![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/146791575/rectangle_large_type_2_0466090667f0a5aa1e6ebe62ed67a8d7.png?width=1200)
【中薬を故事で学ぶ】 大黄の故事 〜焦らず謙虚に学ぶ大切さ〜
かつて、黄姓の医者がいました。その家は代々黄連、黄芪、黄精、黄芩、黄根の五味の薬草の採取に長けており、特にこの五黄薬を用いて人々を治療していました。人々は彼を「五黄」と呼んでいました。
毎年春の三月になると、五黄は山に入って薬草を採りに行きました。山には小さな村があり、五黄は薬を採りに行くたびにその村に泊まり、秋が来るまでそこにとどまりました。家の主人は大朗といい、彼の家族とは深い友情を結びました。
ある年、五黄が再び薬を採りに来ると、大朗の家がなくなっていました。村の人々はこう言いました。
「大朗は災難に遭いました!去年の冬に大火事があり、家は焼け落ち、彼の妻も焼死しました。今では彼と子供の二人だけで、山の洞窟に住んでいます。」
五黄は非常に悲しみましたが、山の洞窟で大朗親子を見つけました。大朗は五黄を見ると、頭を抱えて泣き崩れました。五黄は言いました。
「何もかも失ったのなら、子供を連れて私と一緒に薬を採取し、売りに行くのはどうだろうか?」
大朗は喜んで五黄に従い、薬草の採り方を教わりました。彼らは風に吹かれる楊の花のように四方を巡り、半年も経たないうちに大朗は五黄薬を採る方法を身につけました。しかし、五黄は彼に医術を教えることはありませんでした。
ある日、大朗は言いました。
「先生、どうして私に医術を教えてくれないのですか?」
五黄は笑って答えました。
「あなたはせっかちなので、医者には向いていません。」
大朗は少し不満に感じましたが、五黄が人々を治療する方法をこっそり見て、どの病気にどの薬を使うべきかを覚えようとしました。日が経つにつれ、大朗もいくつかの治療法を覚え、五黄に内緒で病気の治療を始めました。偶然にも、彼は何人かの人を治癒させることができ、大朗は非常に喜んでいました。
ある日、五黄がいない時に、妊婦が訪れました。彼女は体が虚弱で、骨のように痩せていました。大朗は尋ねました。
「どうしたのですか?」
妊婦は答えました。
「下痢をしています。」
通常、止泄には黄連が使われますが、大朗は彼女に瀉火通便作用のある黄根を与えました。患者は薬を二回飲んだ後、大量の下痢が続き、二日もしないうちに亡くなりました。患者の家族は納得せず、大朗が出した処方箋を知ると、彼を県官に連行しました。
県の官吏は事情を明らかにし、大朗に無能な医者であるとして罪を認定しました。その時、五黄が駆けつけ、庭の前でひざまずいて言いました。
「貴殿は私に有罪を言い渡すべきです。」
官吏は尋ねました。
「君は何者で、どうして有罪なのか?」
五黄は答えました。
「彼は私の医術を学びました。私の教え方が悪かったので、罪は私にあります。」
大朗は恥ずかしそうに言いました。
「私が彼に背いて勝手に医療行為を行ったのです。彼は関係ありません。」
官吏は二人の関係を詳しく尋ねました。そして、これほど深い友情を持つ二人に感心しました。官吏は普段から五黄の名声を聞いていたので、できるだけ大朗を弁護しました。最終的には、官吏は死者の家族に金を贈るよう命じ、二人を釈放しました。
大朗は非常に恥ずかしそうに、五黄に言いました。
「あなたの言うことを守らなければならなかった。これからは自分勝手なことはしません。」
五黄は言いました。
「治療を学ぶときは急いではいけません。間違った薬を使うと命を落とすことがあるのだから。」
その後、大朗は真剣に薬を採取するようになり、性格も安定してきました。五黄はそれを見て、彼に医術を教えるようになりました。失敗の教訓を忘れないために、また、後世でこの薬が誤用されないように、五黄は五黄薬の中の黄根を大朗の「大」の文字を取り、「大黄」と改名しました。
おしまい
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
このブログでは東洋医学の中の「中医学」を学べる記事を書いていきます。
今後もがんばっていきますのでスキ・コメント・フォローなど頂けますと嬉しいです。
今後とも中医学の有益な情報発信していきますので、応援よろしくお願いします😀
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?