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【中薬を故事で学ぶ】 夏枯草の故事 〜季節を逃すな!瘰癧を治す紫の花〜

昔、ある秀才(科挙試験に合格した学者)の母親が瘰癧(結核性頸部リンパ節炎)という病気にかかりました。首が大きく腫れ上がり、膿が流れ出るほどでした。多くの人が「この病気は治りにくい」と言い、秀才は非常に心配しました。

ある日、薬を売る医者が訪れました。医者は秀才に「山にはこの病気を治すことができる草があります」と言いました。秀才はすぐに医者に助けを求めました。医者は山に登り、紫の花穂のある野草をいくつか取ってきて、その花穂を煎じて秀才の母親に飲ませました。数日後、母親の膿が止まり、しばらくすると病気は完全に治りました。母親は非常に喜び、医者を家に泊めて厚く感謝しました。

医者は昼間は薬を取りに行き、夜は秀才の家に泊まりました。秀才はよく医者と一緒に話をしているうちに、だんだんと医学にも興味を持つようになりました。

1年後、医者が帰ることになりました。出発前に医者は秀才に言いました。「私はあなたのところに1年間住みました。どれくらいの飯代を渡すべきですか?」秀才は答えました。「あなたは母親の病気を治してくれました。飯代なんて必要ありません。」すると医者は「それなら、一つの薬を教えましょう」と言い、秀才を山に連れて行きました。

医者は秀才に「これが瘰癧を治す薬草です。よく覚えてください。この草は夏が過ぎると無くなります」と説明しました。秀才はそのことを心に留めました。

それから2か月が過ぎたころ、県令(県知事)の母親が瘰癧にかかり、医者を求める掲示が出されました。秀才はこれを聞きつけ、すぐに掲示を剥がし、県令に「私は薬で瘰癧を治すことができます」と伝えました。県令は秀才と共に山に向かいましたが、どうしても紫の花穂を見つけることができませんでした。秀才は驚きました。「どうしてだろう?」彼は近くの山々を登りましたが、薬草を見つけることはできませんでした。

結局、秀才は詐欺師だと思われ、50回も鞭打たれることになりました。1年後、再び医者が帰ってきました。秀才は医者に言いました。「あなたのせいでひどい目に遭いました!」医者は驚いて理由を尋ねました。秀才は「なぜ薬草が無かったのですか?」と問い詰めました。医者は「ありますよ。山の上に」と答えました。

二人は再び山に登りました。そこには紫色の花穂の野草がたくさん生えていました。秀才は不思議に思い、「どうしてあなたが来たら、この薬草が生えてくるのですか?」と尋ねました。医者は言いました。「私はあなたに言ったでしょう。この薬草は夏が過ぎると枯れてしまうので、早めに摘まなければならないのです。」

秀才はようやく医者の言葉を思い出し、自分が不注意だったことを反省しました。これを忘れないために、秀才はこの薬草を「夏枯草」と名付けました。

おしまい


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