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2024パリ五輪予選・種目別ワールドカップの現状

2024年五輪イヤーが明け、体操界は2月から国際的なシーズンイン。
種目別スペシャリストたちがオリンピック出場権を懸けた予選の対象である
種目別ワールドカップが各地で開催されています。

2月15日~18日、エジプトのカイロでワールドカップシリーズ大会が幕を開け、
2月22日~25日には、ドイツのコトブスで、
3月7日~10日には、アゼルバイジャンのバクーで、それぞれ大会が行われました。

これまで3大会が終了し、残るは4月17日~20日のカタール・ドーハ大会を残すのみとなりました。

オリンピック予選とあって、例年行われる同大会よりも豪華な顔ぶれ、そしてレベルの高い戦いとなっています。


▼パリ五輪出場獲得基準6・種目別W杯による選考方法

ここで、パリオリンピック予選のおさらいです。
体操競技におけるパリオリンピックの出場権獲得方法は男女共通で7つ+αあります。
こちらについては過去の記事で取り上げていますが、改めて。

パリ五輪出場権獲得基準
FIG公式サイト⇒RULES⇒Olympic Games
1.1 - Olympic Qualification System Paris 2024 ART」を基に作成

今回行われている種目別ワールドカップシリーズは上の表の基準6に当たります。
では、選手たちはこの4大会あるワールドカップ(以下「W杯」)をどのように戦っているのか。

種目別W杯シリーズでは、ひとつの大会で予選・決勝を行い、決勝終了時の順位に応じてポイントが与えられます。
それがこの表です。

FIG公式サイト⇒RULES⇒Men's Artistic
1.5 - ART Apparatus World Cup Rules 2022-2024」より

これをカイロ・コトブス・バクー・ドーハの4大会行い、4大会終了時点で男女各種目持ち点の高い上位2名がパリ五輪の出場権を獲得できるといったルールになっています。
この基準により出場権を決めることができるのは、男子6種目×2名=12名、女子4種目×2名=8名となります。

この予選レースの対象となるのは選手個人であり、既に基準1・2で、団体出場権を獲得している国の選手、また、基準4・5・開催国枠で個人出場資格を有している選手は対象外となります。

下記で挙げる国・選手を除いた選手たちが、現在種目別W杯で個人資格を懸けて戦っています。
しかし、W杯にはオリンピックの前哨戦としてや、シーズンインで新しい演技を試したい選手など、選考対象外の選手たちも参加します。
そうなると、各大会の最終的な順位から、選考対象外の選手を除いた順位に応じて先ほどのポイントが与えられるのです。

▼既にパリ五輪出場資格を得ている国・選手

ここで、これまでの大会で既にパリ五輪への出場権を獲得している国・選手を抑えておきましょう。
ただ選手の名前をつらつら書いているだけなので、読むのが面倒な方は次のブロックへどうぞ。

※以下の図はFIG公式サイト⇒CALENDAR⇒Games of the XXXIII Olympiad内「EVENT FILES」から「02_GAR List of WAG Qualifiers after WCH 2023_08.10.2023」「03_GAR List of MAG Qualifiers after WCH 2023_08.10.2023」より作成しております。

基準1・2で既に団体出場権(1国5枠)を獲得している国は、
【男子】中国・日本・英国・米国・カナダ・ドイツ・イタリア・スイス・スペイン・トルコ・オランダ・ウクライナ
【女子】米国・英国・カナダ・中国・ブラジル・フランス・日本・オーストラリア・ルーマニア・韓国

