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2022年9月の体操ニュース

9月も大会が目白押しでした。いよいよ今月末は世界選手権が始まります。
オリンピック明け1年目。新時代の幕が上がろうとしている中、大舞台に上ることを許されない者たちは新たな課題を抱えるのであった・・・。

▼ワールドチャレンジカップ パリ大会

9月24日,25日にフランス・パリでワールドチャレンジカップが行われました。
種目別で競うこの大会、会場は2024年パリ五輪で体操競技が行われるベルシーアリーナで行われました。

日本から出場したのは下記の4名…
・津村涼太(鹿屋体育大学)
・小峠一真(日本体育大学)
・金田希一(鹿屋体育大学)
・安里圭亮(相好体操クラブ)
全員が決勝に進みましたが、メダル獲得はなりませんでした。

結果はこちらから

【男子】
ゆか:イーモン・モンゴメリー(アイルランド)
あん馬:リース・マクレナガン(アイルランド)
つり輪:アデム・アジル(トルコ)
跳馬:アデム・アジル(トルコ)
平行棒:カイオ・ソウザ(ブラジル)
鉄棒:ブロディ・マローン(アメリカ)

【女子】
跳馬:ジェイド・キャリー(アメリカ)
段違い平行棒:シャイリース・ジョーンズ(アメリカ)
平均台:マリーヌ・ボワイエ(フランス)
ゆか:ジョーダン・チャイルズ(アメリカ)

男子では、アイルランド勢が2冠という歴史的な結果がもたらされました。
また、東京オリンピック種目別ゆかで銀メダルを獲得したスペインのザパタが新技を披露しましたが失敗。おそらく名前はつかないと思われます。
新技の内容は、「前方屈身2回宙返り1回ひねり」というもの。
下記動画にその様子が残っています。


▼ワールドチャレンジカップ ソンバトヘイ大会

9月30日から10月2日にかけてハンガリーのソンバトヘイでワールドチャレンジカップが行われました。
パリ大会と同様、種目別で競われ、日本からは以下の5名の選手が派遣されました。
・江俣有寿彩(順天堂大学)
・吉田求(仙台大学)
・田部壮一郎(大阪体育大学)
・平松航河(筑波大学)
・春木三憲(徳洲会体操クラブ)
全員が決勝に進み、平松航河選手が銅メダルを2つ、春木三憲選手が銀メダルを2つと活躍しました。

前半種目の結果はこちらから
後半種目の結果はこちらから

【男子】
ゆか:イリア・コフトゥン(ウクライナ) 3位 平松航河
あん馬:ナリマン・クルバノフ(カザフスタン) 3位 平松航河
つり輪:ビンセンツ・フック(オーストリア) 2位 春木三憲
跳馬:曾為聖(ツェン・ウェイシェン)(台湾)
平行棒:イリア・コフトゥン(ウクライナ) 2位 春木三憲
鉄棒:クリストファー・メザロシュ(ハンガリー)

【女子】
跳馬:アディソン・ファッタ(アメリカ)
段違い平行棒:ゾヤ・ツェケリー(ハンガリー)
平均台:マイサ・クシッコ(フィンランド)
ゆか:ケイトリン・ジョン(アメリカ)

春樹選手が所属する徳洲会体操クラブがツイッターで結果を報告しています。



次のワールドカップは10月7日から9日にトルコ・メルシンで行われます。

▼バルセロナ国際

10月1日にスペイン・バルセロナでホアキン・ブルーメ記念という大会が行われました。個人総合で競う大会で、各国からオールラウンダーが出場しました。
日本からは萱和磨選手が出場。当初北園丈琉選手も出場予定でしたが、怪我のため欠場ということです。

男子結果はこちらから

【男子】
1.ジョー・フレイザー(イギリス)
2.萱和磨(日本)
3.ジョエル・プラタ(スペイン)

【女子】
1.マニラ・エスポジット(イタリア)
2.ベロニカ・マンドリオッタ(イタリア)
3.ローラ・カサブエナ(スペイン)

萱選手は、跳馬でロペス、鉄棒でカッシーナなど攻めた構成で挑みましたが、ミスがあり、2位に終わりました。

▼世界選手権エントリーリスト公開

FIGが2022年世界選手権のエントリーリストを公開しました。

FIG:大会ページから「EVENT FILES」にある「SHOW FILES」をクリックし、《10_Nominative Registration - Gymnasts》と書かれているところをクリックするとPDFが開けます。

興味深いのは、先日のヨーロッパ選手権で国際大会に復帰したギリシャのペトロウニアスの名前がない事。

日本では6月には世界選手権の代表が決まりますが、こんなに早く決まるのは日本くらいで、ほかの国は大体1か月前になってようやく正式な発表があるところがほとんどです。
だから、現状こうなっているだけで、ふたを開けてみたら違うメンバーになっているなんてこともあります。

FIGの記事では、東京オリンピックや北九州世界選手権で活躍した選手たちにスポットが当たっています。
この大会は早くもパリオリンピックの予選となっており、この大会で、男女各3カ国、団体出場の権利を得る国が決まります。団体決勝で上位3位以内に入った国がそのままパリ五輪の団体出場の権利を得られるというわけです。ただし、ここで権利を得た団体メンバーがそのままパリ五輪の団体メンバーにはなり得ません。

世界選手権は10月29日~11月6日まで開催。
日本はテレビ朝日が中継してくれます。
番組公式サイトには放送スケジュールも告知されています。

・・・CS…。


◆ロシアのコーナー!

