支店や支社を開設した場合は、労災・雇用保険・社会保険はどうすれば良いの?
会社経営をしていると、お店や支社が増えたりする事があります。
そこで、労災保険や雇用保険、社会保険は本社と同じで良いのか悩むケースも出てくると思います。
例えば本社は東京都だけど、支店を北海道に出す。
こんなケースだと距離的に離れすぎていて、本当に本社と一緒で良いのだろうか?
と、悩む方もいらっしゃると思います。
そこで、今回は経営者が知っておくべき、経営者としての労働保険(労災保険と雇用保険の総称)、社会保険(ここでは健康保険と厚生年金保険の事を言います)の基礎知識を次の流れで、お伝えしようと思います。
1.労働保険・社会保険の適用って?適用は箱だとイメージ!
さて、この労働保険と社会保険
従業員さんを雇用する場合は、原則として適用を受けなければいけません。
「適用」難しい言葉が出てきましたね。
この適用とは、
従業員さん(被保険者)に入ってもらうための”箱”だとイメージください。
この箱には、それぞれ番号が付けられて、従業員さんにも番号が付けられます。
これによって、箱と従業員さんの番号が連動するようになり、国は従業員さんへの補償の事務処理の簡略化と、保険料の取りっぱぐれがないようにしているんですね。
そして、この箱を作るためにはルールがあります。
2.適用を受ける(箱を作る)ためのルール
原則として従業員さんが働く”場所”ごとに作る必要があります。
この”場所”は、支店、支社、営業所、出張所など名称の如何を問わず、住所として登記されている所で、従業員さんが働いていれば、箱を作る必要が出てくるわけです。
なので、社長の自宅で従業員さんと2人で事業をしている場合でも箱を作る必要があるっていう事ですね。
ですが、ここで労働保険と社会保険の違いが出てきます。
2ー1.適用を受ける(箱を作る)ためのルール~労働保険~
労働保険は原則通り(従業員さんが働く”場所”ごとに作る必要がある)なのですが、
支店などでは、本社機能がない場合(給与計算をしていない、支店としての通帳がない、人事労務の決裁権がない。など)は、箱を作る必要はあるけれど、一旦”箱”を作った上で、本社のサブの箱として置いとくだけでいいですよ(サブの箱は使わずに全員、本社の箱に入ってください)
と、することができます。
2ー2.適用を受ける(箱を作る)ためのルール~社会保険~
社会保険も概ね原則通り(従業員さんが働く”場所”ごとに作る必要がある)なのですが、
支店などに本社機能がない場合は手続きは一切不要。
どこの都道府県の従業員さんであろうと、支店の住所等を問わず、本社の箱に入ってください。
と、されます。
ですが、
仮に本社が東京都
支店が北海道
この場合、北海道の従業員さんも東京都の健康保険料率で毎月の控除額を計算する事になります。
※2022年3月からの保険料率は、東京都9.81%、北海道10.39%なので、北海道の従業員さんは、他の北海道の会社で働くよりも保険料の控除額が少なくてすみます。もちろん場合によっては多くなることもあります。
3.まとめ
ここまで書いてきましたが個人的には
労働保険は、本社にまとめてしまう
社会保険は、支店の箱は作らずに、本社の箱に入ってもらう
これが管理しやすくて良い方法だと考えています。
例えば、本社の従業員さんを支店に転勤させる場合
(支店が独立した箱を持っている場合)
従業員さんの雇用保険と健康保険を、転勤日に本社で資格喪失、支店で資格取得。
といった手続きが必要になります。
これは会社にとって事務処理の手間になりますね。
さらに、転勤後に従業員さんが病気になり、退職せざるを得なくなった場合、
転勤後1年以内の退職だと、傷病手当金が退職後は受けられないんです。
※退職後にも傷病手当金を受けるためには社会保険の資格取得(今回だと転勤)後、1年以上継続して勤務していないといけないんです。
これは従業員さんにとって不利益になりますよね。
このような会社にとっての手間と、
従業員さんの所得補償の不利益がある可能性があるので、
労働保険は、本社にまとめてしまう
社会保険は、支店の箱は作らずに、本社の箱に入ってもらう
これが管理しやすくて良い方法だと考えています。
かなり、ややこしい内容で、読むのも大変だったかと思いますが、ご参考になれば幸いです!
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