なことがある。

それは、収益構造をコントロールできる川を増やすという視点である。

もう少し平たく言えば、自分の手が届く範囲を広げ、それができる川を選ぶということである。

冒頭のYouTubeの場合、再生回数に対しての単価に対する決定権限がないことが問題なわけである。

そのようなコントロール不能な部分があっても、圧倒的な再生回数があればOKとの考えには同調する。

ただそうではなくて、私が言いたいのはそれに依存しすぎてはいけないということである。

なぜから、自社でコントロール可能な領域が狭くなればなるほど、外的な影響をモロに受けやすくなるからである。

爬虫類のような変温動物のように、寒くなったら動けなくなる、では困るという話である。

進化の過程で、我々が体温を一定にする力を身に着けたように、自分自身でコントロールできる余地を増やしておくことが、そのまま自分自身の安定に繋がる

いざという時に、頑張っても水が流れてこない川ばかりあっても仕方ないので、コントロールできる余地を増やすのである。

具体的には、下流から上流に上がるということ。より源泉に近づけば、価格の決定権限を含めた自身のコントロールできる権限は増える。

横への展開もそうだろう。川を繋げて、上手く流すことで、更なる流入も期待できる。

それが、多くの中小企業を見てきた私なりの感想である。

■おわりに

水は流してこそ活きるもので、そこに留まらせても淀むだけ。

上手く流して、流れを生むこと。そしてそれに主体的に取り組むこと。

上手に川と言う名の収入源を増やしつつ、コントロールできる範囲を広げられれば、Youtuberでも安定するはず。

そんなことを記事を見て思いました。

それではまた!

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あさがお税理士事務所
代表税理士 伊藤貴文

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