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Lumon ―ルモライトの過去―

果てしない宇宙の遥か彼方に一人の生命が生まれていた。
まだ幼く、小柄な黄色の子。
頭には猫のような耳、小鹿のまだ生やしきっていないような短くつやのある角が可愛らしくついている。
丸みを帯びた前髪、後ろにツインテールのようなものも。
どうやら名を「光の精霊ルモン」というらしい。
光を司る精霊の一種のようだが、自覚するにはまだ時間が必要のようだ。
そんな彼女は好奇心旺盛で、銀河のありとあらゆる惑星を興味のままに発見して回ることを好んでいる。
幼いながら能力は見事なもので、無自覚にも頭のアホ毛のようなちょうちんからの光で広い範囲の惑星を確認し、迷子になることなく宇宙空間を進んだ。
鼻歌と共に旅するルモンの姿は、その順風満帆ぶりをよく表した。

そんな彼女はある時、とある煌びやかな建築物を見つけた。
宇宙を照らすほどのネオンライトに包まれたそこに、おしゃれをした大勢のイヌが集っている。
犬種は…大半がプードルといったところか。
(きれいなひとたくさん…なにかあるのかな)
ひとりで旅をしてきたルモンにとって、生き物の集団は希少なものだった。
そんなイヌだかりに彼女は強い興味を示し、目を輝かせた。
イヌ達は皆、誰かに心酔している様子だ。
そんなイヌ達の目に、建物に侵入する光の子が映ることはなかった。
建物の少し奥に進むと、特に声のする場所が。
(こえがきこえる…なにかな)
耳を澄ますと、どうやら楽しそうな会話が入ってくる。
「でも私って他の子より劣ってるしー…」
「分かるよ。僕の兄さんは僕より頼れるし、面白いんだ。でも僕は劣ってるって思ってないよ。君に出会えたんだからね。」
「キャーーーー!!ステキーーー!!」
異彩放った青色のチワワに向けて、黄色い声が飛ぶ。
好意にあふれた空間を前に、ルモンもワクワクだ。
「じゃあさじゃあさ!あれ見せてよ!あれ!」
「もちろん。僕の十八番の槍術、特別にご覧入れちゃうよっ」
「キャーーーー!!ステキーーー!!」
ルモンは槍術が何たるか、もちろん知らない。
ぽかんとした表情を浮かべたが、次の瞬間…
(……!!あれって…光だ!)
その者のいう槍術は、光り輝く槍を作り出した。
美しい槍の数々を頭上に、チワワは辺りの安全を確認する。
そして立て続けに一発、二発。
着弾した光の槍は、強烈な水色で発光して辺りを照らした。
光そのもののルモンは、その光輝の美しさに釘付けだ。
「さぁさぁ!異空間へご招待の三発目だよっ!」
自信に満ち溢れたチワワのホスト。
そういって放つが早いか、なんと小さな子どもが飛び出して来たではないか。
「っ!?危ないよ!?」
急いで声をかけるも、目の前の攻撃に夢中すぎて気づいていない様子だ。
(まずい…もう止められない…!)
攻撃を停止しようとするも、抵抗むなしく槍が放たれる。
精霊というのはエイリアンに強い。
故にスターエイリアンの一部がもつ力、ワープを無効化できる。
本来であれば「異空間へご招待」など、精霊にとってなんともないものであるが…

