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文系大学院生の目線から、iPadの使い勝手を評価する

2023年の6月にiPad Air3から11インチiPad Pro 3を購入して、半年以上が経過した。

iPad(あるいは、タブレット)は、人によって要・不要の評価が分かれるガジェットの一つである。

確かに、スマホやPCに比べたら、iPadがなくても生活は成り立つ。
むしろ、おおくの方がYouTubeやnoteで言及しているように、iPadだけで、学生生活(あるいはビジネスパーソンとしての生活)を送ることは極めて困難である。

しかし、一部の人々にとって、iPadの「PCでも、スマホでもない」どっちつかずな特徴は、彼/彼女らの日常生活にこの上なくフィットする。

筆者も、iPadという存在が、日常生活にフィットした人間の一人である。
大学院での研究に必要な、論文執筆や研究会・シンポジウムへの参加といった活動は、iPadが一つの結節点となっている。

すくなくとも筆者にとって、iPadは「高級な板」ではなく、購入や維持にかかる金銭的コスト、保管場所等の物理的コスト、PCと共にもち運ぶ際の重量的なコストなどに勘案しても、所有する意味がおおいにある。

今回は、文系大学院生の目線から、iPadという「高級な板」の使い勝手を評価してみることにする。

iPadが生活に馴染むのかどうかは、その人が置かれた状況——職場の特徴や、経済状況なども含む——や当人の考え方などに左右されるため、「〇〇な人は買いである」などと、一律に要・不要の線引きを設定することは難しい。

本noteも、「大学院生なら皆iPadを買うべし」と主張することが目的ではない。
そうではなく、「iPadが生活に馴染んだ人間の、iPad活用記録」——いわば、大学院生のiPadの利活用に焦点を当てた民族誌——として、「世の中には、そんな使い方・思考をする人もいるのか」といった具合に読んでいただければ幸いである。



メリット①:文献管理を一元化できる、豊富なアプリたちの存在

ノートアプリを始め、iPad向けに開発されているアプリの数は、かなりおおい。
とくに、PaperpileとGoodnotesは、筆者の研究生活において欠かせない相棒になっている。


筆者がこれらのサービスを使い始めたとき、リリースされていたのはMac/iPad版のみだったように記憶している。

したがって、これらのサービスを使うというのは、筆者のiPadデビュー(2020年6月、Air3)を促すおおきな要因となった。

逆にいえば、博士前期課程を修了し、一般企業に就職が決まれば、おそらくiPadは手放すことになるだろう。

筆者の用途であれば、必ずしもProを買う必要はない。
だが、ProシリーズはOSのサポート期間が長いこと、(Apple製品全体に言えることではあるが)リセールバリューが高いことなどを加味して、あえてProを選択している。

また現在、博士後期課程への進学も視野に入るようになってきた。
そうなれば、さらに長い年月、iPadをもちいた論文管理をおこなうことになる。

より長期に渡り、使いつづけることができるという意味でも、Proシリーズを買って良かったのではないかと感じている。


メリット②:カメラ付きミニPCとして使える

世の中が急速にデジタル化していく中、学会や研究会においても、すこしずつではあるが、レジュメ等の配布資料について、デジタル形式での共有が進んでいる。

事前にPDFのレジュメが共有されることもあるし、会場に行くと、紙媒体の資料とともに、OneDriveやGoogleDrive等のリンクへ飛ぶQRコードがはられていることもある。

とくに、会場でデジタル形式のレジュメがもらえると分かったとき、iPadであればカメラでQRコードをスキャンし、そのままアプリを開くことができる。

もちろん、スマホでも閲覧することは可能だが、操作性はiPadやラップトップの方が良い。
iPhoneでQRコードを読み込み、HandoffでMacに引き継ぐ、という方法ももちろんあるが、iPadであれば、そうした連携の一手間が削減できる。


