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【中医基礎理論 第10講】 - 中医基礎理論を学んで中医学の土台を築こう - 

中医学を理解するには中医基礎理論を学ばなければなりません。

そもそも中医基礎理論とはどういう学問なの?

なぜ学ばなければならないの?

今回の記事は、そんな疑問に答えます。

中医基礎理論は最先端の知識が詰まった学問

中医基礎理論は中医学の土台

中医基礎理論とは「中医学の基本概念・基本知識・基本原理・基本規則の理論体系」です。

定義は小難しいですね、笑

よく読むと、「基本」という言葉が定義の中で何度も出てきます。

中医学には「臨床学」、「中薬学」、「養生学」、「疾病学」など多くの学問がありますが、中医基礎理論はそれら全ての「基本=基礎」となる学問です。

基礎がしっかりしていなければ、応用は効きません。

中医基礎理論は、中医学を用いて患者を治療する人にとって必須の科目なのです。

「基礎を制する者が、中医を制す!」と言っても過言ではないでしょう。

そんな中医基礎理論では以下の内容を学びます。

  1. 中医学の哲学基礎

  2. 中医学における人体の考え方

  3. 中医学の疾病観

  4. 養生論と治療論(防治学)


1.中医学の哲学基礎

古代哲学を理解すること=中医学を理解すること

中医学の根底には古代中国哲学(学説)があります。

健康や病気より先に、まずは世界がどの様にできて、どの様に機能していると考えられていたのかを学びます。

世界を知るためにできた古代哲学の中で、中医学に大きな影響を及ぼした学説が3つあります。

  • 精気学説(気一元論):万物は全て気である。気の運動変化により世界は機能している。

  • 陰陽学説:万物は陰陽に属し、陰陽の運動と変化により世界は機能している。

  • 五行学説:万物は「木・火・土・金・水」の5つの要素に分類でき、これらの相互関係により世界は機能している。

これらの学説は中医学の根幹を形成しています。

樹木でいうならば、まさしく「根」にあたるのが古代哲学(学説)です。

中医基礎理論では、まず初めに中医学の根幹を形成する3つの古代哲学(学説)を学びます。


中医学は科学

古代哲学を通して古人たちは自然界を形式化=理論化していきました。

それは自然界を「理解する」ためです。

そのために、天文学や気象学、植物学や地質学など、その時代の最先端知識をどんどん吸収して形式化していきます。

最近だとAIもしっかり吸収しています(自然界には社会環境も含まれる)。

自然界を形式化し、世界の成り立ちを知った古人たちは、次第に対象を人や病気に向け始めます。

そして、古代哲学と当時の医学が融合して形成されたのが中医学です。

中医学は自然界を形式化し、いかに医学に応用していくかを常に追求する学問です。

なので、中医学は形成されていても完成はしていません。

今なお進化し続けています。

中医学は、その形成に古代哲学が大きく関わっていることから「哲学的」な印象が強いですが、「時代の最先端知識をどんどん吸収してきたので、れっきとした科学である」ということをしっかりと覚えておいてください。

どんどん吸収!今なお進化!

2.中医学における人体の考え方

その時代の最先端知識を吸収し発展した世界観(哲学)が、当時の解剖学的知識と融合していきました。

その結果、臓腑・経絡・形体・官竅・気血・津液などの中医学特有の解剖生理学が形成されました。

中医基礎理論では、「正常な臓腑や気血の構造、機能を学ぶことで、中医学における正常な人体の状態」を学びます。

中医学的解剖生理の誕生!


3.中医学の疾病観

人体の正常な状態=健康を理解すれば、異常な状態=病気とは何かを理解することができます。*これは中医診断学における原理の一つで、「知常達変(常を知り変に達する)」といいます。

例えば、正常な肺は宣発粛降の働きを以って呼吸を主っています(正常)。

咳嗽や呼吸困難が見られれば、それは宣発粛降に異常をきたしたと考えることができます(異常)。

異常を理解するには、正常を理解することが不可欠です。

中医学の疾病観では、正常な人体を理解した上で、その機能を乱す原因やメカニズムを学びます。

正常を知り、異常を知る


4.養生論と治療論(防治学)

正常な人体の機能を乱す原因やそのメカニズムを学べば、どの様にすれば病気を防げるか、そして治療できるかが分かります。

例えば、脾は運化を主りますが、暴飲暴食で脾が傷つくと運化機能が低下し湿(余分な水分)が発生します。

この湿が浮腫みや倦怠感など様々な不調を引き起こします。

しかし、メカニズムが分かれば予防や治療が可能になります。

脾を傷つけないように、暴飲暴食はしない(予防)。

もし湿が生じてしまったら、脾の運化機能を高めて湿を取り除く目的で、陰陵泉や中脘に鍼やお灸をする(治療)。

このように予防法や治療法が分かります。

この様に中医基礎理論の最後では、病気の予防と、病気の治療法について学びます。

敵を知り己を知れば百戦危うからず


以上が、中医基礎理論で学ぶ内容です。

※このnoteでは予防と治療は中医基礎理論では扱わず、応用科目の「疾病学」や「養生学」で扱います。

まとめ

中医基礎理論で学ぶ内容をみてきました。

  1. 中医学の哲学基礎

  2. 中医学における人体の考え方

  3. 中医学の疾病観

  4. 養生論と治療論(防治学)

中医基礎理論は他の中医科目の基礎となります。

中医基礎を理解しなければ、他の中医科目は理解できません。

だからこそ、しっかりと学ぶ必要があるのです。

中医学の基礎となる中医基礎理論をしっかり学び、今後の学習の土台を固めていきましょう。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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