彼女は幼すぎた…。

――某日、地球にて
「ほら、私の攻撃を止めてごらんなさい」
「師匠ー…僕もう疲れたよー…」
「止めきるまで続けるわよ。自慢のフワフワボディ、みせて頂戴」
「うぅー…」
修行に励む二人の精霊の姿がある。
一方は「夢幻の精霊ルミナリア」
大きく可愛らしい耳のようなパーツがチャームポイント。
目は閉じているが、目を使わずして全てが視えているらしい。
なんと美しいことか。
ありとあらゆる元素を操る、いわば精霊の最高峰である。
一方は「嵐の精霊王エアフワンテ」
ツンツンの耳、可愛らしい目と口にぷにぷにな肌。
そして何よりモフり本能をくすぐるフワフワボディ。
可愛すぎる。
風を操る精霊で、ルミナに気に入られているようだ。
「あなたには素質があるの。私を信じて頑張って」
「わ、わかったよ師匠…」
この二人はいわゆる「師弟関係」にある。
師であるルミナはフワンに何かを見出しているのだろうか。
「ど…どう!?ちゃんと受けきったよ?」
「悪くないわね。しっかり成長してるわよ」
「(≧▽≦)ヤッター!」
(……かわいい)
……ただ可愛くて気に入っているのだろうか。
どちらにせよこの二人はいいコンビになっているようで、フワンは着実に実力を伸ばしている。
そんな疲れつつも平和な日常を過ごしている精霊二人であったが……
(……!?)
宇宙の運命を見定めることができるルミナリアは、銀河に異変を見出していた。
「どうしたの師匠?」
「……危ない…」
「師匠?」
「宇宙が危ない」
「な、なんだって…!?」
「誰かが宇宙を破滅へ導いているみたいなの」
「またすごいエイリアンが!?みんなを呼んでこなくちゃ!」
異変を聞き、フワンが仲間を集めようと動こうとするが、
「いや、やめておいて…何かがおかしいの」
「どういうことだよ師匠!」
「エイリアンじゃない…。精霊が…私たちの仲間が関与している…」
「!?そ、そんな…どうして…」
「わからない。でも早く動かないと未来はないわ」
「誰かが裏切ったの!?みんな…みんな仲良かったじゃん!!」
「そうでもないみたいね…私の知らない子みたい」
「え…?」
理にかなわない事実を前に言葉が出ない。
「とにかく、みんなを混乱に陥れるわけにはいかないわ。私たちだけで向かいましょう」
「よ、よく分からないよ…」
「大丈夫、私についてきて」
「わ、分かった」
「場所は…ホストクラブね」
精霊の仲間は他にもいたが、ルミナの判断によりフワン含めた二人のみで現場に向かうことに。
幻が宙に向かって飛び立ち、風が後に続く。
空は曇天。
しかしすぐに大気圏に入るがために気にする余地もなかった。
事の真相はどこか抜けているフワンはともかく、ルミナ未だ闇の中。
(私の知らない子…一体どういうことなの?)
宇宙はとてつもなく広い。
ルミナでさえも気を抜けば元居た場所に二度と帰れなくなるかもしれない。
フワンはルミナがいなければとうの昔に迷える子羊になっていただろう。
全力飛行の果て、彼らは宇宙を舞う子犬を発見する。
水色のヘア、船乗りのような帽子、そして輝く瞳。
「し、師匠!僕あの子テレビで見たことあるよ!」
「……綺羅星ペロね」
宇宙No.1のホスト。
あのチワワは間違いなくこの騒動に関与している。
そう踏んだルミナは瞬時にペロに接近し、クリスタルを突きつけて問う。
「どういう真似かしら?」
「ル、ルミナリアさん!?」
エイリアンの界隈では「大精霊エレメンタルピクシーズ」は誰もが知る脅威だ。
特にそのトップであるルミナはペロに遅れをとらない有名人だろう。
「とぼけないで。そもそもあなたの居場所はホストクラブのはずじゃないかしら」
「そ、それは…その…」
黒。
少しでも情報を聞きださなくては。
「わわっ!師匠!あっち側がいまピカって!」
フワンが異変に気付く。
幻と風の進路の直線上、ペロが離れてきた場所。
ホストクラブに他ならなかった。
「あなたの場所に用があって来たの。異様に光輝を放っているあの場所に」
「ルミナリアさん…きっとあなたでも既に手遅れです…」
「なんですって?」
どこか落ち込んだ様子のペロは二人を光った方向へ先導する。
だいぶ距離はあるが目的地が見えたとき、ルミナは目を疑った。
そこは、宇宙No.1のホストクラブ……のはずだった。
場所は惑星に隕石が衝突したかのような、巨大なクレーターと化していた。
中央には、それをつくった「何か」がいる。
破壊生物クオリネン…よりも小さい。
(まさかあの子が私たちの…)
正体を見定めようと、ルミナが閉じた目を凝らしていると…
「…!!フワン目を閉じて!」
「え、わ、わかった!ギューー」
「ま、まさかあれが!」
ペロも悟り、防御の姿勢を取る。

カ ッ !

