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わび寂びライカ EU

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わがカメラ事始めは、30年ほどまえのイタリアの旅。出発まぎわに「写真の撮り方入門」を手にした泥縄そのものであった。 そんな初心者が、プロ仕様のピントも露出も手動のニコンF3で撮っ…
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わび寂びライカ

わがカメラ事始めは、30年ほどまえのイタリアの旅。 出発まぎわに「写真の撮り方入門」を手にした泥縄そのものであった。 そんな初心者が、プロ仕様のピントも露出も手動のニコンF3で撮って、ピンボケだらけのネガの山を築いた。 アッシジの路地裏。あ、同じカメラを持っている! とお互い思わず駆けよった相手がドイツの女子学生であった。 ベテラン風情の彼女は、プロ風にニコンを「ナイコン」と発音して、ライカより良い「キャメラ」、と。 その後、イタリアの失敗写真から抜けだそうとF3のシャ

ライカよもやま話

25年ほどまえ、ドイツはハンブルクの街角。 暗がりにライカM6をおとしてしまった。レンガの舗道に落下しガチッと音がして底蓋の角が凹んでいた。レンズの鏡胴にも傷がある。おそるおそるフィルムを巻きあげ、翌朝カメラ屋にとびこんだら、ちゃんと動くよ、と。 港町ハンブルグの路地裏を歩きまわりスナップを撮ることができたのは、頑丈でなかなか故障しないライカのおかげであった。ドイツ製品の堅牢さとそれへの信頼がある。 1910年代、ドイツのオスカー・バルナックが小型カメラの原型を発明し、