【中医学の小話】 〜妙薬 軟石湯!〜
清代の魏之琇が著した『続名医類案』には、明末清初の傅青(ふせい)が、家庭の些細なことで夫と喧嘩して、怒りのあまりめまいを起こし、寝たきりになった女性を治療したという記録があります。
傅青が出した薬方は「軟石湯」でした。彼は名前のわからない石を数個渡し、その石を水で煮るようにと夫に指示し、「石が柔らかくなったら、その煮汁を妻に飲ませるように」と伝えました。
夫は妻と喧嘩をしたことを反省し、心を込めて石を煮続け、早く妻が良くなることを願いながら一心に煮込みました。
同時に妻に対して謝罪し、温かく接し、体調を気遣いました。
しかし、何日も何夜も石を煮ても、石は柔らかくなりませんでした。
実際、妻も決してわがままな人ではなく、夫の愛情に心を動かされていました。
やがて彼女は床から起き上がり、夫と一緒に石を煮るようになりました。
その頃には、めまいも消え、寝たきりになることもなくなりました。
傅青はこの様子を見て、石は決して柔らかくならないが、二人の愛情が病を追い払ったのだと告げました。
夫婦は顔を見合わせて微笑み、傅青に感謝しました。
それ以来、二人は一層愛情深く、無駄な喧嘩をせず、何事も相談して解決するようになりました。
めでたしめでたし
この治療法は、「愛が傷を癒す」という考え方と通じるものがあります。本当に世の中には不思議なことがあるものです。
この話は、現代人にとっても、ストレス解消や精神的な負担の軽減に役立つかもしれません。
人生には喜怒哀楽がつきものですが、過度にならないようにすることが大切です。
過度の感情は心身に悪影響を及ぼし、病気を引き起こします。
穏やかで平静な心持ち、足るを知る喜び、そして楽観的で前向きな心態度は、確かに健康に良い影響を与えます。
何か問題が起きた時には、少し距離を置いて考えると、たいていの問題は解決できるものです。
この話はまた、中医学の理論において「七情」(喜怒憂思悲恐驚)が病因にも治療法にもなることを教えています。
古人の独特な治療法は、神奇な効果を持つだけでなく、豊富な科学的原理も含まれているのです。
おしまい
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