基準1
基準2

さらに基準3で個人出場権(1国1枠)を獲得している国は
【男子】ブラジル・韓国・ベルギー
【女子】ドイツ・メキシコ・ハンガリー

基準3

さらに基準4・5・6で個人としての出場権を既に得ている選手は
【男子】ミラド・カリミ(カザフスタン)、アルチョム・ドルゴピアト(イスラエル)、アルトゥール・ダフチャン(アルメニア)、クリストファー・メザロシュ(ハンガリー)、イ・ジュノ(韓国)、ディオゴ・ソアレス(ブラジル)、ルカ・ヴァン・デン・ケイブス(ベルギー)、アンドレイ・ムンテアン(ルーマニア)、カルロス・ユーロ(フィリピン)、リース・マクレナガン(アイルランド)、エレフテリオス・ペトロウニアス(ギリシャ)、ケビン・ペネフ(ブルガリア)、ノア・クアヴィタ(ベルギー)、テン・スルビッチ(クロアチア)
【女子】カイリヤ・ネモール(アルジェリア)、ポーリーン・シェーファー・ベッツ(ドイツ)、アレクサ・モレノ(メキシコ)、フィリパ・マーティンズ(ポルトガル)、アリア・フィネガン(フィリピン)、ベッティナ・リリ・チフラ(ハンガリー)、アルバ・ペティスコ(スペイン)、アナ・ラスチェフスカ(ウクライナ)、レナ・ビッケル(スイス)、ヒラリー・ヘロン(パナマ)、ケイトリン・ルースクランツ(南アフリカ)、ソナ・アルトモノワ(チェコ)、ライヒー・ラズ(イスラエル)、ルシヤ・リバー(スロベニア)、チェンゲ・バチカイ(ハンガリー)、アフティリ・サンドバル(メキシコ)、アナ・ペレス(スペイン)、サラ・ボス(ドイツ)、リフダ・イルファナルスフィ(インドネシア)

基準4
基準5
開催国枠

ここで重要なルールとして、基準1・2で団体出場権を得られなかった国の選手は、基準3~7・開催国枠・ユニバーサリティ枠のいずれの基準においても、男女それぞれ1国3人までと定められています。
基準1・2で団体権を得ていない国で、既に個人枠を3つ獲得している国は、ベルギー男子、ドイツ女子、メキシコ女子、ハンガリー女子です。
これらの国はこれ以上権利を獲得することはできません。

▼現在のワールドカップランキング

では、基準6で現在戦いの真っ最中であるW杯の、3大会を終えた段階の各大会の結果を見てみましょう。

◆W杯カイロ大会

◆W杯コトブス大会

◆W杯バクー大会

これらの結果を踏まえた3大会終了時点の全出場者の各種目のポイントランキングはこのようになります。

FIG公式サイト「Men's Artistic Gymnastics World Rankings」より抜粋して作成
FIG公式サイト「Women's Artistic Gymnastics World Rankings」より抜粋して作成

先の順位表では決勝に進出した8位までの選手しか表記していませんが、9位以降の選手にもポイントは割り振られています。

ここから先述の対象外の選手(既に権利を獲得している国・選手)を除いた各種目のポイントとランキングはこうなります。

【男子】
※Floor Exercise=ゆか Pommel Horse=あん馬 Rings=つり輪
 Vault=跳馬 Parallel Bars=平行棒 Horizontal Bar=鉄棒

FIG公式サイト⇒CALENDAR⇒Games of the XXXIII Olympiad内「EVENT FILES」から
「15_MAG - Olympic Qualification World Cup Ranking List」を一部加工して作成

【女子】
※Vault=跳馬 Uneven Bars=段違い平行棒
 Balance Beam=平均台 Floor Exercise=ゆか

FIG公式サイト⇒CALENDAR⇒Games of the XXXIII Olympiad内「EVENT FILES」から「14_WAG - Olympic Qualification World Cup Ranking List」を一部加工して作成

注目すべきは色が濃くなっている「Total」の列です。
ここから獲得ポイント数上位2名が五輪出場権獲得となるので、3大会が終わった今、上位2名のライン上にいるのは
【男子】
ゆか…リュ・ソンヒョン(韓国)とイェゴール・シャラムコフ(AIN
あん馬…アフマド・アブ・アル・ソウド(ヨルダン)とナリマン・クルバノフ(カザフスタン)
つり輪…サミール・アイト・サイード(フランス)とニキータ・シモノフ(アゼルバイジャン)
跳馬…マフディ・オルファティ(イラン)と石偉雄(香港)
平行棒…アンヘル・バラハス(コロンビア)とホシマール・カルボ・モレノ(コロンビア)
鉄棒…唐嘉鴻(台湾)とロベルト・ツヴォロガル(リトアニア)
※AIN=Athletes of individual Neutral

