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マリオス・ジョルジオウ(キプロス)のあん馬/2019年世界選手権予選の演技

地中海の島国キプロスから唯一の出場、オールラウンダーのマリオス・ジョルジオウです。

まず、キプロスとはどんな国なのか。
キプロスは地中海東部に浮かぶ島国で、シリアの西、トルコの南に位置します。

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(グーグルマップより)

キプロス島は北半分が北キプロス・トルコ共和国という名前で独立宣言しており、この国を国家承認しているのは、世界でトルコのみです。

しかし、キプロス共和国の国旗には、キプロス島全域が旗に描かれています。
国旗に領土の形が描かれているのは、キプロスとコソボのみです。
現在は台湾が独立した際の国旗候補として、台湾島を中心とする台湾全域が描かれたデザインが挙げられています。
つまり、領土問題に揺れる国の特徴となる国旗なんですね。
(コソボ共和国は隣国セルビアからは国家承認されておらず、セルビアの領土として扱われています)

そんな地域で暮らしながら鍛錬を積み、2019年のヨーロッパ選手権の個人総合で銅メダルを獲得しました。

キプロスの選手がメダルを取るのはもちろん初めてのこと。
リオ五輪にもキプロス代表として史上初めて出場しました。
東京オリンピックにはリオに続き2大会連続の出場になります。

マリオスは、得意種目のひとつであるあん馬で大技を繰り出します。
それが【ブスナリ】という技。

2012年のロンドンオリンピックで、イタリアのアルベルト・ブスナリ選手によって発表されたF難度の技です。

以前あん馬の終末技をいくつか紹介しましたね。
今回の【ブスナリ】は、終末技のように倒立に上げて移動しながらひねり、その後着地せずに腰を下ろして旋回に繋げるという動きです。

「DSA倒立1回ひねり3/3部分移動下ろして旋回」という技になりますね。
これを要素ごとに分けると、「DSA倒立/1回ひねり/3/3部分移動/下ろして(開脚)旋回」という具合です。
終末技の場合は「DSA倒立/5/4ひねり/3/3部分移動/おり」ででした。
倒立から旋回に下ろす事で、着地の際に1/4ひねる必要がなくなり、4/4つまり1回ひねりひねったところで旋回に下ろして技が成立します。

これは終末技

Eおり

【ブスナリ】はこうなります。

ブスナリ

同じような動きで、ゆかの【ゴゴラーゼ】という技を紹介しました。

ゴゴラーゼ

【ブスナリ】は【ゴゴラーゼ】をあん馬の上でやっているようなものです。
マリオスの【ブスナリ】は、流れもテンポも良く、後処理もスムーズで、絶品です。

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マリオスは母親がフィリピン人で、それを理由にいじめられた過去があるそうです。
同時に体操競技をやっていることもバカにされ、悔しい思いをしたそう。
母親は借金を残して家を出て行き、マリオスは母に「一緒に行こう」と言われますが、キプロスに残る事を決意。
その後父親とともに暮らしますがその父も3年前に他界してしまいます。
お金を稼ぐために就職しようと、一時は体操を辞めようとした事もあったそう。
しかし、リオに続き、東京オリンピック出場を叶えています。

マリオスにとっての東京オリンピックが良きものとなるよう祈っています。

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