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第一回遼遠小説大賞第一次ピックアップF(藤田桜)ブロック

こちら藤田桜です。
主催である辰井さんがピックアップをなさっていたので、私もしてみようと思って、急遽noteにアカウントを作りました。

本記事では、遼遠小説大賞の手に汗握るアツい展開・雰囲気をお伝えしていけたらなと思います。ですので、大賞への推薦・選考に関わらず、色々な作風の小説をピックアップしていくつもりです。

さて、前置きはここまでにして早速三作ほどご紹介させていただきましょう。どれも力のこもった意欲作ばかりです。

 高黄森哉

男が思うのは、蠅の小さな体と意識にはあまりにも長い今際の苦しみ。やがて彼に訪れたものは――。

この小説大賞において最初に正式なエントリーがなされた作品ですね。まあ一番槍であったとしても遼遠小説大賞の性質上少しも有利にはなりませんけど、この作品には「拙速」と言った雰囲気はなく、後に続く小説にプレッシャーを与えるという意味でも存在感の強い作品です。

感想としては、ナンセンス文学と純文学の性質を併せ持つユニークで興味深い掌編だな、と。シリアスをシリアスのまま、コメディをコメディのまま重ね合わせるという妙技を見せつけてくれたのが印象的です。

もはや食後ではない 繕光橋 加(ぜんこうばし くわう)

誘惑の蛇が語るものは誇大な喜劇か、神にさえ抗う人類愛の悲劇か、はたまた始まりと終わりの由来か、――インタビューの解釈はあなた次第。

こちらは本ピックアップ執筆時最も文字数が多かった作品ですね。ただ単にボリューミーなだけというわけではなく、壮麗な題材や文体も込みで一種の世界が作り上げられています。すげえ。

また話の順番を読者が選択できるという形式はコルタサルの『石蹴り遊び』を思わせます。それぞれ三つのエンディングを読んでみましたが、楽しいですね、これ。

あといきなり「中央アメリカ」の語が見れたのも個人的に嬉しいところ(それが理由で賞の推薦で有利になったりはしませんが)。

叉鬼 あきかん

ただひたすらに進む。我が子を喰らった獣を喰らい、愛しきものを取り返すために――。

評議員の一人であるあきかんさんの作品です。ちなみにですが遼遠小説大賞において「評議員による作品を大賞に推薦することはできない」というルールがちゃんとあることをここに言及しておきますね。

この小説は、リンクを踏めば分かる通り、TwitterのTLで対比して語られることが多かった遼遠と性癖の二企画に寄せられたものですが、両方の要素が混然一体となった雰囲気に圧倒されました。

具体的に言うなら、銃と食人に彩られた世界観と、その簡潔で凝縮された語り口のマリアージュが見事でした。かっこよかったです。

さて、今回のピックアップはこれで以上です。またね。

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