閉塞性無呼吸と心房細動

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は,睡眠中に気道閉塞を生じることにより,様々な生理学的変化をきたし,高血圧や心血管事故の原因となることで注目されている.OSA では心房細動をはじめとし,種々の徐脈性不整脈や頻脈性不整脈を合併する。

OSAとAFの関係については、OSA患者はAFの新規発症率が有意に高くなることから、OSAがAF発症の独立した危険因子であることが報告されている。長期経過のみならず、閉塞性無呼吸のエピソード中、もしくはその直後にAFの発症率が高い。

閉塞性睡眠時無呼吸患者の心房細動罹患率の推移

OSA によって生じる不整脈の機序には,まず急性のOSA エピソードによる胸
腔内圧の変化・低酸素血症に伴う自律神経の変化,特に副交感神経が深く関与する電気生理学的変化があげられる.それに加えて,OSA が長期間持続す
ることにより,低酸素血症や心筋進展が生じ,心臓の構造的リモデリングが進行し,不整脈源性基質が形成される.さらに臨床的には,高血圧・肥満・心不全などのOSA に合併する基礎疾患の存在もリモデリングを促進する要素となるため,相加相乗的に不整脈源性器質の形成に寄与しあうと考えらる.

岩崎雄樹、閉塞性睡眠時無呼吸症候群における不整脈発生と自律神経の関係、心電図 Vol. 36 No. 1 2016


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