【女子】
跳馬…アン・チャンオク(北朝鮮)とヴァレンティナ・ゲオルギエワ(ブルガリア)
段違い平行棒…ジョルジア・ローズ・ブラウン(ニュージーランド)とヴァネッサ・マソワ(チェコ)
平均台…ニナ・デルウェル(ベルギー)と丁華恬(台湾)
ゆか…チャーリーズ・モールツ(オーストリア)とエマ・マラブヨ(フィリピン)

暫定では以上の順位になっていますが、最後のドーハ大会が終わるまで結果はわかりません。
ここで、ポイント換算について重要なルールがあります。
4大会が終わった時点での各選手の最終的な持ち点というのは、4大会の合計ではありません
4大会で得た得点のうち上位3得点の合計がその選手の獲得ポイントになります。
現在は3大会しか終わっていないので、3大会分の得点がそのまま反映されていますが、ドーハ大会が終わると、無効になるポイントが出てきます。

現在男子平行棒獲得ポイント2位のホシマール・カルボ・モレノ(コロンビア)の獲得ポイントを例に挙げてみます。

男子平行棒

カルボは現在、カイロ大会で3位、コトブス大会で8位、バクー大会で7位と毎大会決勝に進出し、ポイントを稼いでいます。
種目別ワールドカップシリーズの規定により与えられるポイントは、
カイロ大会=20pt、コトブス大会10pt、バクー大会12ptとなり、
計42ptになります。

しかし、それぞれの大会で、カルボよりも上位に当基準による選考レースの対象外である選手がランクインしていたため、対象外である選手を除いた順位に応じて、カイロ大会では1位相当の30pt、コトブス大会では4位相当の18pt、バクー大会では3位相当の20ptが与えられており、計68ptとなっています。

男子平行棒

仮に、残るドーハ大会でカルボが対象選手内2位となり、25ptを獲得すると、4大会のうち最も獲得ポイントが低いコトブス大会の18ptが上書きされ、30pt+20pt+25pt=75点がカルボの最終的な持ち点となり、カルボがトップに立ちます。

しかし、カルボだけが競技しているわけではないので、もし、現在3位のアブドゥラヒモフ(ウズベキスタン)が対象選手内最上位に来た場合、アブドゥラヒモフのバクー大会の16ptが30ptに上書きされ、20pt+30pt+30t=80ptとなり、カルボよりも上位に来ます。

このように、単純にこれまでの得点+ドーハの得点ではなく、ドーハ大会で上澄み出来るポイントは、最高でも30ptからそれまでの最低ポイントとの差分までという事になります。
もしもこれまでにひとつでも0ptの大会があった場合、最高で+30pt上澄みできるわけです。

このルールを踏まえると、3大会が終了した現時点で既にパリ五輪出場権獲得が確定した選手が見えてきます。

女子平均台の暫定トップであるニナ・デルウェル(ベルギー)は既にこれまでの3大会すべてで対象選手内最上位を獲得しているので、当該ルール上最高得点である90ptを獲得しており、これ以上得点を上澄みすることはできません。

女子平均台

さらに、暫定2位の選手の3大会分の得点が49pt、暫定3位の選手の3大会分の得点が45ptのため、いかなる結果になろうともデルウェルと同点になることは不可能です。
つまり、デルウェルは3大会終了の現時点でパリオリンピックの出場権獲得が決定しています。

同様に、女子跳馬のアン・チャンオク(北朝鮮)とバレンティナ・ゲルギエワ(ブルガリア)、女子ゆかのチャーリーズ・モールツ(オーストリア)、男子ゆかのリュ・ソンヒョン(韓国)も、この時点でのパリ五輪出場権の獲得が決定しました。

女子跳馬
女子ゆか
だんしゆか


▼タイブレーク

このW杯を戦ううえでもうひとつ重要なルールがタイブレークです。
最終結果が2人以上の選手が同点だった場合にどちらを優先させるかを明示したものになります。

▼合計ポイントが同点だった場合

それでは、男子平行棒で起こり得る事象について。

男子平行棒

もしも、ドーハ大会でカルボが対象選手内最上位となり、30pt+20pt+30pt=80ptを獲得し、かつ、現在暫定1位のアンヘル・バラハスが対象選手内2位となり、25pt+30pt+25pt=80ptで、4大会終了時点で両者が同点となった場合にどちらの方が優先されるのか。

