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2022年6月一・二・三週の体操ニュース

大分間が空いてしまいましたが、6月の今日までの体操ニュースをまとめています。


▼イワン・クリアクがFIGの決定を上訴

以前の記事内で
イワン・クリアクが1年間の大会出場禁止処分 というニュースを紹介しました。
FIG内の組織である体操倫理財団(GEF)が、クリアクのドーハW杯での行為について1年間の認定大会出場禁止処分と500ドルの罰金、さらに同大会で獲得したメダルと賞金の剥奪を求めた件。
これに対し、クリアク側の対応をロシア体操協会会長のワシリー・ティトフ氏が語ったとしている記事です。

タス通信:クリアクが体操倫理財団に不服申し立て

記事によると、ティトフ氏は「クリアクは、1年間失格とした懲戒委員会の決定に対して、上訴している」と述べたという事です。
ロシアの侵攻同様、終わりの見えなさそうな本件ですが、早く適切な処分が科され、解決してほしいものです。

▼ナゴルニー「もしロシアが2024年のオリンピックに出られないなら、私のキャリアは終わりだ」

東京五輪団体金メダリストであり、個人総合銅メダリスト、ロシアのナゴルニーが、ロシアのニュースメディアであるRIAノヴォースチに対して興味深いことを語っています。

RIAノヴォースチ:ナゴルニー「もしロシアが2024年のオリンピックに参加できなければ、私は自分のキャリアを終わらせるだろう」

もしIOCがパリ五輪にロシア選手を参加させない方針を決めれば、引退の準備をするという事です。
自分はもう若くはなく、パリ五輪参加の有無によって、五輪を目指すのか、ほかの事をするのか決めなければならないと自身の境遇を語っています。
末筆にしれっと今年のロシアカップにベラルーシの選手が参加することも書かれています。

僕が解決策を提案しましょう。
簡単な話です。
ロシアが戦争をやめればいい。


▼ワールドカップ・オシエク大会 地元クロアチア勢が活躍

ワールドチャレンジカップがクロアチアのオシエクで開催されました。
男子は6種目中3種目で地元クロアチア勢が優勝するなど活躍しました。
一方で、2008年北京五輪種目別あん馬銀メダリストのフィリップ・ウデはあん馬決勝でミスがあり5位に終わります。

大会サイト:セリグマンとベノビッチが金メダル

各種目優勝者は以下の通り。

【男子】
ゆか:オーレル・ベノビッチ(クロアチア) 14.733
あん馬:ロベルト・セリグマン(クロアチア) 13.866
つり輪:アデム・アジル(トルコ) 14.900
跳馬:イーゴリ・ラディビロフ(ウクライナ) 14.866
平行棒:フェルハト・アリカン(トルコ) 14.800
鉄棒:テン・スルビッチ(クロアチア) 14.300

【女子】
跳馬:ヴァレンティナ・ゲオルギエワ(ブルガリア) 13.616
段違い平行棒:ゾヤ・ツェケリー(ハンガリー) 13.800
平均台:ポーリーン・シェーファー・ベッツ(ドイツ) 13.366
ゆか:アナ・バルボス(ルーマニア) 13.333

あん馬で優勝した36歳のセリグマンはオシエク出身。
「地元では最後の大会」と話していますが、近々引退するのでしょうか。
ヨーロッパ選手権には出場するそうです。
女子跳馬で優勝したゲオルギエワとゆかで優勝したバルボスは15歳!

