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【中医基礎理論 第17講】 - 陰陽学説 陰陽クイズに挑戦!-

今回の記事から、陰陽学説を学んでいきます。

前回まで学んでいた気一元論や精気学説と同じく、陰陽学説は中医学の基盤となる学説の1つです。

陰陽学説では、自然界のさまざまな物事の発生、発展、変化は、相互対立する「陰」と「陽」が存在しているために生じると考えます。

また、太陽(陽)と月(陰)があるから昼(陽)と夜(陰)が存在するというように、世界の存在そのものが陰陽という2つの気の対立・統一の結果であると考えます。

私たちはみな、父親(陽)と母親(陰)という2つの気が統一したから生まれたわけですね。

陰陽学説では、あらゆる物を「陰陽」に分類することにより、より世界を体系化することが可能になりました。

その思想は医学領域にも深く浸透し、中医学の理論体系の形成に大きく影響しました。



さっそくですが陰陽クイズ!

陰陽学説の詳しい内容に入る前に、まずは色んなものを陰陽に分けてみましょう。

陰陽は学んでいなくても、みなさんは知らない間に陰陽の感覚が身に付いているはずです。

例えば、

「太陽と月、どちらが陰でどちらが陽でしょう?」


正解は、

「太陽が陽、月が陰」です。

元々、陰陽の概念は「日向」と「日陰」から生まれました。

お日様があたる日向が陽なら、当然太陽は陽ですね。

そして太陽と同じような性質を持つものは「陽」に属します。

このことをふまえて問題に挑戦してみてください。


先程、答えを言ってしまいましたが、「太陽が陽、月が陰」と、ほとんどの人は答えられたはずです(ですよね?)。

陰陽の感覚はそれくらい身近なものなのです。


クイズは全30問です。

それでは始めましょう。


問 以下の組合せを「陰」と「陽」に分けて答えてください。


問1  月・太陽


問2  火・水


問3  明・暗


問4  静・動


問5  興奮・抑制


問6  下・上


問7  寒・熱


問8  外・内


問9  拡散・凝集


問10  閉・開


問11  冷・温


問12  西・東


問13  南・北


問14  地・天


問15  雌・雄


問16  男・女


問17  剛・柔


問18  凹・凸


問19  黒・白


問20  奇数・偶数


問21  沈・浮


問22  降・昇


問23  夜・昼


問24  軽・重


問25  秋冬・春夏


問26  濁・清


問27  有形・無形


問28  営・衛


問29  左・右


問30  魂・魄


いかがでしたか?

難問か難しい問題があったと思いますが、結構解けた手応えがあったのではないでしょうか。

次に解答と解説をしていきますので、答え合わせをしながら、その理由も合わせてみていきましょう。


解答と解説

問1 
月・太陽

答.
月が「陰」で、太陽が「陽」です。

理由.
陰陽の概念は元々「日向=陽」と「日陰=陰」から生まれました。お日様があたる日向が陽なので、明るく光り太陽は陽ですね。

月は太陽のように自分では光らず、熱も発生していません。太陽と比較すれば「陰」となります。

ちなみに中国語で陰は「阴」、陽は「阳」と書きます。


問2
火・水

答.
火が「陽」で、水が「陰」です。

理由.
燃えている太陽が陽なら、火も陽に属し、反対の性質(火を消す性質)を持つ水は陰に属します。
*実際には、太陽は燃えていません(核融合反応です)。


問3
明・暗

答.
明が「陽」で、暗が「陰」です。

理由.
太陽は明るく、太陽があたっている日向も明るいですよね。なので、明るいのは陽で、日が当たらず暗いのは陰です。


問4
静・動

答.
静が「陰」で、動が「陽」です。

理由.
太陽や火の様に、活発に活動しているものは陽に属し、落ち着いて静かなものは陰に属します。


問5
興奮・抑制

答.
興奮が「陽」で、抑制が「陰」です。

理由.
問4と同じ考え方です。活発に活動しているものは陽に属し、落ち着いて静かなものは陰に属します。


問6
下・上

答.
下が「陰」で、上が「陽」です。

理由.
火(=陽)は上へ燃え上がり、水(=陰)は低く下へ流れます。そのため、上という方向は陽に属し、下は陰に属します。


問7
寒・熱

答.
寒が「陰」で、熱が「陽」です。

理由.
火(=陽)は熱く、水(=陰)は冷たいです。


問8
外・内

答.
外が「陽」で、内が「陰」です。

理由.
拡散や膨張など外へ向かうものは「陽」に属します。反対に、凝集や収縮など内に向かうものは「陰」に属します。


問9
拡散・凝集

答.
拡散が「陽」で、凝集が「陰」です。

理由.
外や上に広がる=拡散するのは陽です。

活動が活発なもの(火や高温の物質)は拡散したり拡張したりします。

外、上、動、火、熱と同じように拡散という状態も「陽」に属します。

内や下に向かう=凝集するのは陰です。

水は寒いと活動が低下し、静かに凝集し固まります(氷になります)。

内、下、静、水、寒と同じように凝集という状態も「陰」に属します。


問10
閉・開

答.
閉が「陰」で、開が「陽」です。

理由.
「開」の方向性は「外」と同じなので陽に属します。「扉を開く」というと、一般的に外側に向かって開きますよね。反対に、「閉」の方向性は「内」と同じなので陰に属します。