最終的なポイントが同点となった場合は、タイブレークが適用されます。
4大会分の合計ポイントが同点だった場合、タイブレーク1の項目が適用され、それでも同点の場合タイブレーク2の項目が適用され、それでも同点なら、それでも同点ならというように、同点でも必ず順位が付くようになっています。
項目1から見ていきましょう。

1.上位3つのポイントの対象となる演技の順位を足した時に合計が低い選手。 同点の場合、決定点が高い方が優先される。

FIG公式サイト⇒RULES⇒Olympic Games
1.1 - Olympic Qualification System tie-breaking rules Paris 2024 ART
D) Criteria 6 - Apparatus Athletesより

⇒これまでの3大会で考えると、バラハスはカイロ8位、コトブス4位、バクー3位なので、3つを足して15。カルボはカイロ3位、コトブス8位、バクー7位なので3つを足して18
この場合、数字の小さいバラハスが優勢となります。もしカルボがドーハで好成績を出したら、コトブスでのポイントと順位を上回ることができます。

2.上位3つのポイントの対象となる演技の決定点の平均が高い選手。

⇒1で順位が決まらなかった場合、各大会のポイントを獲得した際の演技で得た決定点によって順位が決まります。
現時点のもので考えてみると、バラハスはカイロ10.566、コトブス14.733、バクー14.700で平均は12.555。カルボはカイロ15.100、コトブス13.366、バクー13.733で平均は14.066。この場合は現時点においてもカルボが優勢です。

それでも決まらない場合はEスコア・Dスコアの優劣で順位が決まります。

3.上位3つのポイントの対象となる演技(跳馬の場合は6跳躍)の
  合計Eスコアの平均が高い選手。
4.上位3つのポイントの対象となる演技(跳馬の場合は6跳躍)の
  合計Dスコアの平均が高い選手。


▼1国で複数人が通過した場合

男子平行棒の場合はこちらのルールも適用されます。
この選考レースにおいては、男子6種目・女子4種目、各種目の上位2名、計20名がパリ五輪出場が決まります。
しかし、1種目の中で権利を獲得できるのは1国につき1名まで
そして、先述の通り、団体出場権を獲得していない国でパリ五輪の代表として出場できるのは1国につき3名までと決められています。

前者に抵触してくるのが男子平行棒のアンヘル・バラハスとホシマール・カルボです。現状上位2名ともコロンビアの選手なので、この2人のどちらともが種目別平行棒で五輪の権利を獲得することはできません。
この2人ともが平行棒のポイント上位2位に入った場合、この2人のうち上位の選手と3位の選手が五輪出場権を獲得することになります。

そして後者に抵触してくるのが、韓国男子です。
韓国男子は基準3により、既に国枠で1枠確保しつつ、基準4の個人枠でイ・ジュノが出場権を決めています。
さらに3大会の終了時点でリュ・ソンヒョンがゆかでの権利を獲得済みです。
しかし、韓国でもうひとりこの選考レースを突破する可能性が残っている選手がいます。
それがあん馬のハ・ウンです。

男子あん馬

もし、ハ・ウンが種目別あん馬のポイント数で最上位2人のうちに入った場合、同じ韓国のリュ・ソンヒョンとハ・ウンのどちらかは落選となってしまいます。

では、もしこうなった場合に優勢となるのはどちらなのでしょうか。
その場合のタイブレークが以下のようになります。

1.各種目でポイント順位が高い選手。

⇒もしソンヒョンがゆかで1位通過、ウンがあん馬で2位通過となった場合、ソンヒョンが優勢となります。
同様に、ソンヒョンがゆかで2位、ウンがあん馬で1位となった場合、ウンが優勢になります。
2人ともがそれぞれの種目で同じ同じ順位だった場合、次の項目が適用されます。

2.上位3つのポイントの対象となる演技の順位を足した時に合計が低い選手。上位3つのポイントの対象となる演技の順位が同率の場合は、決定点が高い選手が優先される。

⇒3大会終了時点のもので計算すると、ソンヒョンはカイロ1位・コトブス3位・バクー5位なので3つを足して9。ウンはカイロ2位・コトブス3位・バクー19位なので3つを足して24。
現状、ウンがあん馬で上位2位に入るためには、ドーハ大会で対象選手内2位以上が必須条件なので、1位になって30pt獲得したうえで合計ポイント数でもトップとなった場合に、バクーの19位がドーハの順位(1位/2位)に塗り替わり、3大会の順位を足した合計は24⇒6or7となりウンが優勢となります。
ウンが2位以内に入ったうえでソンヒョンがドーハ大会で3位以内に入らなければ、これの通りになります。
しかし、これでも同点になった場合、次の項目が適用されます。

