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クライアントの言うことを鵜呑みにするなというお話

Twitterを本格的に始めて1年半。タイムラインを眺めていればクライアントからの無茶苦茶だったり奇想天外な要求への愚痴がよく流れてくる。

交流会で同業の人と飲んでいても、クライアント関連の苦労話やキツイ要求についての話が出ることが多い気がする。そういった話は大抵「プロとしてクライアントの無茶な要求に応えてやったぜー!!」的な武勇伝につながることが多いのだけれど、少し違和感を覚える。

それは「クライアントの意見を鵜呑みにして無茶な要求に応えるのがプロなのか?」という点だ

まず、クライアントは(僕の見る限りでは)Webの知識が希薄だったりITリテラシーが低い場合が多い。タイムラインでは「IE対応は有料化しようぜ!」とか「もう対応する必要ないでしょ!」的なツイートが流れてくることが多いが、今でもWindows 7でIE11使ってるクライアントって決してレアではない気がする。人間、興味のない分野はとことん無知なのは当然なので、クライアントにWebへの興味がなければ知識が希薄なのは当たり前だし、ITリテラシーが低いことは悪いことではない。ただ、その実装によってどれだけのコストがかかるのか、費用対効果はどうなのか、ユーザビリティやアクセシビリティへの配慮はどうなのか、情報設計は破綻していないか、SEO的にコンテンツ内容が怪しくないか、保守性が大きく損なわれてはいないか…などなどを考えられるベースがないのは確かだ。

無茶苦茶な要求というものはこういった事情から生まれることが多いけれど、クライアントが大切だからといってクライアントの意見を鵜呑みにするのはプロとしてどうだろうか?

プロとしてWebサイトの制作を依頼された以上、僕たちがやるべきことはクライアントの意向を最優先に汲みながらも、僕たち制作者が持っている知識を最大限に活かして「提案」をすることだ。クライアントの言うことを鵜呑みにして無茶振りに応えることではないはず。

クライアントの無茶振りに応えた結果、「クライアントのせいでクソみたいなサイトになっちまったぜバーカバーカ」って言うのは至極簡単なんだけど、それはクライアントが悪いのではなく、きちんとクライアントが納得する最適解を提示できなかった制作側に問題がある。そう思っている。

僕の経験だとしっかりと説明をしたら理解してくれるクライアントは多い。クライアントも良い物を作りたいという気持ちは持っているはずだから。

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ちなみに対Web知識の疎いデザイナーに対しても同じことが言えると思う。
デザインカンプを「レイヤーがぐちゃぐちゃ!レイヤー整理はデザイナーのルーチンワークだろうが!!」とか「こんなに規則性の無いデザインじゃ汎用性どうすんねん!!」みたいに愚痴りながらただ組みあげるのでは意味が無い。よく愚痴っているけど。

きちんとおかしいと思う箇所は実装側の目線から指摘してあげよう。同時に気になるデザイン(どうしてこの色なのか?余白の開きに差が大きいのは何故か?文字の大きさは何故このサイズなのか?など)もデザインの意図を知るためにも積極的に質問する。多角的な視点がWebサイトの設計には必要だから。「デザイナーの作ったデザインを尊重しなくちゃ!」と言って思考停止でピクセルパーフェクト目指すとかそんなことよりもよっぽど大切な作業だと思う。

ただし、そのデザインはデザイナーなりにベストを尽くして作ったはずだから直接的な批判は作業を円滑にしていくためにも避けるべきだ。「僕はこのデザインとーっても好きです! でもここだけレイアウト違ったらユーザーは困惑しちゃうかも? 統一したら運用性も上がるし、初めて訪れるユーザーに学習コストを強いることなく見てもらえそうですね🌟」なんて言い方をすればデザイナーも受け入れやすいと思う。

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制作者にはコミュニケーション能力が必要とかそんな感じのオチになってしまった。クライアントとプロとして対等に向き合うことがこの業界において大切なんだろうなって話でした。

ちなみに前回のnoteから約10ヶ月ぶりくらいの投稿である。更新サボっていたのにフォローしてくださる皆様ありがとうございます。

愛と平和