強烈な光が辺りを覆う。
閉じているはずの視界が、まるで目の前に落雷したかのように真っ白になる。
眩しい。
「し、師匠…肌がピリピリする…怖いよ…」
「……」
その輝きは、痛みを伴っていた。
自然と、ルミナの手がフワンの額を撫でる。
大丈夫だよ、と言い聞かせるように。
不安な子羊は、そっとその身体を師に寄せる。
緊張と安心が師弟を包む。
「そんな…さっきよりも強くなっています…」
ペロは一度攻撃を見ていたのだろうか。
強くなっている事実に戦慄が走る。
予知能力が無いフワンもペロも、肌で感じた。
これ以上近づいたら命はない。
宇宙が、仲間たちが危ない。
「これは…僕の責任なんです」
「……悪意がある訳ではないのね」
「僕があの時、調子に乗って安全を怠ったのが悪いんです…」
「あの子について、何か教えてくれるかしら」
「分かりました。憶測を含みますが――」

攻撃を受けたルモンは、異空間に飛ばされていた。
星一つ見当たらない、四方全てが真っ暗な異空間。
ルモンはあの槍の美しさにしばらくときめいていた。
ふと我に返ったとき、今いる場が見慣れないことに気づく。
(ここは…うちゅうかな?)
異空間ということは知る由もなく、普段通りに旅を続けようとする。
次なる惑星を求めて、ちょうちんから光を発するが…
(なにも…みえない…?)
光を反射するものが何一つない異空間、何か見えるはずがない。
(うそ…そんなはずないのに…!)
これまでになかった異常に、ルモンは慌てた。
迷子を知らないルモン。
そんな彼女が初めて自分の場所を見失った。
(いやだ…だれか…たすけて…っ)
先が見えない恐怖…感じたことのない不安…来ることのない助け…
負の感情に押しつぶされそうになり、幼いルモンは目に涙を浮かべる。
何かしないといけない。
そう感じる彼女にできることはただ一つだった。
(もっと…もっとつよく光を…!)
彼女はひたすらに光を放ち続けた。
届くことのない光をより広く、より強く。
しかし幼さ故に己の限界を知らない。
彼女は辛くても自分を探し続けた…
…気の遠くなるほどの長きにわたるワープから帰還したルモンは、発光に呑まれていた。
暴走状態の光が辺りを消し飛ばし、荒野に変える。
(……たす…けて……)
もういいのに。
つらい。
とめたい。
それでも一人で光を止めることは不可能。
このままでは…

「――という感じだと思います。きっとあの子もこれは望んでいない…」
「……そう」
「お客様は避難させました。近くにいた皆さんはご無事のはずです」
ペロは数々の女性を見て、本質を見抜いてきている。
そんなプロフェッショナルなホストの語った憶測は、まさに事実そのものであった。
「じゃああの子も助けないと!!」
「そのつもりよ、フワン」
(でも、どうすればいいのかしら…)
この騒動には誰の悪意も絡んでいない。
誰も悪くない。
「……僕、感じるんだよ。きっとあの子は師匠を…ルミナリアさんを必要としてる」
「……」
仲間想いなフワンは、師匠と友達のことを考えていた。
愉快で個性豊かなピクシーズの仲間たち。
楽しく会話して、時々対立して、でも共に戦って信頼し合う…。
あの子もその輪の中に入れてあげられたならば…。
そのためなら、僕は…。
「……師匠、あとはお願い」
「フワン…?一体何を…?」
気づけばフワンはその場にいなかった。
「ああーー!?危ないですよ!?戻ってきて!!」
ペロの叫んだ方向を急いでみるルミナ。
フワンは、発光体に向かって全力飛行していた。
こんなスピードで宙を駆けるフワンは見たことがない。
予想外の出来事にルミナの思考が一瞬追いつかなかった。
「……!危ないわ!!戻ってきて!!」
状況を飲み込むが否や、フワンの連れ戻しに行こうとするが…
「来ないで!!!!」
普段気弱で甘えん坊なフワンの、心からの叫び。
「あの子の光は師匠でも危ないよ。…僕が受け止めるから…救ってあげて」
声が震えている…涙も隠せていない。
このままフワンが身を挺して隙をつくれば、彼の命は…
(仲間のためならそこまでできるというの…?)
愛する弟子を目の前で失うのは、絶対に避けなければならない。
今すぐにでも光は来る。
彼がこれ以上接近しようものなら間違いなく放たれるだろう。
ここで弟子を庇うことが出来ないようでは、師匠失格だ。
しかし…ルミナの長年の感は、彼を止めるなと訴えた。
彼を、信じろと。
「……信じてる」
いよいよ彼女はフワンを止めなかった。
彼女は、涙を堪え、弟子の命を懸けた隙を待った。