ハイライト動画はこちら


▼ワールドカップ・コペル大会 ゾフィア・コバチが3冠

ワールドチャレンジカップがスロベニアのコペルにて開催されました。オシエクとも地理的に近いので連戦の選手も多かったようです。

各種目優勝者は以下の通り。

大会サイト:男子結果

【男子】
ゆか:ハリー・ヘプワース(イギリス) 14.200
あん馬:マテオ・ズゲッチ(クロアチア) 14.050
つり輪:イーゴリ・ラディビロフ(ウクライナ) 14.050
跳馬:イーゴリ・ラディビロフ(ウクライナ) 14.800
平行棒:ペトロ・パクニウク(ウクライナ) 14.400
鉄棒:タイソン・ブル(オーストラリア) 14.400

大会サイト:女子結果

【女子】
跳馬:ゾフィア・コバチ(ハンガリー) 13.275
段違い平行棒:ゾフィア・コバチ(ハンガリー) 14.100
平均台:ゾフィア・コバチ(ハンガリー) 13.300
ゆか:アナ・デレク(クロアチア) 13.100

ハイライト動画はこちら

次回のワールドチャレンジカップは9月24日にフランス・パリで行われます。


▼アジア選手権 日本は男女とも団体で表彰台 世界選手権団体出場権獲得

カタールのドーハでアジア選手権が開催されました。
中国で予定されて開催が延期になったアジア大会とは別の大会。

日本からは、男子は湯浅賢哉、橘汐芽、前田航輝、長谷川毅、日高大輝
女子は宮田笙子、笠原有彩、山田千遥、渡部葉月、松田透和が出場。

各競技結果は以下の通り。

【団体】
男子
1,中国 255.299
2,日本 249.500
3,台湾 249.211

女子
1,中国 167.366
2,韓国 157.566
3,日本 154.867

【個人総合】
男子
1,侍聡(中国) 83.833
2,カルロス・ユーロ(フィリピン) 83.767
3,楊家興(中国) 83.733

女子
1,章瑾(中国) 255.299
2,唐茜靖(中国) 249.500
3,イ・ユンソ(韓国) 53.033

種目別各優勝者は以下の通り。

【種目別】
男子
ゆか:カルロス・ユーロ(フィリピン) 14.933
あん馬:アーマド・アブ・アル・ソウド(ヨルダン) 15.233
つり輪:蘭星宇(中国) 14.500
跳馬:カルロス・ユーロ(フィリピン) 14.884
平行棒:カルロス・ユーロ(フィリピン) 15.167
鉄棒:ユン・ジンソン(韓国) 14.167

女子
跳馬:ヨー・ソジョン(韓国) 14.084
段違い平行棒:韋筱圓(中国) 14.767
平均台:吴然(中国) 14.633
ゆか:吴然(中国) 13.700

日本は、男子団体で2位、女子団体で3位になったことで、男女それぞれ今年の世界選手権の団体出場権を確保しました。
また、種目別では、男子は橘汐芽選手が跳馬で3位、長谷川毅選手が平行棒で2位、女子は宮田笙子選手が跳馬とゆかで2位、笠原有彩選手が平均台で2位となりました。

▼全日本種目別選手権が終了 世界選手権日本代表が決定

6月18・19日に全日本種目別選手権が行われました。
この場を最後の檜舞台にする選手や、日本一を目指す者、世界を見据える者、さまざまな思惑が交錯し、己が持てるすべてのパフォーマンスを見せつけました。
各種目優勝者は以下の通り。(敬称略で失礼します。)

【男子】
ゆか:南一輝 14.800
あん馬:杉野正尭(たかあき) 15.033
つり輪:髙橋一矢 14.433
跳馬:安里圭亮 15.083
平行棒:北園丈琉 14.966
鉄棒:川上翔平 15.100

【女子】
跳馬:牛奥小羽 13.949
段違い平行棒:深沢こころ 14.033
平均台:山口幸空(さら) 13.633
ゆか:山口幸空(さら) 13.833

男子は徳洲会体操クラブ所属の選手があん馬・つり輪・平行棒・鉄棒の4種目で優勝。層の厚さを見せつけます。
女子は中学生の山口幸空(さら)選手が2冠を達成。年齢制限のため世界選手権代表選考からは除外されますが、将来が楽しみな選手です。

