祇園祭の基礎知識
7月になりました。暑いし雨が降るしツラい季節です。
京都の7月といえば、何といっても祇園祭。「コンチキチン」の祇園囃子が河原町通とかで鳴り響く時期です。
と書いたのですが、筆者は今東京にいて、その音色を聞くことはないです。懐かしい気持ちになりつつ、祇園祭を調べたいなと思い立ち、調べてみると結構おもしろい。おもしろさの余りnoteを書いてみました。
なお、出典は基本的に『京都検定公式テキストブック』、『詳説日本史』、を参照して、足りない情報は都度ググっています。
疫病神を鎮める儀式として始まった
ときは平安時代。京都は平安京遷都に伴い人口が増加しました。当時の京都は満足な汚物処理システムがなく、劣悪な衛生状況でした。衛生面が悪いので疫病が流行しやすいです。加えて、地震・台風・河川氾濫など、定期的な天災にも悩まされていました。
当時、疫病や天災は怨霊は疫神といった御霊のせいだと解釈されてました。そんな訳ない、と言えるのも現代科学のおかげで、恐ろしい現象を「妖怪のせいなのね、そうなのね」と説明するしかなかったのでしょう。
そんなわけで、御霊を祀ったり鎮める儀式をしたりすることで疫病や天災を防ごうとする考え、御霊信仰が流行りました。代表的なのが北野天満宮。菅原道真の怨霊を鎮めるために造営された神社です。もう1つが祇園祭。祇園御霊会という、疫病を鎮めるための祭りが祇園祭の源流となります。
疫病神の代表格に、他の疫病神を撃退してもらう
八坂神社の祭祀は牛頭天王(後述の通り現在はスサノヲノミコト)。牛頭天王は強力な神で、疫病神の象徴とも言われるほどですが、その強大な力を頼って御霊たちを撃退しようとしたようです。17日神幸祭/24日還幸祭で牛頭天王・その妻・その子ども、三基の神輿が都を練り歩き、疫病神を退散していきます。これが祇園祭のメイン行事です。
[column] 「蘇民将来之子孫也」のちまき
京都では、わい蘇民将来の子孫だから疫病を振り撒かないでね、ってちまきを飾る文化があります。
<エピソード> 牛頭天王が旅行したときのお話。宿を求めた際、裕福な巨旦将来は断った一方、その兄・蘇民将来は、貧しい暮らしをしていたにも関わらず、牛頭天王を手厚くもてなした。牛頭天王は帰るときに巨旦の関係者は皆殺ししたが、蘇民将来の家族は助けた。そして、蘇民将来の子孫は疫病を免れると約束した。これが「蘇民将来之子孫也」のちまきがお守りとして飾る文化につながっている。 ちなみに、6月になると神社各所で「茅の輪くぐり」をするのは、蘇民将来に渡した護符が茅の輪だったから。
[column]御旅所
祭りの期間に三基の神輿は御旅所で過ごします。御旅所はかつて2ヶ所だったが、秀吉によって1ヶ所になり現在に至ります。
有名な山鉾、実はあれは祭りのサブ
上記の通り、祇園祭のメインは神輿渡御。つまり本来、山鉾は神幸祭/還幸祭に付随する出し物にすぎないです。神輿渡御に先立って、御霊を集め喜ばせるために山鉾や囃子などで盛り上げたのです。ただ、次第に大きく華美になっていき、神輿以上に注目を集めるようになったわけです。
山鉾の発展を支えたのは町衆
豪華な山鉾へと発展した経済基盤は裕福な商工業者たちでした。山鉾たちは応仁の乱や数々の大火に見舞われるわけですが、その度に復興を支えたのも町衆でした。神事として始まった祇園祭は、町を母体とした祭りとして発展していったわけです。
江戸には、寄町制度(ヨリマチセイド)といって、周辺の町々が、特定の山鉾の寄町となって、経済支援する制度がありました。明治になって、寄町制度は廃止されましたが、清々講社(セイセイコウシャ)という組織が代わりとなって現在に至ります。
[column]室町時代の京都は、町衆による自治都市として発展していた
平安末期〜室町時代、商工業者たちは寺社からの庇護と特権で勢力を伸ばし、「座」と呼ばれる同業者組合へと発展しました。商業の発展とともに京都では市民が増加し、室町時代には「町」という共同体が形成されました。町には町法が存在し、月行事と呼ばれるリーダーによって運営され、自治的な性格を持つようになります。
祇園祭の略歴
平安
869年に疫病が流行し、神泉苑にて66本(当時の国の数)の鉾を立てて疫病退散の神事をおこなった。祇園祭の起源。
室町
応仁の乱で一時中止となったが、1500年に町衆の力で再興。
江戸
その後も宝永の大火(1708)、天明の大火(団栗焼け, 1788)、元治の大火(どんどん焼け・鉄砲焼け, 1864)など被災したが、その都度再興。
明治
廃仏毀釈の流れで、仏教由来の祇園・牛頭天王といった言葉を廃止する流れに。祇園社→八坂神社、牛頭天王→スサノヲノミコトへ変更される。今の日程に固定したのもこの頃。
昭和
戦時中、1943-1946は中止となったが、1947年に復活。 観光客への配慮などの理由で前祭と後祭が合体した時期があった(1965-2013・2013に後祭復活)。
祇園祭のスケジュール
いつに何の行事があるか覚えるのも億劫なのでカレンダー形式(雑)にしてみました。
京都検定を受けたことがある人は分かると思いますが、山鉾を覚えるのもなかなか難儀で、一覧(雑)にまとめました。お見せできる形になったら公開したいですね。
p.s. 京都行きたい
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7/ 14 追記
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