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【中医基礎理論 第4講】 中医学の特徴:整体観念① - 人と自然は同じ構造で出来ている -

中医学には西洋医学には無い特徴が2つあります。

それが「整体観念」「弁証論治」です。

まずは、整体観念からみていきましょう。

整体観念

整体観念とは「繋がり」です。

人は単体では生きていけません。天気や気候、動植物など、自然と繋がりながら生きています。

また、人の身体も組織単体では機能しません。心臓は心臓だけでは動かず、神経や他の臓腑、血液などと連携することで機能することができます。

この繋がりを重要視するのが「整体観念」です。
※整体観念の横に書いてある生物全息理論とはフラクタルと同じ意味で、部分と全体とが同じ形となる自己相似性を示すことを意味しています。詳しくは後で説明します。

整体観念の内容は大きく2つに分けられます。

  1. 人体は一個の有機整体である

  2. 人と自然界は密接な連携をとる

整体観念の内容は大きく2つある

順番が前後しますが「2.人と自然界は密接な連携をとる」から説明した方が理解しやすいので、こちらから見ていきましょう。

人と自然界は密接な連携をとる

人は自然界の一部です。

宇宙があって、太陽があって、地球があって、動植物がいて、人間がいる。こうして自然界は成り立っています。

どれか一つ欠けても人間は生きていけません。人は自然と一体なのです。

「全ては個々で成り立つのではなく、それぞれが密接に繋がり協調することで世界が成り立つ」

この自然と人との整体観念は中医学でもとても重要です!

中医学では診断や治療をする際、患者さんだけではなく、患者さんが暮らす環境も重視します。

「何でお腹が痛いだけなのに生活環境まで聞いてくるんだろう?」

患者さんからすれば不思議に思うかもしれませんが、整体観念を知っていればその理由が理解できますね。

環境と人が繋がっているので、環境も人に影響を及ぼしていると考えられるからです。

また、整体観念では、自然の一部である人は自然と同じ構造でできていると考えます。例えば、自然界に川があるように、人には血管や神経があります。

同じ構造とういことは、自然界と同じ法則を人にもあてはめることができます。

例えば、風。

風は常に動くものです。空気が動かなければ風は生じませんよね。

そこで、人が変な動きをすれば、「動き」と「風」を結びつけ、それは「体内で風が生じた」と考えます。つまり、ケイレンや麻痺など「動き」の異常は風が原因で起こると考えることができます。

これは、そう、診断です。

自然の法則を人に当てはめることで病の仕組みを理解し診断することができるのです。

そしてこの場合、治療では体内の風を取り去る経穴を使います。

こういった診断や治療ができるのも、中医学が「人と自然界は密接な連携をとる」という整体観念を持っているからです。

何一つ欠けてはいけません

では、次は「1.人体は一個の有機整体である」を見ていきましょう。


人体は一個の有機整体である

大宇宙(自然)に対し、人は小宇宙といわれます。

同じ宇宙ですね?

ということは、同じ法則が当てはまります。

自然が個々で成り立たないように、人も個々では成り立ちません。人における個々とは、人体を構成する内臓や組織、器官のことです。

心臓は心臓単体では働けません。他の臓腑も、目も鼻も血も神経も、それ単体では機能しません。全てが密接に繋がって協力し合うことで初めて個々が機能し、全体(人)も機能します。

中医学では、心臓が病気になった際、心臓だけを診ず、必ず全身を診ます。これも、繋がりを重視する中医学、つまり「人体は一個の有機整体である」という整体観念を持っているからです。
※有機整体=有機物の繋がりで構成された生命力を有するもの。

一人では何もできません。みんなと協力!


人体のチームリーダーは心(心臓)

人体はあらゆる臓腑が1つのチームの様に機能しています。

チームということは個々に役割があるのですが、チームのリーダーにあたるのが心です。

なので、中医学では心を「君主の官」といいます。

このことから「人体は一個の有機整体である」は、具体的には「人体は心によって主宰された五臓を中心とする有機整体である」ということになります。
※主宰はリーダーのこと。

なぜ心がリーダーなのかは次の機会にご紹介します

まとめ

  • 人は自然と一体である

  • 人は自然と協調して生きている

  • 人は自然と同じ構造を持っている

  • 人も自然と同じく、個々の臓腑組織が協調して生きている

次回は人体の整体観念についてさらに詳しくみていきます。


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