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敷地面積×建蔽率÷1.2(検証)(土地から新築)

不動産投資の本に書かれている土地のチェック方法


机上でのボリューム検討として下記のようなやり方を推奨している本が多く存在します。

「部屋の有効面積を計算する際は、階段・廊下・エントランス等が建蔽率に含まれるので、この分を2割程度みて「敷地面積×建蔽率÷1.2」で、ひとつの階の部屋に使える有効面積の合計値として計算します」

例)

建蔽率80%、指定容積率300%の100㎡の土地で建築できる建物の大きさを試算する

計算結果)

100㎡×0.8=80㎡

80㎡÷1.2=66.66㎡

よって各階 66÷3=22㎡

この計算式より各階ワンルーム3戸は入る可能性が高いので建築士に具体的なボリューム検討を依頼!



今回上記のような算出方法について、私が作成した図面を元に検証してみました。


前提条件

・都内のような比較的敷地面積が狭い敷地

・道路斜線や高度斜線等の高さ方向の規制はひとまず考慮しない



①121.36㎡ 20㎡×3戸 木造3階共同住宅 1面道路 

建蔽率60%+準耐火10%=70%

■簡易ボリューム検討

121.36×0.7÷1.2=70.79㎡

70.79㎡÷3=23.59㎡/戸

■図面より係数を算出

121.36×0.7÷1.4=60.68㎡

60.68㎡÷3=20.22㎡/戸

1面道路かつ木造の場合は、敷地内通路やバルコニーによって敷地面積が削られるため、実際の住戸面積は小さくなる傾向にあります。共用部の算定も1.4程度の係数になります。また提示の図面は間口が広く2つの住戸を配置できていますが、間口が狭い場合は2つの住戸の配置が難しくさらに係数が大きくなります。



②94.47㎡ 20㎡×3戸 RC造5階共同住宅 1面道路 

建蔽率80%+準耐火10%=90%

■簡易ボリューム検討

94.47×0.9÷1.2=70.85㎡

70.85㎡÷3=23.61㎡/戸

■図面より係数を算出

94.47×0.9÷1.4=60.73㎡

60.73㎡÷3=20.24㎡/戸

1面道路かつRC造の場合は、バルコニーの法的な設置が必要ないため敷地を有効に使うことができますが、隣地境界からの離隔によって敷地面積が削られる分共用部の比率も大きくなり、係数1.4程度となります。



③95.47㎡ 20㎡×3戸 木造3階共同住宅 2面道路 

建蔽率60%+準耐火10%+角地緩和10%=80%

■簡易ボリューム検討

95.47×0.8÷1.2=63.64㎡

63.64㎡÷3=21.21㎡/戸

■図面より係数を算出

95.47×0.8÷1.25=61.10㎡

61.10㎡÷3=20.36㎡/戸

2面道路かつ木造の場合は、バルコニーの法的な設置が必要ないため敷地を有効に使うことができます。図面からの係数も1.25と1.2の違いなのでほぼズレはありません。



③93.57㎡ 20㎡×3戸 RC造5階共同住宅 2面道路 

建蔽率80%+準耐火10%+角地緩和10%=100%

■簡易ボリューム検討

93.57×1.0÷1.2=77.97㎡

77.97㎡÷3=25.99㎡/戸

■図面より係数を算出

93.57×1.0÷1.55=60.36㎡

60.36㎡÷3=20.12㎡/戸

2面道路かつRC造の場合は、角地緩和と耐火建築物になることから建蔽率は100%になります。隣地までの離隔が必要になり係数も1.55程度必要になります。


まとめ

このように係数が1.2でよい場合は、角地かつ木造の場合になっています。その他の形式は1.4~1.55程度必要になってくるため、敷地の接道状況に合わせ係数を変えていくことが重要だと思います。またこの図面は、整形の敷地としているため非常に効率よく配置されています。実際はいびつな敷地が多く、デットスペースができるため係数もさらに大きくなる可能性があります。

今回4図面を提示してご説明しましたが、その他についてもフローチャートで図面化を行っています。ご興味がある方は一度覗いてみて下さい!

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