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京都が持つ価値についての考察

私は京都市で生まれ、大学卒業時まで市内で育った。社会人になってからは、主に東京都に移り住み、正月の年1回、京都の実家に帰る生活を何十年と続けてきた。

14年前に父が他界し、一昨年に母も亡くなった。昨年、母の一周忌があった。その際、清水寺の近くの坂にある祖先の墓の場所から一望できる京都市を眺めながら、改めてふるさとの良さを嚙み締めた。

「私は京都出身です」と人に話すと、「いろんな地元の名所が回れて羨ましい」とよく言われるが、子どもの頃は「灯台下暗し」で京都の神社・寺をあまり回った記憶がない。社会人になって帰省する折に、清水寺や金閣寺、銀閣寺、嵐山などを訪ねるようになった。

京都について考察

ここで、現在、京都を外から見ている私が、京都が持つ『価値』について、あらためて整理してみたいと思う。

京都は千年の都と呼ばれ、みんなの憧れの街である。古き伝統と文化を持ち、日本人や外国人にとって、とても魅力的な観光都市となっている。

京都人は『したたか』

京都人の気質は一言でいえば、『したたか』だと思う。京都人はよく『建前と本音を切り分ける』、『排他的』、『プライドが高い』と言われたりするが、当の本人にしてみれば、特にそのような意識を持ち合わせておらず、他府県出身の人と変わらないと答える人も多い。しかしながら、私が生まれ育った当時の京都市内には、勤め人よりも商売人が多く、家が百年以上続く老舗の店も珍しくなかった。そして、伝統のある店舗を引き継ぐ商売人は概して『したたか』だと思う。

古きものをベースに新しいものを融合

京都が持つ文化遺産や、さまざまな文化・風習などは、言うまでもなく長い歴史に亘って蓄積された独自の有形無形の資産である。と同時に、京都は古きものをベースにしつつも、それに新しいものを融合させて、新たな価値を創ろうとしている。

自由な気質がアカデミア、起業家精神を育む

京都には自由な気風があり、新たな価値を創造するのに適した地であると思う。京都は学生のまちとも呼ばれ、京都大学を始め、同志社、立命館など有名私大も多く、地方から集まってくる学生も多い。京都は、中央(東京)からの反骨精神があり、自由な勉学や研究環境を好んでいる。実際、ノーベル賞受賞者でいえば、京大の出身者が東大を圧倒している。

企業も京セラ、日本電産、村田製作所、オムロン、任天堂、ローム、島津製作所、ワコール、堀場製作所など日本を代表する有名企業が多く集積している。京都の自由な気風が、ベンチャー精神や研究開発を支えていると考える。

潜在価値を掘り起こす

以上、京都の持つ価値について考察してみたが、まだ潜在的に持っている価値を掘り起こす機会は多くあるのではないか。アイデアベースではあるが、バーチャルな画像を使って、平安京のまちの姿を再現したり、京都を舞台にしたシミュレーションゲームのコンテンツを作ってみるのも面白いかもしれない。

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