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わび寂びライカ EU

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わがカメラ事始めは、30年ほどまえのイタリアの旅。出発まぎわに「写真の撮り方入門」を手にした泥縄そのものであった。 そんな初心者が、プロ仕様のピントも露出も手動のニコンF3で撮っ…
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わび寂びライカ

わがカメラ事始めは、30年ほどまえのイタリアの旅。 出発まぎわに「写真の撮り方入門」を手にした泥縄そのものであった。 そんな初心者が、プロ仕様のピントも露出も手動のニコンF3で撮って、ピンボケだらけのネガの山を築いた。 アッシジの路地裏。あ、同じカメラを持っている! とお互い思わず駆けよった相手がドイツの女子学生であった。 ベテラン風情の彼女は、プロ風にニコンを「ナイコン」と発音して、ライカより良い「キャメラ」、と。 その後、イタリアの失敗写真から抜けだそうとF3のシャ

神の声をきいた

アアー、アアァーアアアァー 厳かな声が 天から降りそそいでくる これはなんだ、神の声ではないか…… じつは僕の声が 高い円天井にこだましているのだった その間およそ8秒 赤茶けた荒地にオリーブの樹がひろがる丘を 幾度となく登ったり下ったり グラナダから車で60分のモンテフリオに着いた 白壁の家が 丘の斜面に連なる住民2000人だが スペインでもっとも美しい村といわれる 道ばたの八百屋から出てきた老人に誘われるまま 教会裏手の扉からドームへ通じる狭くて暗い すりへっ