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【中医学の小話】 〜扁鵲 医術と天命の交錯!〜

春秋時代に扁鵲(へんじゃく)と呼ばれる名医がいました。彼は医術レベルが非常に高く、しばしば宮廷に出入りして君王の病気を治療していました。

ある日、扁鵲が君王である蔡桓公(さいかんこう)を巡診に訪れました。挨拶を終え、扁鵲は桓公の側に立ち、その顔色を細かく観察しました。そして、「君王の皮膚に病が見られます。早めに治療しないと病状が悪化するでしょう。」と言いました。桓公はこれを気にせず、「私は病気ではない。治療の必要はない。」と言いました。扁鵲が去った後、桓公は不満を露わにし、「医者はいつも健康な人を病気に見せかけて治療したと言いたがる。だから私は信じない!」と言いました。

10日後、扁鵲が再び桓公を尋ねました。桓公の顔色を見た扁鵲は、「君の病気は肌肉まで進行しています。治療しないとさらに悪化するでしょう。」と言いました。桓公はこれも信じませんでした。扁鵲が去った後、桓公は「病気が進行している。」という言葉にますます不快感を覚えました。

さらに10日後、扁鵲が三度桓公を尋ねました。顔色を見た扁鵲は、「君の病気は胃腸にまで進行しています。早急に治療しないと病状は悪化するでしょう。」と言いました。しかし、桓公は依然として信じませんでした。それどころか不快感はさらに強まりました。

いつものように10日後、扁鵲が桓公を尋ねましたが、扁鵲は桓公を見るや否や背を向けて去ってしまいました。これには桓公も驚きました。

「今回はなぜ何も言わないのか?」

桓公は使者を派遣して扁鵲に理由を尋ねさせました。扁鵲は答えました。

「最初、桓公の皮膚に病気が現れた時は、薬湯で洗ったり、灸を使えば簡単に治すことができました。その後、病気が肌肉に進行した時には、鍼治療で対処することができました。進行して胃腸に達した時には、草薬の煎じ薬で効果が得られたでしょう。しかし、今は病気が骨髄にまで達しており、人間の医術では治療できません。このような病気の人の命は、もはや閻王の手中にあり、私がどれほど医術に精通していても治すことはできません。もし、私が治療できると言えば、災いを招くでしょう。」と答えました。

5日後、桓公は耐えられなほどの全身の痛みに襲われました。この時初めて自分が病気で、病状が進行していることに気付きました。そして、扁鵲に治療を依頼するよう求めました。しかし、派遣された使者が戻ってくると、「扁鵲はすでに秦国に逃げました」との報告だったのです。桓公はその後、痛みと闘いながら、ついに亡くなりました。

教訓
自身の病気や社会の悪事について、問題を隠したり、治療を避けたりしてはなりません。問題を正視し、早期に適切な対策を講じることが重要です。さもなければ、病気が手遅れとなり、大きな災いを引き起こしたときには、もはや救いようがなくなるのです。

おしまい


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