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「木三共」ってなに??(土地から新築)

①木三共とは

「木三共(もくさんきょう)」とは通称で、木造三階共同住宅を略した言葉です。

なぜ「木三共」だけこのような言い回しがあるのでしょうか?

通常3階以上の共同住宅は原則、「耐火建築物」にしなければいけません。耐火建築物ということは、鉄筋コンクリート造や鉄骨造が基本になってきます。最近耐火の木造も出てきましたが非常に工事費が高額です。

このように本来耐火建築物の必要性がありますが、小規模の木造かつ「一定の条件を満たすこと」「1時間準耐火建築物」とすることが可能です。この建築的な緩和を受けた建物を「木三共」として定められています。

おそらく木三共を多く建てられている投資家さんも「共同住宅3階」は、原則耐火建築物にしなければいけないことを知らない方も多いんじゃないかと思います。

さて、ここで重要になるのが先ほどの「一定の条件」がどういったものかということです。1時間準耐火建築物でOKとしているため、その代わりに様々な規制を定めています。そしてこの規制が非常に読みにくく難しい。設計士でもちゃんと理解できている方が少ないのが現状です。とりあえず避難バルコニーと開放性のある鉄骨階段にしておけば成立すると思われている方も多いです。(不動産投資事例集では、かなりこの条文がややこしいため、まずは避難バルコニー+開放性階段・廊下設置で解説しています)

では具体的な規制を解説していきます。👇のツイート画像の条文が根拠になります。ただかなり難しいため、下図の条件を覚えて下さい。

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この条件Aの①と②のどちらか、条件Bの③と④のどちらかをそれぞれ1ずつ選択すれば木三共の条件に合致します。

つまり「①と③」、「①と④」、「②と③」、「②と④」の4通りの組み合わせになります。

「②と③」の組み合わせを除いて避難バルコニー(2㎡以上)が必要になります。木三共にほとんど避難バルコニーが必要となってくるのもこの選択のためです。

もし上記の「②と③」を選択すれば避難バルコニーは不要になります。3mの離隔なんて無理だよ!と思われるかもしれませんが居室の周りに3mの規定しているため、道路側のみで採光を確保かつ隣地側に窓がなければ成立します。(非居室には窓があってもOKです!)

2㎡の避難バルコニーの有り無しは大きいですよね!道路面に面する住戸のみで計画する場合であれば、避難バルコニー非設置の可能性はあります。


参考)代表的な木三共の図面

下図の場合は、南側の住戸の居室の周りに3mの確保ができないため③の選択肢はできません。結果的に「①と④」、「②と④」どちらかの組み合わせになります。どちらにせよ2㎡以上のバルコニーが必要になります。バルコニーが必要になると各室2㎡異なってくるため、敷地面積も思ったよりも広く必要になります。このあたりが木造土地探しの難しいところです!

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またレアなケースですがどうしても階段を屋内化したい場合は「①と③」を選択すれば、階段の屋内化も可能です!あえて避難バルコニーを設置することで階段の屋内化もOKになります。

このように木三共といっても4パターン存在するため敷地にあわせてケースバイケースで選択する必要性があります。


②床面積の合計200㎡未満

2019年(令和元年)の建築基準法の改正によって200㎡未満の共同住宅はさらに緩和を受けられるようになりました。先ほどの複雑な組み合わせは不要で、自動火災報知設備か特定小規模設備用自動火災警報器を設置すれば避難バルコニーの設置や開放性のある階段・廊下も必要なくなりました。この緩和を使えばこのような計画も可能です。

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この時注意してほしいのは「床面積の合計が200㎡未満」となることです。これについては、次回解説しますが階段を面積に算入するかしないかが非常に重要になってきます。


まとめ

200㎡以上の木造3階共同住宅の場合は、「木三共」の規制を受けます。その場合は、表の「①と③」「①と④」「②と③」「②と④」のどの組合せに該当するか考えながら選択する必要性があります。特に避難バルコニーが必要になると各室2㎡異なってくるため、土地選定にも大きく関わってきます!

こちらで動画の解説も行っています!
https://coconala.com/services/2966851?ref_kind=category&ref_no=8&service_order=8&service_order_with_pr=8&service_order_only_pr=null

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