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法廷記録を読んでて「異議あり!」

原文の一部は以下。
私は、被控訴人の反証に「謎です!」でした。

国家賠償請求控訴事件

原審結果:棄却

趣旨:
裁判長が,法廷警察権に基づき,刑事事件の公判期日における傍聴人のノートパソコンの使用を
一律に禁止した措置が,国家賠償法1条1項にいう違法な公権力の行使にはあたらないとされた事例。

事案の概要等:

1、本件は,控訴人が,刑事事件の公判を傍聴中,
持ち込んだノートパソコンを使用して,傍聴記録を作成していたところ,
裁判長が控訴人に対して法廷警察権を行使して
上記ノートパソコンの使用を禁止したことにより,
控訴人の成年後見業務及び法廷付添業務が妨害されるとともに,
法廷記録作成権が侵害され,その結果,控訴人が精神的苦痛を被ったと主張して,
被控訴人に対して,国家賠償法1条1項に基づき,
慰謝料50万円及びこれに対する不法行為の日である平成29年3月7日から
支払済みまでの民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
原審は,控訴人の請求を棄却したところ,控訴人が控訴した。

2、前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,
次のとおり補正し,当審補充主張を次項に付加するほか,
原判決「事実及び理由」の第2の2ないし4に記載のとおりであるから,これを引用する。

控訴人:略

被控訴人:
ア、

傍聴人がノートパソコンを使用してメモを取る行為は,
紙とペンによる筆記行為と異なり,
法廷における公正かつ円滑な訴訟運営を妨げる種々のおそれがあるところ,
控訴人が主張するノートパソコンを使用している傍聴人の属性,
その使用目的,当該ノートパソコンの使用機能,
打鍵音の大きさ等を個別に確認するなどして合理的調整を図ることについては,
傍聴人のノートパソコンに録音録画機能や通信機能が備えられているかどうかを,
書記官等が外観から識別することは著しく困難であるし,
その確認のために時間を要することにもなり,
それにより訴訟の進行に遅延が生じかねない。
また,裁判所と傍聴人との間で論争が起こるなど法廷が紛糾する可能性があるから,
それ自体が円滑な訴訟運営を著しく妨げることになる。

打鍵音についても,実際に法廷で使用されなければ,
どれほどの打鍵音が発生し,訴訟運営に影響を与えるものか否かが判断できず,
事前に書記官等によって弊害の有無を確認することは困難である。
さらに,一旦,傍聴人にノートパソコンの使用を認めたところ,
弊害が生じたとしてその使用を中止するというのは,
既に円滑な訴訟運営を妨げる状況であり,
その状況の発生を防止する必要がある。

そのため,控訴人が主張する合理的調整を行うことによって,
法廷における公正かつ円滑な訴訟運営が妨げられる事態を防止することはできず,
かえって,そのような調整を行うことにより,
訴訟運営への支障を生じさせるおそれがある。
そして,本件指示は,控訴人に対して,
ノートパソコンの使用を止めるように求めただけであって,
控訴人が傍聴記録を作成すること自体を制約するものではない。

はい、細かすぎて伝わらない論争ですね。

私も一審なのか二審なのかすら分からず、
控訴人は誰なのか?という疑問だらけですが 苦笑

文脈から察するに恐らくは、
一審で上告人のXさんと、被告人のYさんがいて、
Yさんが傍聴席で傍聴しながらノートPCでカタカタと
裁判の内容を記録していたのかなぁ?と。

そして、そのYの行動に不服を申し立てたのがXさん。

そして話は、Yさんがやった
ノートパソコンで法廷の内容を記録することが
訴訟運営に影響を与えたと言えるか?
みたいな争点になっていっている。。のか? 苦笑

私が読んでてツッコミたくなってしまったのは、
被控訴人の反証の、

「打鍵音についても,実際に法廷で使用されなければ,
どれほどの打鍵音が発生し,訴訟運営に影響を与えるものか否かが判断できず,
事前に書記官等によって弊害の有無を確認することは困難である。」
の部分です。

これだけを読むかぎりでは、
「控訴人が傍聴席でノートパソコンを使用したことのによる影響は、
やってみないと分からない」と言った内容に感じました。

つまり、それ以外の部分の反証も無力化してないか?と。

たとえば、

「その確認のために時間を要することにもなり,
それにより訴訟の進行に遅延が生じかねない。」とか、

「そのような調整を行うことにより,
訴訟運営への支障を生じさせるおそれがある。」と。。

えーっと、でも
「実際に法廷で使用されなければ、
どれほどの訴訟運営に影響を与えるものか否かが判断できず」
って言ってませんか?

私の読解力の心証も怪しいですが 笑
(自分の中で繋がりそうで繋がらない!)

いや、私の頼りない読解力によると、
被控訴人は、

「ノートパソコンの使用の影響は、やってみるまで分からなかった」

しかしながら、
「訴訟運営への支障を生じさせるおそれがある。」
「訴訟の進行に遅延が生じかねない。」

とおっしゃっている。

つまり、単なるバイアスによる予測に過ぎないのでは…?

簡単に表現するなら、

「それってあなたの感想ですよね?」
「悪影響を及ぼすって証拠あるんすか?」

と、どうでもいいツッコミを入れたくなったのである。

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