【中薬を故事で学ぶ】　白前の故事 〜真夜中の咳止め薬〜

昔、名医の華佗は河南で医業を行っていました。ある日、彼は白家庄という村に着き、激しい雨に遭遇したため、村の主人が経営する宿屋に泊まることにしました。宿の主人は姓を「白」と言いました。

深夜、華佗は子供の泣き声で目を覚まし、その子供が咳をしているのを聞きました。彼はすぐに起き上がり宿屋の主人を起こして尋ねました。

華佗：「泣いているのは誰の子ですか？」

主人：「宿の後ろに住んでいる家族の子供です。」

華佗：「この子は重病で、おそらく明日の昼まで生きられないでしょう。」

宿屋の主人は不快な表情で言いました。

主人：「なぜお客さんは人の子を呪うのですか？」

主人は華佗を呪術師だと勘違いしていました。

華佗：「私は華佗という医者です。この咳は普通の咳ではありません。急いで診てみないといけません。」

宿屋の主人は彼が医者だと知ると、すぐに態度を変えました。急いで無礼を詫び、「その子は何日も苦しんでいるので、早く治療してあげてください！」と頼みました。

「案内してください」と華佗は言いました。宿屋の主人は華佗を連れて、宿の後ろにある家の戸を叩きました。

主人：「この方は医者で、あなたの子供を治療に来ました！」

家族は急いで華佗を中に招き入れました。華佗は病気の子供の顔色を見て、咳の音を聞き、脈を取り、次のように言いました。

華佗：「この子の命を救うためには、ある薬草が必要です。すぐに見つけて急いで服用すれば、この子は危機を脱することができます。」

子供の父親：「どんな薬ですか？どこでそれを見つけられますか？」

華佗：「灯篭を持って外を照らしてください。私が探します。」

子供の父親：「いや、そんなお手間はかけられません。それに、外は大雨です。」

華佗：「お気遣いは無用です。この子の命を救うのが最優先です。早く行きましょう！」

雨は激しさを増し、地面は泥水で満たされ、滑りやすく歩きにくくなっていました。子供の父親が灯篭を持って先導し、華佗は村のあちこちを探し回りました。

必死に探し続けると、ようやく宿の前の小川の土手で薬草が見つかりました。華佗はそれを掘り起こし、根を切り、水で洗い、煎じて子供に服用しました。そして、薬草の葉を残して言いました。

華佗：「これを見本にしてください。明日になったらもっと掘って、子供に何回か服用させてください。そうすれば病気は完全に治るでしょう。これは咳を止め、痰を取り除く良薬です。」

子供の父親：「分かりました。本当にありがとうございます！さぁ、宿に戻って休んでください。」

子供の家族は親切な華佗に休むよう促しましたが、すっかり薬草の名前を尋ねることを忘れていました。翌日、子供の父親はお礼の品を持って宿屋に行き、華佗に感謝を伝えようとしました。しかし、宿屋の主人から「その医者は夜明け前に旅立ちました。」と聞かされました。

子供の父親：「あぁ！彼にきちんと感謝することもできず、名前も尋ねられなかった。」

父親は強く後悔しました。

主人：「彼が誰だったか知っていますか？」

子供の父親：「誰ですか？」

主人：「華佗です。」

子供の父親：「あぁ！あの医術の高さ、心の優しさ、まさに生きる神様だったんですね！」

父親は華佗が残した葉を頼りに薬草を掘り、子供に服用させ続けました。すると間もなく子供は完全に回復しました。その後、華佗が用いた薬草が咳を止める効果があることを多くの人が認識するようになりました。しかし誰もその薬草の名前を知りませんでした。

そこで、皆で考えた結果、この薬草は最初に宿の主人である白家の家の前で見つかったので「白前」と名付けました。

おしまい

---

最後まで読んでいただき、ありがとうございます！

このブログでは東洋医学の中の「中医学」を学べる記事を書いていきます。

今後もがんばっていきますのでスキ・コメント・フォローなど頂けますと嬉しいです。

今後とも中医学の有益な情報発信していきますので、応援よろしくお願いします😀