そして4月の全日本個人総合選手権、5月のNHK杯、6月の全日本種目別選手権の結果を受けて、世界選手権男女各代表が決まりました。

【男子】
橋本大輝
神本雄也
土井陵輔
谷川航
谷川翔

NHKニュース:谷川航と翔の兄弟 10月の世界選手権代表に決定

【女子】
宮田笙子
笠原有彩
山田千遥
坂口彩夏
深沢こころ

スポーツ報知:体操女子は5人全員初代表…世界選手権残り2枠は坂口彩夏&深沢こころ

今年の世界選手権で団体3位以内に入れば、2024年パリ五輪の団体出場権を得られます。

▼杉原愛子が競技生活に「一区切り」

東京オリンピック女子日本代表として活躍した杉原愛子選手が競技生活を「一区切り」とすることを発表しました。

IOC:杉原愛子が競技生活に「一区切り」…競技者ではなく演技者へ

自身のSNSで文書を掲載しています。
今後は選手としてではなく、エキシビションなどに出演する「演技者」として、体操競技の発展に寄与したいという事です。

杉原選手は全日本種目別選手権を最後の舞台とし、ゆかで決勝進出。
大会の女子競技の最終演技者としてゆかの演技を完遂し、会場を楽しませながら2位という結果を残しました。

杉原選手は2015年にNHK杯で初優勝。2016年リオ五輪で五輪初出場を果たします。リオ五輪では女子団体メンバーとして活躍し、団体4位という素晴らしい成績を残しました。
2021年東京五輪選考では、村上茉愛さん、畠田瞳さん、平岩優奈選手に加えて最後の1人として名前を呼ばれ、涙を流していた姿が思い出されます。
東京オリンピックではゆか、跳馬、段違い平行棒3種目で演技しました。
動画は段違い平行棒の演技です。
画音がずれていますが気にしないでください。


全日本種目別選手権終了後もSNSに文書を掲載しています。


▼亀山耕平が引退

2013年世界選手権種目別あん馬金メダリスト、東京オリンピック男子代表で種目別あん馬5位入賞を果たした亀山耕平選手が引退を発表しました。

NHKニュース:体操 亀山耕平が現役引退表明

こちらの動画内でさらっと発表しています。

亀山選手は2013年ベルギーのアントワープで行われた世界選手権の種目別あん馬で、今や五輪2連覇を果たしているイギリスのマックス・ウィットロックを破って金メダルを獲得しました。

翌2014年には団体メンバーとして世界選手権を戦い、0.1差で中国に敗れるという悔しさを味わいました。
2016年リオ五輪では代表落選。ここで引退しようとしたところを所属監督の米田功さんに引き留められ、翌2017年にふたたび日本代表に返り咲き。しかし、世界選手権では予選落ちとなってしまいました。
そして東京オリンピックの代表選考、亀山選手は種目別選出で代表を勝ち取るため、世界各地で行われているワールドカップを転々とします。そして2021年6月のドーハ大会を終えた段階であん馬で首位に立ち、見事五輪出場権を獲得します。
東京オリンピック本番、大きく深呼吸をして最後の演技に向かいました。
結果は5位、競技後のインタビューでの男泣きが印象的でした。


杉原愛子選手、亀山耕平選手、共に東京オリンピックでは多分のご活躍を見せてくださいました。
そのほかにも、国内大会から世界大会まで、素晴らしい演技の数々は私の目に焼き付いています。
長い現役生活お疲れさまでした。


画像出典
https://www.chunichi.co.jp/article_photo_chuspo/list?article_id=302108&pid=1353848
https://www.jiji.com/jc/p?id=20210724183245-0038596939
https://edition.cnn.com/2022/05/18/sport/ivan-kuliak-banned-russian-gymnast-spt-intl/index.html
https://www.tellerreport.com/sports/2019-10-11---nikita-nagornyy-led-the-european-triumph-in-the-world-cup-.BJEbowE0uH.html
https://www.youtube.com/watch?v=2dtmUeoZloc
https://www.youtube.com/watch?v=pDV7nYFdFdc
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022061900330&g=spo&p=20220619at64S&rel=pv





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