マガジンのカバー画像

わび寂びライカ USA

5
もう一度だけ海外へ行くとしたら、いの一番にニューヨークだ。ケネディ空港で拾ったタクシーのラジオからながれるクールジャズに身をゆだね、クイーンズボロ橋が近づくにつれ摩天楼のスカイラ… もっと読む
運営しているクリエイター

#トンプキンズ広場

影の男

大窓から差しこむ朝日をあびた大男が、ひろびろとしたコンコースのど真ん中で突っ立っている。 肩幅は広くたくましい。逆光にうかびあがったシルエットは、力強さそのもの。だが、影は大きいけれど、弱々しい。 強と弱が一緒になった男の光と影は、世紀末アメリカを象徴しているかもしれない。いまなお世界最強だが、衰退の兆しを見せる黄昏の大国アメリカ。 グランドセントラル駅、午前9時。 朝の通勤客が急ぎ足で行きかうコンコースを見張る。 人の良さそうな黒人の警官がそばにいる。安心してカメラを

トンプキンズ広場のジャズ

スイングするビートにのって、サックス、ピアノ、ベースとソロがくりひろげられていく。 たった1メートルの鼻先で軽やかにふきあげているサックスに、スローシャッターを切った。 ジャズがきこえる写真を撮りたかったのだ。 人種のサラダボールのニューヨークでも、その色合いがこく、いろんな階層がまじりあう街、 イースト・ビレッジ。 人種と階級のごったまぜが、この街を時代に先取りするアートの先端発信地とした。 一見バラックと思える実験劇場LaMaMa(ラ・ママ)。 オフ・オフ・オフ・ブ