「開放(=陽)」と「閉鎖(=陰)」などもイメージしやすいかもしれません。


問11
冷・温

答.
冷が「陰」で、温が「陽」です。

理由.
温は火や熱と同じ属性で、冷は水や寒と同じ属性です。


問12
西・東

答.
西が「陰」で、東が「陽」です。

理由.
太陽が昇る東は陽に属し、太陽が沈む西は陰に属します。


問13
南・北

答.
南が「陽」で、北が「陰」です。

理由.
太陽が最も高い位置にある南は陽に属します。

中医学が生まれた中国は北半球なので、南方は暑く、北方は寒いです。

これも南が陽で、北が陰に属す理由の一つです。


問14
地・天

答.
地が「陰」で、天が「陽」です。

理由.
天は上(=陽)、地は下(=陰)と同じ属性です。


問15
雌・雄

答.
雌が「陰」で、雄が「陽」です。

理由.
雄は強い(剛)ので陽に属します。

同じ様に男は「陽」に属します。

「男だから〜、女だから〜」という分類は不適切だと思いますが、古い時代の概念ということでご理解ください。


問16
男・女

答.
男が「陽」で、女が「陰」です。

理由.
雌・雄と同じ考え方です。


問17
剛・柔

答.
剛が「陽」で、柔が「陰」です。

理由.
男と女と同じ考え方です。


問18
凹・凸

答.
凹が「陰」で、凸が「陽」です。

理由.
凹は内側や下方へ向かっているので陰に属し、凸は外側や上方へ向かうので陽に属します。


問19
黒・白

答.
黒が「陰」で、白が「陽」です。

理由.
明と暗と同じ考え方です。


問20
奇数・偶数

答.
奇数が「陽」で、偶数が「陰」です。

理由.
陽は易で「ー」、陰は「ーー」で表されることから、奇数は陽で偶数は陰に属します。

他にも、奇数は不安定な数なので陽、偶数は安定の数なので陰という説もあります。
※一本足と二本足(人の場合)、価電子も偶数の方が安定します。


問21
沈・浮

答.
沈が「陰」で、浮が「陽」です。

理由.
上と下と同じ考え方です。


問22
降・昇

答.
降が「陰」で、昇が「陽」です。

理由.
上と下と同じ考えです。


問23
夜・昼

答.
夜が「陰」で、昼が「陽」です。

理由.
明と暗、太陽と月と同じ考え方です。


問24
軽・重

答.
軽が「陽」で、重が「陰」です。

理由.
軽いものは上に浮くので陽に属し、重いものは下に沈むので陰に属します。


問25
秋冬・春夏

答.
秋冬が「陰」で、春夏が「陽」です。

理由.
世界に陰気が増えていくにつれて秋→冬となり、陽気が増えるにつれて春→夏となります。


問26
濁・清

答.
濁が「陰」で、清が「陽」です。

理由.
清は透明でサラサラしたキレイなものを表します。清は清陽ともいわれ体内に存在する陽気のことで、軽く昇発する性質を持っています。

濁は濁陰ともいわれ体外へ出す排泄物をさし、重く下へ降りていく性質を持っています。


問27
有形・無形

答.
無形が「陽」で、有形が「陰」です。

理由.
無形の代表が気です。気は無形で、拡散しやすい性質を持っているので陽に属します。

無形の気に対する有形の物質は、精、血、津液(体内の正常な水分)です。これらは水と同じ様に、身体を滋潤・濡養する性質を持つので陰に属します。


問28
営・衛

答.
営が「陰」で、衛が「陽」です。

理由.
衛は衛気のことです。素早く動いて身体を守り、身体を温めてくれる衛気は陽に属します。

営は営気のことです。営気は身体を養う働きを持つので陰に属します。

※衛気も営気も「気」という意味では「陽」に属しますが、両者を比較した場合は、営気は「陰」に属します。


問29
左・右

答.
左が「陽」で、右が「陰」です。

理由.
最も高く昇った南側の太陽に身体を向けた場合、左側から太陽が昇り右側へ沈みます。

そのため、左が陽に属し、右が陰に属します。

また、今も昔も一般的に右利きが多く、右は(動作が)安定しているため陰、左は不安定なため陽となったという説もあります。


問30
魂・魄

答.
魂が「陽」で、魄が「陰」です。

理由.
人には魂魄があります。魂は精神活動(目に見えない)を司るので陽に属します。

魄は肉体活動(目に見える)を司るので陰に属します。魄は無意識や本能と関わりが強く、赤ちゃんが生まれた瞬間に泣くのも、教わってもいないのにおっぱいを吸うのも魄があるからできるのです。

ちなみに、キョンシーは魂が抜けて魄だけになった状態です。

なので、無意識に本能的に人を襲っています。


結構正解できたのでは?

いかがでしたか?

少し難しい問題もあったと思いますが、多くの方は結構正解できたと思います。

習っていなくても、陰陽の感覚はすでに身に付いているのが実感できたのではないでしょうか。

陰陽の雰囲気が分かったところで、次回の記事から具体的な陰陽学説の内容に入ります。

〜 中医学は中医基礎理論で始まり、中医基礎理論で終わる 〜


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