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【中医基礎理論 第19講】 - 陰陽学説 陰陽交感 -

前回、陰陽という概念の形成、そして分類のルールをご紹介しました。

陰陽という2つの対立した概念が出来たことによって、自然界の現象がより体系的に理解できるようになりました。

今回からは、陰と陽がどのような相互関係を持っているかをみていきます。

陰陽の相互関係は全部で5つの法則からなります。

  1. 陰陽交感

  2. 陰陽対立

  3. 陰陽互根

  4. 陰陽消長

  5. 陰陽転化

今回は「陰陽交感」を学んでいきましょう。



陰陽交感

陰陽の相互関係、1つめの法則は「陰陽交感」です。

交感とは、「相互に感応し融合すること」を意味します。

つまり、陰陽交感とは、陰と陽が運動しながら相互に影響し合い交わる現象を指します。

陰陽が交じり合い、相互に作用し合うことは、宇宙に存在するすべてのものの生成と変化の基礎となります。

古典を参考に、いくつか例をみていきましょう。

《周易・咸象》には「天地感而万物化生。(天地が感応し、万物が生じる。)」、《素問・天元記大論》には「陰陽相錯,而変由生。(陰陽が交錯し、変化が生じる。)」と記されていて、全ては陰と陽が交わることで生じとしています。

交わって後、《素問・陰陽応象大論》に「清陽為天,濁陰為地(清陽は天となり、濁陰は地となる)」 と記されているように、陽気は上昇して天を形成し、陰気は凝聚して地を形成します。その後、天の気が下降し、地の気が上昇することで、天地陰陽の気が交感し万物が生まれます。
*詳しい内容は「陰陽互根」で紹介します。

人の生成について、《易伝・系辞下》では「天地氤氲(いんうん),万物化醇;男女構精,万物化生。(天地の気が盛んなれば、万物が生まれる。男女の精が結びつくと、万物が生まれる。)」と、天地陰陽の気の交感、そして男女の結びつきにより生じると述べています。
*化醇(かじゅん):発酵して純粋な酒ができるように変化して形を為すこと。

人間も自然の一部なので、万物と同じ様に天地陰陽の気が交感することで生まれます。《素問・宝命全形論》には「天地合気,命之曰人。(天地の気が結びつき、それを人と命名する。)」 と記されています。

万物が生じれば、その後は成長、発展していきます。これは、《荀子・礼論》に、「天地合而万物生,陰陽接而変化起(天地が結合して万物が生まれ、陰陽が交わると変化が始まる)」とあるように、自然界では、陰陽が絶えず交感し万物が生まれ、その相互作用によって全ての生物が成長して繁栄するのです。

反対に、陰陽交感がなければ自然界には何も存在できません。

陰陽が交感しない状態を「陰陽離決」といいます。

これは臨床において極めて危険な状態です(ほぼ死にます)。


精気学説を陰陽学説で考える

精気学説では、万物は「天気」と「地気」が融合して生まれていました。

人も天気と地気の融合から生まれます。

「天」の気と「地」の気とが調和することによって、「人」の気が生成されるとする思想これを天人地三才理論といいます。

三才理論に陰陽学説を合わせてみましょう。

陰陽学説で、天は陽、地は陰です。

陰陽学説では天の「陽」と地の「陰」が交感することによって、万物が生まれると考えます。

そして、人も天の陽と地の陰が交感することによって生まれます。

精気学説と陰陽学説。

表現は違えど言っている内容はとても似ています。

これから陰陽学説、そして五行学説を学んでいきますが、このように異なる学説を融合できるポイントが多く出てきます。

それらを学ぶうちに、「あらゆるものは繋がっているんだなぁ」と「整体観念」を強く感じるようになると思います。

それを楽しみ、学習を継続してください。

陰陽学説のその他4つの法則は、陰陽が交感して初めて機能します。

したがって、陰陽交感は他の陰陽法則の基礎となる重要な法則なのです。

二つの学説は融合できる


まとめ

今回は「陰陽交感」を学びました。

ポイントは1つです。

陰陽が交わることで全ては生まれる(始まる)

陰陽交感は全ての始まりで、陰陽離決は全ての終わりです。

シンプルですが、最も重要な法則です。


次回は法則の2つ目、「陰陽対立」を学びましょう。


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