28. 締めてもヌケるは役立たず

ヘッポコなタンゴの後はチャチャチャの時間である。

「チャチャチャは覚えたの? 坊や。」

いきなりのセクシー先輩だ。

ステップはなんとか。でもまだ“ロック”をちゃんと習ってないんすけど。

「あら? そうだったかしら。」

はい、教えて下さい!

「いいけど、その前に一緒に踊ってみましょ。」

お願いしまーす!

ワン、ツー、スリー、チャ、チャ、ワン、

ツー、スリー、チャ、チャ、ワン。

「ふーん、意外と覚えるの早いわね。」

意外とってどういう意味だろ?

「“シャッセ”はまあまあだけど、“ロック”は全然ダメね。」

はぁ、まだよくわかってないんすけど・・・。

「も〜、しょうがないわね。

基本的には“シャッセ”と同じよ。

開いて閉じて開く!」


股を?

「“ロック”はそれを前進や後退でやるのよ。」

どういうことすか?

「1歩目で前進か後退かしたら2歩目で両脚を交差させるの。3歩目で前か後ろに開くの。」

交差?

「そう、坊やのは交わってないのよ。足が横並びになってる。それじゃ“シャッセ”でしょ!」

す、すんません。

「いい? まずは前の足の膝裏に後ろ足の膝をくっつけるの。」

こうすか?

「ちょっと〜、スッカスカじゃない!

ちゃんと股締めてるの?」

スッカスカ・・・。


「この前言ったでしょ。

股をキュッと締めるの!」


締めてるんすけどね〜。

「ホントに〜? じゃあ内モモでアタシの手を挟んでみて。」

えっ、いいすけど。

「じゃあイクわよ❤️」


セクシー先輩の手が私の股の間に突っ込まれる。

「ちょっと、ヤダ。ユルユルじゃない!

こんなんじゃすぐヌケちゃうわよ💋」


先輩の手が私の股から抜き出される。

「ほら、すぐヌケちゃったわ❤️」


早くてすみません。

「もっとちゃんと締めなきゃダメ❤️

もう一回シテ!」


先輩は何回も私の股に手を挿入するが、その度にヌケてしまう。

「も〜、こんなに早くヌケちゃってどうすんのよ❤️

もうちょっと我慢しなさいよ。」


申し訳ない。

「もっとカッチカチにしなきゃダメ❤️」


こんな感じすか?

「こんなんじゃゼンゼン役立たずよ!」

役立たず!?


タンゴのヘッポコに続き酷い言われようである。

「カッチカチにしないとすぐヌケちゃうわよ💋」


はい、頑張ります・・・。

この日、私のオトコの尊厳は粉々に打ち砕かれたのであった。


次回、新たなるイベントが!? 


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