見出し画像

SFショート 恋愛観測衛星コイダス


N国では少子高齢化、女性の未婚化・晩婚化、離婚率の増加等で人口が減少 している。

労働人口の減少、税収の減少、社会保障費増加でN国の財政を圧迫している。

「君、打つ手はないのかね、有識者会議はうまくいっているのか」と総理が 少子化高齢化担当大臣に迫っていた。

大臣「もっと、男女が出会う機会を増やし、結婚を前提としたお付き合いには補助金を出して、恋愛しやすい環境をつくりましょう」と提言した。

翌日、総理主催少子化高齢化対策有識者会議で               『AI・GPS搭載恋愛観測衛星コイダス』を打ち上げることが決まった。

この衛星は、国が管理している個人情報から、街で接近する男女の年齢、趣味異性の好み、相性等を瞬時に判断して、対象の男女の通信端末に連絡し、出会いを促すシステムになっている。


                                                              *


何するあてもなく、街を歩いていると ピピィ おれの端末が鳴った。   

「もしもし~」                           

「いますれ違った女性 髪が長く 赤いブラウスで 黒いバックを持った  そう・・・その子」

その女性を見つめ、確認していたら、その女性の端末が鳴り、こっちを振り返った。

まさにおれ好みの美人!!                        

「あの~ お茶でもどうですか?」勇気を出して誘ってみた。

「はい、大丈夫です」明るく微笑みながら応えてくれた。

おしゃれなカフェに入り、楽しいおしゃべり、夢のようだ。        彼女もとても楽しそうだ。

おれ「これからお付き合いしてもらえませんか」             彼女「はい、こちらこそ、よろしくお願いします」

急接近したおれたちは、カフェを出て、腕を組んで街を歩いた。    


                                                              *


ピピィ おれの端末が鳴った。                    

「もしもし~」                           

「いますれ違った女性 ショートカットで ピンクのシャツとジーンズ   足が長い ちがうよその先を歩いている  そう・・・・その子       その子君にピッタリ!」

その女性の端末も鳴り、振り返っておれを見ている。

その時、腕を組んでいる彼女の端末が鳴った。

                               おしまい