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港町・函館 今と昔

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天然の良港をいだく函館。 高田屋嘉兵衛の千石船が出入りし、ペリー提督が水と薪をもとめて開港をせまり、戊辰戦争では榎本武揚の艦隊が官軍と交戦するなど歴史を刻んできた。 開港160年…
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#復元

「風花日和」

古い蔵の二階にあがってびっくり 屋根うらの棟木に墨でくろぐろと 「 明治9年4月13日 第13代 常野與兵衛 建造」 147年まえに建てられた木造二階建て土蔵造り この土蔵は、ペリーが箱館に上陸した22年後に 松前藩と会談を行った場所近くに建てられた 建て主の常野與兵衛は 大町にひらいた茶舗を拠点に 茶業、書店などをひろく営んでいた さらに大火事が頻発する この地で防災に力をそそぎ 函館公園の開設、さらにコレラ予防に 上水道の計画をすすめるなど そのころの街の顔役であ

榎本武揚の切腹

1868(慶応4)年、京都郊外の鳥羽伏見で官軍と旧幕府軍との間で火蓋が切られ、戊辰戦争の幕が開いた。 その戦争の最北端の地、箱館・五稜郭。 1869(明治2)年5月。最後の決戦にのぞもうと榎本武揚は、これからの新時代に有用であり兵火で灰にしてはしのびないと、国際法の秘蔵本『万国海律全書』を官軍の黒田清隆に贈った。 黒田は、かならず新日本の役にたてると返書をよせ、酒樽五本とマグロ五尾をどーんと届けた。武器と弾薬は足りているか、との文まで添えて。まさに敵に塩をおくる武士道その