税理士の目線からみた起業リアリティーショー~Nontitle(ノンタイトル)この1000万、あなたならどう使う?

Nontitle(ノンタイトル)~この1000万、あなたならどう使う?という番組が、YouTubeで毎週木曜日に配信されている。

内容としては、初めて会った男女数人が、2つのチームに分かれ、ひとつ屋根の下で起業する(事業を作る)までを追いかけるリアリティーショーである。

個人的にはシーズン1からずっと見ていたのだが、現在シーズン2の六話まで来ている。

創業支援を日々行っている身として、半分は情報収集の一環で見始めたわけなのであるが、色々な出来事が起きるので毎回楽しみに見ている。

今回は、そんなNontitle(ノンタイトル)について、
いくつかの視点から少し感想を述べてみたいと思う。

■視聴者の目線からみたNontitle

事業の発案から練り直す工程までの起業のプロセスを見れる機会というのは実際はとても限られている。

何の先入観もなく見始めたわけだが、その工程が垣間見えるのかなと期待していたのだが、思ったよりはその要素は少ない印象だった。

勿論、その要素はポイントポイントで垣間見えるのだが、割合としてはとても少ない。

それよりは、チームでの人間模様や、個人、それぞれの考えやプロセスにフォーカスして番組を作っているのだと途中で気が付いた。

”最初は、2人が新しく面白いことをやるということで再生されていた印象です。しかし回が進んでいくうちに、TwitterのDMやYouTubeのコメント欄を見ていると、花屋の方や看護師さんなど、一見起業に縁のなさそうな人たちから「私もやってみたくなりました、できそうな気がしました」といった声が届いたんです。

朝倉さんの言葉を借りるなら「ポンコツ」でも事業が作れるんだっていうのを見せられたのは、やってよかったなと思うポイントです。

例えばForbesやNewsPicksを読んで、次のビジネストレンドを探している人が富士山の8合目や9合目にいる人たちだとすると、Nontitleの視聴者はもっと標高の低いところにいて、そもそも「富士山なんか登れないでしょ?」と思っている。そういう人たちを、YouTubeというメディアで、3合目や5合目まで連れていくのがNontitleの役割だと思っています。”

朝倉未来とヒカルの「起業ショー」 シーズン2の新たな仕掛け | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

つまり、そもそものターゲット層は、起業にあまり興味がないライト層向けだったわけで、もう起業している方や起業に強い興味関心を持っている方向けの番組ではそもそもなかったわけである。

シーズン1では、街頭でヒアリングをして市場調査をしたり、商品開発する過程もあり、そこのところもう少し詳しく見せて!というところで、人間模様に話題が移って悶々としていた自分がいたのだが、ここに気付けてからは、純粋にリアリティーショーとして見ることができた。

よって、視聴者の目線でいえば、この辺りの認識は早い段階で合わせておいた方が良いように思った。

■税理士の目線からみたNontitle

一方で、税理士の目線としては、気になるポイントがいくつもある。

まず、起業がテーマなのに、活動資金が賞金制という点。

雇用されている会社員を前提にすると、給与を通してお金は最初にあるものである。あって、そこから何かを買うという構造になる。

一方、起業の場合は、まず自分のお金を投入して、それを元手に回収するという構造がほとんどになる。つまり、お金は後からくるもの、自分で作り出すものという構造になる。

この違いは、起業されている方であれば感覚として間違いなくわかると思うし、自分自身も起業して実感しているのだが、両者は似ているようで180℃違う。

話を戻すと、番組では各ミッションのクリアごとに賞金が獲得できるという構造になっているのだが、これを本当のリアルの世界に落とし込むと補助金で事業を行っているような形に見えてならない

実際に自己資金を投入して、リスクを負っていないことが、そう見える原因なのかは自分でもわからない。

勿論、実際に事業を作り込む前段階にフォーカスした内容となっているので、そこに仕方ない部分があるのは理解している。

ただ、事業が出来た後に、実際に売上を立て、事業サイクルを回していくことにこそ起業の醍醐味が詰まっていると信じている身としては、ちょっと物足りなく見えてしまうのである。

あとは、内容がマーケティングにやや寄り過ぎかという点。

一番キラキラしがちな部分なのでわかるだが、マネジメントや営業、そして会計など、起業には他にも必要な要素はいくつもある。

何も法律を勉強しろとは言わないが(何より視聴率が落ちそうである)、資金繰りくらいは少しでも内容に含めないと、お金のことに全く無頓着な起業家が生まれそうである。

その悲劇をたくさん見てきた身としては、その辺りが少し気になる点である。

■個人的な意見

そう考えていくと、事業完成後にフォーカスを当てるような場面、もしくはシーズンが今後出てきても面白いように思う。

全10話あるのだとしたら、今のような10話使って事業を作り上げるというのではなく、『前半7話くらいで仮の事業を完成させ、後半3話で実際に事業を行ってみる』という形である。

そうなると、”どちらがより良い事業プランであったか”ではなく、もっと単純に”どちらがより儲けを残せた事業プランであったか”でチームの勝敗が決着する形になる。

これはこれで面白いように思う。

実際に、シーズン2で売上を競うミッションがあったのだが、それこそ自分たちの事業プランで試すべきでは…と思ってしまった。

儲けを残そうと追求する過程で、起業に必要な資金繰りも学べるはずである。いくら投入すべきか、理想と現実の狭間でメンバー同士が衝突する姿が想像できるし、何なら途中で資金ショートするチームも出てくるかもしれない。

でも、それこそが起業のリアルである。
理想論だけでも勝てず、現実路線だけでも勝てない。

台本なしで、展開が読めないのもこのリアリティーショーの醍醐味な一方、それは実際の事業でも同じなわけである。

その辺りの面白さは残して頂きつつ、また新しい展開に期待したいと思う。

■おわりに

実際には、このシーズンが増えていくごとに、
卒業生という形で実際に一つずつ事業が立ち上がっていくので、
それを追いかける形となるのだろう。

勝手な個人的意見もつらつらと書いてしまったが、
正直それを追いかけるのも、一視聴者としては楽しみである。

実際にリリースされたcadreのドライヤーも、
デザイン含めとても良い仕上がりだと感じている。

こういった形で起業がフォーカスされることで、
起業がより身近になるのは良いことだと思っている。

色々書いたが、まずは興味関心を持つことが最初に来るべきだというのは私も同意見である。それがないとそもそも始まらないからである。

何よりいちファンとして、純粋にこの番組を楽しみにしている。

そのような気持ちを持ちつつ、
来週も放送を楽しみに待ちたいと思う。

それではまた!

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あさがお税理士事務所
代表税理士 伊藤貴文

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