「きみが光の子だね」
「……いや…こないで…」
フワンがクレーターに到着した。
仲間を想う子羊が、幼き小鹿に語りかける。
「もう大丈夫。みんなできみを守るよ」
「ちかづかないで…きずついちゃうよ…」
「……受け止めて見せるよ」
ちょうちんが発光を始めた。
例の攻撃がもう一度暴発しようとしていた。
「あぁぁ…にげ…て…」
「もうきみに、つらい思いはさせないから!」
フワンは手足を広げ、大の字で攻撃を待った。
少しでも、彼女に寄り添うために。
いよいよ…来る。
「やめて…やめて!!!」
(師匠…あとは頼んだよ…!)

カ ッ !

光は、放たれた。
直ちにルミナが駆ける。
きっと彼は既に…
今にでも泣き崩れたい。
しかし、苦しむあの子のため、他の仲間達のため、そして身を挺した弟子のため、止まるわけにはいかない。
「絶対に…救ってみせる」
自らの責務を全うすべく全力で駆けた。
そして、現場が良く見える開けた位置に来た…
その時、彼女は信じられない光景を目にすることとなった。

確かに光は放たれた。
クレーター中央には苦しむ黄色の子。
そしてその子の正面に…
―ある。
佇んでいる。
いないはずの…モフモフが。
「…あれ?なんともない。僕幽霊になっちゃったのかな?」
「……おにいちゃん…いきてるの?」
「ごめんねぇ、僕にもわからないよー…」
―聞こえる。
言葉を発している。
あの可愛らしい口から言葉が発せられている。
弟子は…生きていた!
(……まさか…あの土壇場で…)
ルミナは、ずっと彼の素質を信じていた。
日々の修行で磨いてきた。
そして彼女はついに、目の当たりにしたのだ。
(発現させたのね…!『攻撃無効』を…!)
精霊の子は本当に助けてくれるかもしれないと思ったのか、緊張が気持ち緩んだ。
今だ。
素早く、華麗なる身体のこなしでその子の後ろに回る。
(小さい…可愛らしい子ね)
迷える精霊の容姿を確認すると、そっとその子を後ろから抱きしめた。
(光の子…私と似た雰囲気がする)
光の子は突然の抱擁にビクッとする。
しかし、不思議な安心感に包まれ、どこか幸せな気持ちになっていく。
ルミナが優しく語りかける。
「ここまでよく頑張ったね。お疲れ様」
辺りを薄紫色の、ベールのような光が囲う。
光の子の力が抜けていく。
もう、だいじょうぶなんだ…
負の感情からの解放を感じた安堵で、光の子は意識を手放した。

