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【中薬を故事で学ぶ】 白芍の故事 〜芍花の涙と妻の知恵〜

昔々、華佗という名医がいました。彼は薬草の誤用を避けるため、自宅周辺に薬草を植え、それらを標本にしていました。

ある日、外地の商人が訪れ、華佗が薬草を愛でるのを見て、山から掘り出した芍花を彼に渡しました。

商人:「人々はこの芍花が病気を治す効果があると言っていますが、本当かどうか分かりません。あなたに一株差し上げますので、真偽を確かめてくれませんか?」

華佗はその芍花を窓の外に植えました。翌年の春、芍花が咲きましたが、華佗は花を、そして葉を味わっても特に薬効を感じられませんでした。

華佗:「何の変哲もないな。」

彼は芍花をそのまま放置してしまいました。そして数年が過ぎました。

ある秋の夜、華佗は灯りの下で医学の書物を熱心に書いていました。突然、窓の外から女性の泣き声が聞こえました。外を見ると、月明かりの中で赤い花を頭につけ、緑の服を着た美しい女性が立っていました。

華佗:「夜中に外で泣いているなんて、何か辛い目にあったのか?」

華佗が外に出ると、そこにはもう誰もいませんでした。その女性が立っていた場所には芍花がありました。

華佗は考えました。

華佗:「もしかして…芍花が化けたのか?」

彼は芍花を見ると首を振り、独り言を言いました。

華佗:「もし本当に効果があるなら、今は初秋で、花も散り葉も古くなっていて、もう使えない。それに何の特徴もないし、どうやって薬に使えるのだろう?」

そう言うと家に戻りました。部屋に戻ると、また同じ女性の泣き声が聞こえ、外を見るとやはり先ほどと同じ女性でした。彼は再び外に出ましたが、誰もいませんでした。その女性が立っていた場所はやはり芍花の場所でした。

それから何度も同じことが繰り返されました。華佗はこの不思議な出来事に戸惑い、妻を起こして事の顛末を話しました。話を聞くと妻は言いました。

妻:「家の周囲にある花や草は、あなたが手塩にかけて育てたもので、みな良薬になって、多くの病を治療し、多くの人を救いました。ただこの芍花だけが寂しく役に立てずにいるのです。あなたが気にかけないから、芍花は傷ついて泣いているのではないでしょうか。」

華佗:「もう何度も試したが、花も葉も茎も役に立たないのだ。どうやって薬にすればよいのか分からないのだ。」

妻:「根は試しましたか?」

華佗:「花も葉も茎に効果がないのだから、根に何の効果があるというのか。」

妻は彼のいら立ちを感じ、これ以上は何も言わず、「もう遅いので、休んだ方がいいわ。」と言いました。華佗は疲れていたので、すぐに眠りにつきました。

一方、妻は芍花のことを考えていました。

妻:「やっぱり芍花が泣いているのは、その効能がまだ発見されていないからではないかしら。」

彼女はどうしても芍花を助けたいと思いました。翌朝、彼女は料理をしているときに、うっかり手を切ってしまい、傷口からは血が流れました。彼女は華佗を呼び、急いで傷に薬を塗りましたが、血は止まりませんでした。

華佗は慌てて止血方法を考えましたが、手立てがありませんでした。そこで彼女は言いました。

妻:「試しに芍花の根を使ってみてはどうですか」

華佗は芍花の根を少し掘り出して潰し、傷口に塗りました。すると不思議なことに、血がすぐに止まりました。数日後、傷は完全に治り、痕も残りませんでした。

華佗:「妻よ。そなたのおかげで効果を知ることができた。そなたがいなければ、私は一つの良薬を見逃していただろう。」

その後、華佗は芍花について詳細な実験を行い、それが止血、活血、鎮痛、滋補、月経を調節する効果があることを発見しました。華佗はそれを「青囊経」に記録し、「芍薬花」という名前を付けました。

華佗の栽培実験のおかげで、芍薬は譙陵(現在の亳州)で大いに発展し、その後、四川、杭州、陝西などの地域にも広がりましたが、譙陵産のものが大きく、白く、粉の質が良いことから「白芍」と呼ばれるようになりました。

おしまい


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