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意匠法改正により新たに保護されるもの

魅力的なデザインを保護するため、魅力的なデザインを「意匠」として保護し、「意匠権」という独占権を与え、コピー品・類似品を排除する。これが意匠制度です。

この意匠制度を支える意匠法が、令和元年に改正され、今年、令和2年4月1日に施行されました。

過去最大といわれるほどの大改正なのですが、コロナ禍のせいか、注目度がイマイチです。

主な改正ポイントは、

意匠法による保護対象の拡充
関連意匠制度の拡充
存続期間の変更(出願日から25年に)

となります。

今回は、過去最大の改正の中でも最も重要な、保護対象の拡充について解説します。

建築物・内装・画像が新たに保護対象に

これまで、保護対象は、物品のみでしたが、新たに、建築物、画像が保護対象に加わっています。

<意匠とは?>

ア)物品の形状・模様・色彩やこれらの結合
イ)建築物の形状・模様・色彩やこれらの結合
ウ)画像(機器操作に用いられるもの・機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限る)
であつて、視覚を通じて美感を起こさせるもの

また店舗等の内装も、一つの意匠として出願・登録が可能となりました。

(内装の意匠)
第八条の二 店舗、事務所その他の施設の内部の設備及び装飾(以下「内装」という。)を構成する物品、建築物又は画像に係る意匠は、内装全体として統一的な美感を起こさせるときは、一意匠として出願をし、意匠登録を受けることができる。

画像については、これまで保護対象ではなかった、物品に記録・表示されていない画像、つまり、ネット上の画像や壁や道路に投影される画像など、ハードウェアから離れた画像自体も保護対象となります。

ただし、機器操作に用いられるものや、機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限られます。

著作権や不正競争防止法では救済しにくかったものも保護へ

これまで、建築物やネットワークを介した画像については、著作権を用いて保護を図ろうとしていました。

しかしながら、建築物についても、画像についても、「著作物性」の要件をクリアできるか、つまり著作権による保護対象となるような著作物と言えるかどうかが高いハードルとなっていました。

建築物の外観・内装については、不正競争防止法による保護を図ろうとする動きもありましたが(コメダ珈琲が、同店舗の外観などが似ているとして、和歌山市の喫茶店運営会社に対して店舗外観などの使用差止め等を求めた事案)、不正競争防止法を使う際は、周知性と商品等表示性といった要件をクリアできるかどうかが高いハードルとなっていました。

今まで著作権法や不正競争防止法では保護しにくかった範囲が、今回の意匠法改正により、意匠法の保護の対象となります。

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