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【中医基礎理論 第48講】 -人体の基本物質- 営気って何?営気の生成、分布、機能のまとめ!

営気

営気とは、飲食から得られた水穀の精気の内、脈内を循環し、血液を生成し、全身に栄養を供給する役割を持つ気のことです。

営気は栄養に富んでおり、脈内を絶え間なく循環するため、「営気」と呼ばれます。

*名前に栄養の「栄」を使わない理由は、中国の「避諱(ひき)」という習慣が関係しています。避諱とは、君主や目上の者の諱の使用を忌避する慣習です。当時の君主に「栄」という字が使われていたため「営」になったと考えられます。

営気は脈中を流れるため、血液の重要な構成要素であり、血と非常に密接な関係があります。営気と血は分けることができないため、「営血」ともよばれます。

営気と衛気を比較すると、性質、機能、分布において以下の違いがあります。営気は栄養の働きがあり陰に属し、衛気は保温や素早く動く性質から陽に属します。そのため、営気は「営陰」、衛気は「衛陽」ともよばれます。

1. 生成と分布

営気は脾胃の運化によって生成される水穀の精微から化生します。水穀の精微の中でも特に栄養価の高い「精華部分」から営気が化生されます。《素問・痺論》には「栄者,水谷之精気也。(営とは、水穀の精気である)」と記されています。*営気は別名「水穀の精気」、衛気は別名「水穀の悍気(かんき)」といいます。

営気は脈内を循環し、全身に行き渡ります。内では臓腑に入り、外では肢節(関節)に達し、循環を繰り返しながら絶えず流動しています。《素問・痺論》には「和調于五臓,洒陳于六腑,乃能入于脈也。故循脈上下,貫五臓,絡六腑也。(五臓を調和し、六腑に散布し、脈に流入する。故に脈は、五臓を貫き、六腑を絡むなり。」と記されています。

2. 生理機能

営気の生理機能には、血液の生成と全身への栄養供給の二つの側面があります。

  1. 営気は脈内に注ぎ、血液を化生する
    《霊枢・邪客》には「営気者,泌其津液,注之于脈,化以為血。(営気は津液に沁み込み、脈内に注ぎ、血液に変化する)」と記されています。営気は津液とともに、脈内に注ぎ込まれ、血液へと変化し、血液の充足を維持します。

  2. 営気は脈を通して全身を循環し、臓腑や経絡に栄養を供給する
    営気の栄養供給は、生命活動において非常に重要です。《霊枢・営衛生会》には「此所受気者,泌糟粕,蒸津液,化其精微,上注于肺脈,乃化而為血以奉生身,莫貴于此。故独得行于経隊,命営気。(この気は、糟粕を分け、津液を蒸し、精微を化生し、肺脈に注ぎ、血液に変化し、全身を養う。これほど貴重なものはない。故に独り経脈を通って行き渡るため、これを営気と名付ける。)」と記されています。

次回は、水穀の精微から化生されるもう一つの気、「衛気」について学びます。

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