17.淑女のたしなみは夜会とガングロ

男性のダンスヘアーに度肝を抜かれた私は、女性は一体どんなビジュアルで登場するのか戦々恐々としていた。

間もなくしてスタンダードに出場する女性の先輩が合流した。

「おはよー!」

おはようござい・・・

デ、デヴィ夫人!?


先輩のヘアーは後ろ髪を捻じり上げられた状態でセットされている。

こんな髪型デヴィ夫人以外に見た事ないよ。

例のごとくカッチカチのテッカテカである。

さすが紳士淑女のスポーツだ。

凄い髪型っすね。なんて言うんすか?

「これはね、“夜会巻き”って言うのよ。」

ネーミングもスゲー。


これで着物きてたらクラブのママだよ。

(行った事ないけど)

そうこうしている内についに満を持してセクシー先輩が降臨なされた。

腰を揺らしながらセクシー先輩が近づいてくる。

セクシー先輩の組はラテンに出場するらしい。

「おはよー!」

おはようございま・・・

くっ、黒っ!


セクシー先輩の顔は“松崎しげる級”にまっ黒だった。

先程の男性の先輩で耐性が出来たつもりであったが、そんなものではない。

ガングロである。


ど、どうしたらそんなに黒くなるんすか!?

「2週間前から日焼けサロンに通ってるのよ。」

日サロ!?  


「あら、ラテンに出る子はみんな行ってるわよ。」

マジか。渋谷のマンバギャルもビックリだわ。

あの〜、ちなみに何で黒くするんすか?

「黒い方が速くて強そうに見えるでしょ。」

・・・やっぱりフワッとしちゃってるのよ、理由が。


・・・でもヘアーは意外と普通だな。

セクシー先輩のヘアーも確かにカッチカチのテッカテカなのだが、夜会巻きを見た後だからなのかそれほどの衝撃は無かった。

セクシー先輩のヘアーはポニーテールを丸くまとめ、後頭部にモッコリと山を築いていた。

それ何ていうんすか?

「これ? これはねシニヨンていうのよ。

通称“おだんご”よ。」


なぜわざわざ“おだんご”?

シニヨンで良くない? 字数変わらないよ?

「後頭部に重さがあった方が首を速く動かせるのよ。」

へぇ〜。

ところで2人とも家からここまで何で来たんすか?

「電車に決まってるじゃない。」

マジで!? その格好で!?


周りの視線は気にならないんすか?

「けっこう痛いわよ、視線。でももう慣れたわね。

むしろ、カ・イ・カ・ン💋」

「だね❤️」


変態だ。とんでもない変態だ、このヒト達。

私はすでに試合前にこの変態どもの祭典に足を踏み入れてしまった事をあらためて思い知らされたのであった。

次回、ついに試合の火ぶたが切って落とされる!


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