漫才「噛み合わない二人」

AB「よろしくお願いしますー。」
A「私、鉄道が好きでして、将来の夢が車掌さんだった時もあるんですよ」
B「そうですか」
A「ちょっと今日車掌さんのアナウンス再現してみたいので、見ててもらっていいですか?」
B「うーんちょっと止めときましょうか」
A「何でですか?」
B「僕あまり鉄道興味ないんですよね」
A「いや、見てるだけでいいので」
B「見てるだけって言ったって。ボケたらツッコまなきゃいけないし、似てるなーとか言わなきゃいけないんでしょ。そんなのできないですよ?」
A「じゃあやめときましょう。失礼しました。」

(A一歩右へ離れる)

B「あのー、私小さい頃の夢がプロ野球選手で、特にヒーローインタビューに憧れていたんですよね」
A「そうですか」
B「今日その感じ再現してみたいので、私が選手やるので、インタビュアーやってもらっていいですか?」
A「いや、ちょっと無理ですねー」
B「何でですか?」
A「野球全然詳しくないんですよね」
B「いや、普通にインタビューしてもらうだけで大丈夫だから」
A「普通って何ですか?各駅停車のことですか?」
B「は?」
A「いや、“まもなく7番線に普通 高崎行きが参ります”とか」
B「いや鉄道の話はいいから。普通っていうのは一般的にってことです。」
A「そうなんですね。でも選手はもちろん野球のルールに関してもあまりよく知らないので普通にやることもできないですしましてや面白くすることなんて無理です」
B「分かりました分かりました、やめときましょう」
A「そもそもヒーローインタビューって何ですか?」
B「やめときましょう」

(B一歩左に離れる)

A「うーん、私車の運転が好きで、いつかドライブデートに行ってみたいなーって思うんですよね」
B「そうですか」
A「その日のために今日練習しときたいので付き合ってくれますか?」
B「嫌ですねー」
A「何でですか?」
B「車の免許持ってないですし」
A「いや助手席に乗ってもらえばいいので」
B「車酔い激しいので、乗ることも苦手なんですよ」
A「じゃあやめときましょう」
B「それに練習とはいえあなたの彼女になるなんてねえ」
A「やめときましょう」

(A一歩右に離れる)

B「私テレビドラマが好きなんですけど、クライマックスの犯人に自白させるシーンやってみたいんですよ」
A「やめときましょう、私、テレビ見ないので」
B「じゃあやめときましょう」
A「あ、大河ドラマは見たことありますけど」
B「大河ドラマは見ないです」
A「やめときましょ」

(A B一歩ずつ離れる)

(B離れた状態のAを見てセンターマイクに向かいながら)

B「共通の話題はないですか?」
A「それはこっちのセリフです」

(二人ともセンターマイクに戻る)

B「いや、お互い様ですよっていうのは分かるけどこっちのセリフですって言うのはおかしくない?」
A「もういいですもういいです、何か他にないですか?」
B「そうですね。お笑いサークルの仲間ですからね、お笑いの話でもしましょうかね。M-1がまた今年も予選が始まっていまして」
A「あ、私M-1見たことないです」
B「M-1見たことないの?」
A「あ、でも中川家が初代王者って言うのは知ってます」
B「そうなんですね、中川家が好きなんだ」

A「そうですね、中川家さんは漫才はもちろん、モノマネもすごいんですよね。例えばですけど、新幹線のトイレとか、電車の接近放送のモノマネなんかがありますよ。地下鉄長堀鶴見緑地線の接近メロディーのモノマネとか、中津行きの御堂筋線に悔しがる様子とかは圧巻ですよ!」

(地下鉄長堀からAに被せて)B「鉄道の話でしたー、中川家さんの話しようとしたら鉄道のコアな話、一人で始めちゃいました〜」

A「あと、中川家さんの「自動車教習所」っていうコントがめっちゃおすすめなんですけど、そのコントでね、道路標識の意味を当てるくだりがあるんですね。」

B「今度は自動車の話はじめました〜、中川家さんから鉄道と自動車の話に勝手に変えられました〜、もう会話できません」

A「そこで、「踏切有り」の標識を見た礼二さんが標識に書いてある電車は西武線だって言って、西武線について語り始めるんですよ。」

B「おい、おーい、西武線の話なら知ってますよー」
A「あ、知ってます?」

B「西武線の中でも西武狭山線の、その終点の駅が西武球場前駅でして、ここからメットライフドームが凄い近いんですよね。メットライフドームというのは、プロ野球パリーグの球団西武ライオンズの本拠地で」

A「野球の話でしたー、結局西武線の話ができるかと思ったら野球の話でしたー」

B「私が現地で見たのは2016年5月オリックス対西武、9回裏5点ビハインドから西武怒涛の反撃。1点差まで追い上げるも平野佳寿が抑えオリックスの勝利。ドラマチックな展開でした。ドラマチックといえばドラマの話をしたいんですけど。」

A「すいません。ドラマチックからドラマは無理やりですよ。」
B「流石にそうですね、鉄道の話と自動車の話されたんで、野球とドラマの話しようと思ったんですけど、下手でしたね。M-1の話に戻りますか?」

A「そうですね」
B「M-1の優勝賞金1000万にちなんで、もし1000万円あったら何します?」
A「そりゃ夢のマイカー二台持ちですよ。」
B「車の話でしたー、終わります。どうもありがとうございました。」

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