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学習者に提示する方策は1つにしぼるか複数提示して選ばせるか |基礎計算研究所

仮商を立てる方法について、教科書会社でも割れているのは紹介した通りだが、いくつかある方法のうち教科書上では1つだけ提示するのか、複数提示して指導者・支援者や学習者に選択させるのかについても、分かれている。


学習者に提示するのは方策1つか複数か

2020年度に改訂された教科書を見てみると、各社の教科書上の扱いは以下のとおりである。

●方法を1つのみ提示

◆「わる数切り捨て」(方法3)のみを提示 ~啓林・学図
◆「わる数四捨五入」(方法1)のみを提示 ~大日

 なお、大日本は概数・概算の単元の直後に÷複数桁を配置し、わる数の一の位が0~4の場合も四捨五入として内包し、一貫させている。 

●方法を複数提示

◆「わる数切り捨て」(方法1)→「四捨五入」(方法3) ~東書・教出
◆「わられる数・わる数の両方切り捨て」(方法4)→「四捨五入」(方法2) ~日文

 教出・日文2社は「切り捨て」が初学者に向いていることを認め、最初にこの方式で導入をして定着を図ったあと、修正回数の多さの問題について触れて四捨五入方式を紹介する。指導書の言葉では「発展的に取り扱う」(日文)「選択できるようにしている」(教出)というスタンスである。 

 東京書籍では標準的な方策を1つ示すのではなく、多様な方策を示し、比較させ、最終的に学習者自身の「数感覚」によって方策を選択するよう促す傾向が見られる。 その提示の仕方も、最初四捨五入でも切り捨てとなる除数の一位が1~4の数を取り上げ、その次に7~9の数、5~7の数という分け方をして、切り捨てと四捨五入の「両策併記」としている。(なお、東書ではこの時点で概数は未習で、四捨五入ではなく、あくまで近い数で見立てる、とする) 

 なお東京書籍の考え方は,ホームページにもQ&A方式で掲載されている。
https://www.tokyo-shoseki.co.jp/question/e/sansu.html#q20

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