余談だが、学会発表等をされる方々には、パワーポイント(以下、PPT)の使い方をもうすこし考えてほしい、と常々思っている。

説明したい文章を、全て1枚のスライドに収めようとした挙句、文字サイズが相当ちいさくなった資料を、幾度となく目にするからだ。

文字ではなく、グラフや写真などを効果的に提示するのが、PPTの役目ではないのか。
文字を詰め込み、それを読み上げるだけであれば、Wordに書き起こせばよい。

学部時代から思っていたことではあるが、教員・学生を問わず、日本で、日本式の教育を受けた人たち——かなり曖昧で、おそらく学術的には問題のある主語設定ではあるが、ここではひとまずおいておく——は、とかくPPTに文字を詰め込みすぎである。

発表や講義の際、①Wrodで打ち出した文字資料+スクリーン上には図版のみ、②配布資料も、スクリーンに写す資料も、どちらもWordの文字資料、のどちらかにすべきではないか。

PPTを使うことを否定はしないが、短いタイトルや箇条書きをもちいて、文字量を減らす前提で作成していただきたい。

なお筆者は、発表の際には①読み上げる部分に下線を引いた、Wrod資料、②発表の流れや、写真・地図のみを示したPPT資料、の二つをもちいている。

デメリット①:PCの所持が前提

iPadは、当たり前だがPCではない。

したがって、腰を据えて長時間論文を執筆したり、複数のアプリを同時に立ち上げながら作業したりすることは、不可能ではないがかなりストレスがかかる。

そのため、母艦となるPC——とくに、Macだと親和性が高い——を所持していないと、iPadのもつ魅力が半減してしまう。

筆者は、iPadの魅力は、その機動性の高さゆえ、いつでもどこでも軽作業ができるという点にあると考えている。

PCでおこなう作業の下準備や、作業に必要なインプットなど、成果物の土台づくりに向いている、という印象である。

たとえば、先述したPaperpileも、まずはPCから論文をインポートする必要がある。
また、文献情報は各種クラウドを通じてiPad版アプリにも同期されるが、論文そのものについては、手動でiPadのストレージにダウンロードしなければ閲覧できない。

「iPadでできないこと」「iPadでもできるが、効率的ではないもの」を見極め、PCでの作業と連携を図っていく必要がある。
慣れれば問題ないが、ここが、iPadを使いこなす上での難所だろう。

「レベルの高い合格点を超える成果物」を「オールウェイズ出してくれる」のは、やはりPCではないだろうか。

デメリット②:iPad Proをもって、飛行機の非常口座席に座れない

これは、あくまで筆者にとってのデメリットであることを、最初にことわっておく。

ここ1年ほど、非常口座席の快適さに気づき、この場所を選んで——もちろん、緊急脱出の際にはCAさんの指示に従い、脱出の援助をおこなう可能性を了解した上で——予約することがおおい。

非常口座席では、貴重品以外の手荷物は全て、頭上にあげる必要がある。
iPadも例外ではなく、初めて非常口座席を使用した際に、しまうよう案内があった。

もしかすると、そのときはiPad Pro+Magic Keyboadの組み合わせだったため、頭上にあげるよう言われたのかもしれない。
またiPad Miniなら、手にもっていても問題ないようである。

ただ、iPad Proであっても、シートベルト着用サイン消灯中は、頭上の棚から取り出して、他の座席と同じように使用することができる。

デメリットとはいうものの、外の景色を眺めていたり、機内誌を読んだり、飲み物をいただいたりしている間——筆者はJALユーザーであり、毎回スカイタイムをお願いしている——に、あっという間に目的地に着いてしまうため、さほど問題はない。

iPadをもっていると、ついつい論文ばかりを読んでしまうため、すこしリフレッシュするという意味でも、機内ではiPadをしまっておくのも良いだろう、と最近思うようになった。


終わりに

以上、筆者がiPadを使う際に感じるメリット・デメリットを挙げてみた。
デメリットとはいうものの、「そういうものだ」と割り切ってしまえば全く問題ないし、そもそもストレスを感じることもほとんどない。

つまり、筆者にとって、iPadは最高の端末なのである。

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