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ビットコインスタンダード

こんにちは
たかです

お金について興味があるなら
読んだ方が良いと一部で言われている
「ビットコインスタンダード」

実際に読んでみたらものすごく面白かった

この本は一応ビットコインについての話をしているのだが、
貨幣の歴史と抱えてきた問題点について
7割ほどを割いている。

そもそもお金には
ハードマネーとイージーマネーがある。

どういうことかというと、
そのお金を作り出すのが困難かどうか

イージーマネーはもちろん作りやすいもの
例えば、貝殻とか石貨とか

その作りやすさの指標として
「ストック・フロー比率」というものがある

ストック・フロー比率=(総供給量ー劣化で消滅した分)/新規供給量

例えば、銅を通貨としたら、
錆びてしまってダメになる
そうするとそれは「劣化で消滅した分」に数えられる

新規供給量は銅鉱山で採れた銅の量になる

このストック・フロー比率が高いということは
分母の新規供給量が相対的に小さいことを示していて
お金を作り出すのが困難=ハードマネーといえる

そして、ストック・フロー比率が高いものの方が
長期の価値保存が可能であり、市場価値が高い


例えば、銅が通貨の世界があったとすると、

誰かが銅を買い占めると希少性が上がるので銅の価値が上がる
そうすると銅を沢山採掘することにより採掘者はお金持ちになる
銅が市場に溢れ出すので、銅の希少性は下がって、銅価格は低下

こんなふうにしてインフレが進み、
通貨は価値を保存できなくなる

今日は100円で500mLの水が買えたが、
明日は1000円払わないと500mLの水が買えない
という世界になる

そもそも、通貨は3つの性質を持つ必要がある
①間接交換機能
②価値貯蔵手段
③価値尺度

①は物々交換での問題点の解決のこと
リンゴを欲しくないのにリンゴと交換を迫られたり、
家と1万個のリンゴを交換したり、
そういうことはちょっと難しい

だから通貨を使って価値の交換をする
その時に通貨の条件として必要なのが
A:規模一致
B:期間の一致
C:場所の一致

例えば
Aは靴と家の交換の時に問題が出る
  明らかに価値が全然違うので交換しにくい
Bは生魚と靴の交換
 生魚はすぐ腐ってしまうが靴はずっと使える
Cは家と家の交換
 海に近い家が欲しいのに山の近くの家と交換されても困る

そんな感じで物々交換の問題点を解消する

②は先ほど話したストック・フロー比率の問題

③は異なる交換手段が混在すると、モノの価値がわからなくなる
同じ国の中で「これは1ドルで、3gのゴールドで200円です」
とか言われてもよくわからない

交換手段を一つに統一することで
いろんな商品の価値の比較ができるようになる

この中で、①と③は割と容易に達成できるけれども
②がなかなか難しい

人間は欲があるから
簡単にお金を作り出して儲けようとする

そうすると「イージーマネーの罠」
に引っかかり、お金を作り出した人が
全ての富を奪い取ることができてしまう

今までの社会で
ゴールドは採掘難易度が高くて、
物理的化学的特性も安定していたために
一番ハードマネーとされてきた

ハードマネーを使う場合、
お金の価値を長期的に考えることができるようになる

それを時間選考が低いという

時間選考が低いのは
「今貯金をしておけば、1年後はもっと豊かになれる」
という考え方。

素手で漁獲をする2人がいて
一人はずっと8時間毎日、魚を釣っていた
 その日暮らしができればそれでいいという考え方

もう一人は6時間魚釣りをして、余った2時間で釣り竿を作った
そうすると、翌日は釣り竿で効率的に
半分の魚を釣ることができるようになり、
さらに余った時間で船を作ったら、
1時間で1日の仕事が終わるようになった

という具合。

ハードマネーであれば長期的に貯金の価値が上がっていくので
後者のように時間選考が低くなる。

そうするととても豊かな社会が生まれる
実際に19世紀後半では金本位制だったため、
ハードマネーの時代と言えるが、
現代の技術の基礎となるものが沢山生まれた

電気、内燃機関、自動車、飛行機、地下鉄、エレベーター
心臓手術、臓器移植、ステンレス鋼、電話、無線電信、カラー撮影

などなど
20世紀はその応用に過ぎない

そして、金本位制が終わりとなった1914年以降、
世界は戦争へと向かっていった。

金本位制の時代であれば、
軍事費を捻出しようとしても
税金の範囲内でやりくりするしかない

しかし、金本位制が終わり、
銀行でいくらでも紙幣の印刷ができるようになると、
軍事費を捻出できる

これはどういうことかというと、
実質的に増税しているのと同じ

国内市場に1億円のみある社会で
さらに1億円お札を刷ったら
市場にあるお金の量は2倍になるので
僕の持っている100円の価値は半分になってしまう

そんな感じで価値が減っていく
つまり、国家による横領が行われている
というわけ

ゴールドのようなハードマネーではこういうことができない
それはゴールドの新規供給が非常に困難だから

この新規供給が困難なことが
通貨にとってとても大切になってくる

で、ビットコインに関しては
発行量が2100万枚とすでに決められている
そして、4年に一度新規供給量が半分に減るイベントが
プログラムされている

今ではゴールドよりもビットコインの方が
新規供給が困難になっていて、
ゴールド以上にハードマネーであると言える

今後、ビットコインが決済の主流になるかはわからないが、
ゴールドのように扱われていくのではないか
と本ではまとめてある



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ビットコインについて勉強しようと思ったら
通貨の歴史とその問題点を長々と語られていて
最初は退屈かなと思っていたら
ものすごく面白かった

結構長いけれども2日で読了

現代の法定通貨はイージーマネーになっていて
それが故に稼いでも気がつけば国家に価値を奪われてしまう。

戦争は長く続いてしまうし、
未来に期待ができないし、
ハイパーインフレの恐怖もほんの少しある

逆にハードマネーの社会になれば、
19世紀後半のような豊かな時代を取り戻せる
ということ

通貨が紙であるか・ゴールドであるか、シルバーであるか
この違いが経済理論や人々の考え方、生活、戦争にまで影響してくる

それだけ「何を通貨とすべきか」が重要であることを
知るきっかけとなった

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