3.上位3つのポイントの対象となる演技の決定点の平均が高い選手。

⇒それでも順位が決まらなかった場合、ポイントの対象3大会の決勝の演技の決定点の平均で比べます。ソンヒョンの現時点での3大会の平均は、カイロ14.066、コトブス14.466、バクー14.133で14.221。
ウンの現時点の3大会の平均はカイロ14.933、コトブス15.200、バクー13.800で14.644となり、ウンが優勢になります。
これに関してはゆかとあん馬で点数の出やすさが違うのでウンの方が圧倒的に有利です。

そして、それでも決まらなかった場合は下記のようにEスコア・Dスコアの優劣により順位が決まります。(さすがにないとは思いますが)

4.上位3つのポイントの対象となる演技(跳馬の場合は6跳躍)の合計Eスコアの平均が高い選手。
5.上位3つのポイントの対象となる演技(跳馬の場合は6跳躍)の合計 D スコアの平均が高い選手。

▼韓国男子2人を取り巻く状況

ソンヒョンは既にゆかで上位2位以内に入ることが決定しているとはいえ、こういった状況があるので、まだ「確定した」と言えない状況です。
さらに、ゆかでの「トップ通過」が決まったともいえない状況なのです。

男子ゆか

現在ゆかで2位のイェゴール・シャラムコフ(AIN)は暫定で50pt、ソンヒョンは80ptなのでちょうど30pt差です。しかもシャラムコフはカイロ大会の0ptが加味されている状態なので、ドーハ大会で対象選手内1位を取ることができれば30ptを上積みでき、ソンヒョンと80ptで並ぶことができます。そうなった場合に、ソンヒョンは対象選手内でシャラムコフの次ぐ2位に入ることができれば、ソンヒョンもバクーの20ptを25pt上積みすることができて合計85ptとなり、ソンヒョンの1位が確定します。

しかし、別の場合、それはソンヒョンがポイントを上積みできなかった場合、つまり対象選手内3位以下になってしまった場合、ソンヒョンとシャラムコフポイントが同率になるのでタイブレークが発生します。

まず優先的に考えられるのが

1.上位3つのポイントの対象となる演技の順位を足した時に合計が低い選手。 同点の場合、決定点が高い方が優先される。

なので、加算された3つの大会の順位を見てみると、
ソンヒョンは1(カイロ)+3(コトブス)+5(バクー)=9
シャラムコフは30(カイロ)6(コトブス)+1(バクー)=37
となりますが、シャラムコフがドーハ大会で1位をとると
6+1+1(ドーハ)=8となり、シャラムコフが1位になります。
ソンヒョンはポイントを上積みできなくとも、バクーの順位5位よりも高い順位であればこれを阻止することができるわけです。

それでは、仮にソンヒョンが2位になってしまうと何が起こるか、
先にも触れましたが、あん馬でハ・ウンが上位2位に入る可能性を持っているので、ウンがあん馬でポイント数1位になってしまえば、ゆかで2位のソンヒョンの権利は失われます。
ウンがあん馬で2位となった場合、先述のように優先項目順にタイブレークがなされます。

ソンヒョンは決勝4位以上であれば完全防衛に成功。
ウンは最低でも決勝4位以上且つ対象選手内2位は確保しなければ五輪の道はありません。

韓国勢の2人だけを注目してみてもあらゆるパターンが考えられます。
1ケ月後に迫ったドーハ大会を見るうえで、この記事が一助になれればと思い、記事にしました。


ドーハ大会が終われば、5月のうちにヨーロッパ選手権、アフリカ選手権、アジア選手権、オセアニア選手権と怒涛の大陸選手権ラッシュと、いよいよ枠が埋まっていきます。

5月が終わるころには日本の代表選考も終わり、団体メンバーも決まっていきます。
オリンピックに向けて盛り上がっていく中で、体操界がより盛り上がってくれたらと思う今日この頃です。


画像出典
https://www.paris2024.org/en/

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