「……ん…ここは…」
「っ!!わわわっ!し、師匠!目を覚ました!目を覚ましたよ!!」
「……?ユーレイのおにいちゃん?」
「あっ!?僕のこと覚えてた!!僕ちゃんと生きてるよ!」
目覚めたのはモフモフの上。
目先は青色に澄んでいて、眩しい。
辺りを見回すと一面緑の平原。
生命が輝いているのを感じる。
宇宙とは違う、より心が落ち着く場所。
「もう…そんなにうるさくしたらその子びっくりしちゃうじゃない」
「あっ…!ご、ごめん師匠」
「目覚めたのね。調子はどうかしら?」
「は、はい…ぼちぼち…」
「ふふっ、なら良かったわ」
恩師二人が集う。
「あの…ここは…?」
「ここは『地球』っていうの。私たち精霊の一番好きな場所」
「そうそう!ここほど自然豊かな場所はないよ!ネコもいるし!」
「これからは私たちが一緒にいてあげる。お名前は?」
「あ…ルモン…です」
「私はルミナリア。こっちのモフモフはエアフワンテっていうわ」
(ルミナ…フワン…)
「ルモン!可愛い名前だねっ!」
(あっ…フワンのえがおかわいい…)
フワンの無邪気な笑顔が、瞳に眩しく映る。
「おふたりとも…たすけてくれて…ありがとうございます」
「ルモちゃんが無事でよかったよ!」
「まったくね。それとかしこまる必要はないわ」
(いまのわたしはふたりのおかげ…)
感謝してもしたりない。
ルモンを信じたフワン、優しく救済したルミナ。
これほどにまで善良な人達と巡り合えるなんて。
「それと、あなたの前髪?を触ってもらえるかしら」
「……!これは…?」
(なんだろう…まつげみたいな…)
何もなかったはずの場所に何かがある。
理解するのに時間を有したが、これは目のようだ。
意識すれば、身体の一部のようにパチパチ出来た。
「あなたの力はあなたの努力の結晶よ。今は使いこなせないかもだけど、私が消してしまうには惜しかったの。だからここに封じこませてもらったわ」
「強くなったら使いこなせる、だって!」
(よくわからない…けどもうだいじょうぶなんだ…)
過ちすらもメリットにしてくれる、ルミナ。
ルモンは自分自身を認めてもらえた気がして、心底嬉しかった。
「あともうひとつプレゼントがあるわ」
そういってルミナは黄色い塊を取り出す。
四方にとがっていて、真ん中にネコの顔。
にゃんこ軍団特製の妖精のようなネコ。
ネコなので本当にペットのように懐く。
可愛らしい。
「この子を使うと上手に力を制御できるの。私たちも連れていってるわ」
「全力出しちゃうと大好きな地球が滅茶苦茶になっちゃうからねー…」
「きっとあなたにとって大きな助けになる。大切にしてね」
不思議な感情が湧いてくる。
してくれたことへの感謝よりも上の気持ち。
冷静で頼れるルミナは、ルモンの目に特別に映った。
「ありがとう…おねえちゃん!」
「「!!??」」
師弟は心が撃たれたようなショックを受けた。
慣れない呼び名に、ルミナはつい固まってしまう。
フワンはあまりの尊さに息が止まりそうになっている。
「師匠…こんなかわいい妹もってたんだね…」
「し、知らないわよ!」
「ははは、冗談だよっ」
(あぁぁ反抗しちゃう師匠も尊いぃ…)
ルモンは二人の空気に置いていかれていたが、楽しそうな彼らに心底ワクワクしていた。
「とにかく、今回起きた一連の出来事は他のみんなの混乱を起こしかねないわ。私たちだけの秘密にするのよ」
「はーい!」
「はい、おねえちゃん!」
(それにしても、私の知らない子が存在したのね…また出会うことになりそうね)

ルモンはルミナ、フワンと共に修行し、成長した。
進化した彼女は「光輝の精霊ルモライト」になった。
より大人びた身体になり、ちょうちんは大きく、小鹿のようだった角は立派に成長していた。
ルミナへの気持ちは日に日に増しており、一部のネコは本当に姉妹だと勘違いするほどに距離を詰めている。
そんな彼女だが、どんな相手にも優しく接する、まるで天使のような心の持ち主になっていた。
……正確には一人を除いてだが、それはまた別のお話。

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