▼ノルウェー体操連盟がFIG総会をボイコットへ

11月にトルコ・イスタンブールで行われるFIG総会ですが、このほどノルウェー体操連盟が参加自体を表明しました。
理由は、ロシアとベラルーシの参加によるものです。

inside the games:ノルウェー体操連盟 ロシア関係者の参加でFIG総会をボイコットへ

FIGは選手の競技への参加は規制していますが、役員の参加は認めています。

ノルウェーのこの動きを発端に芋づる式に各国が事態を表明し始めます。

▼ウクライナがFIG総会をボイコット

ウクライナ体操連盟がロシアとベラルーシの代表団が参加していることを理由に、FIGの総会をボイコットすると表明しました。

inside the games:ウクライナ 「侵略国」の代表をめぐり、FIG会議をボイコットへ

ウクライナはこれまでに選手側も表彰式をボイコットしたり、試合をボイコットしたりしています。

さらにボイコットの輪が広がります。

▼ポーランドとエストニアがFIG総会をボイコット


inside the games:ポーランドとエストニアがウクライナとノルウェーに続き、ロシアとベラルーシの高官出席のためFIG会議をボイコット

ポーランドは「私たちが深く信じている価値観に反する」「ポーランドスポーツ観光省の立場や、制裁を求めるポーランド人の大きな支持とも矛盾する。」「参加をキャンセルする以外の選択肢はなかった」
エストニアは「ノルウェーの決定を支持する」として不参加を表明しました。

欧州各国がロシアによる侵略行為を理由にFIG総会へのボイコットを表明する中、ロシア選手復帰の兆しが見える出来事がありました。

▼IOCバッハ会長 「戦争不支持」ならばロシア選手復帰を検討

IOCのバッハ会長がイタリアメディアの取材に応じ、「戦争はロシアのアスリートによって起こったものではない」とし、「どのようにして皆を再び競技に戻すかを研究しなければならない」と、ロシア・ベラルーシ選手の国際大会復帰に向けた動きを検討する中で、「ロシアによる侵攻を支持しないアスリートを復帰させる」と発言したという記事です。

NBCsports:IOC 「戦争を支持しない」ロシア選手を中立として競技する方法を模索

あくまで、ロシアを完全復帰させるわけではないが、ひとつのビジョンとして戦争を支持しない中立な者については競技復帰を考えていきたいという意思を示した形ではありますが、これがリリースされると、ロシア国内は大騒ぎになりました。

まず反応したのが、フィギュアスケートのエフゲニー・プルシェンコ氏。
「誰がそんなものに従うか!我々アスリートは誰も追従しない!」といった旨のコメントをしたそうです。
体操選手も反応しています。東京オリンピック団体金メダリストのアルトゥール・ダラロヤンは「国際大会に出場したいからといって、祖国を捨てるような行為に誰が及ぶだろうか。提案を受け入れるのは自由だし、個人の選択になる。でも、少なくとも僕たちのチームにそんな人間はいないと言い切れるよ」(引用:「無礼極まりない!」「明らかな脅迫行為」バッハ会長の“戦争不支持→競技復活”発言にロシアの新旧五輪金メダリストたちも猛反発!(THE DIGEST) - Yahoo!ニュース)と似たようなことを言っています。

まぁ、「言わない」というより「言えない」んでしょうけどね。

そして、バッハ会長の発言に反応したのはアスリートだけではありません。
お待たせしました!ロディオネンコさんです!

▼ロディオネンコ氏「エストニアとポーランドはトレンドセッターではない」

ロシア代表チームヘッドコーチのロディオネンコ氏がいつものようにインタビューに答えています。

GYMNOVOSTI:ロディオネンコ氏「エストニアとポーランドはトレンドセッターではない」

バッハ会長の発言に対し、
「もし、トーマス・バッハが提案した条件で競技することが許されるなら、もちろん、我々は拒否するでしょう。私たちには裏切り者はいないのです。」

そして、欧州4国のFIG総会ボイコットについて、
「私たちはこれらの国々に何も期待していない。エストニアもポーランドも体操は弱いしトレンドセッター(流行創造主)にはなり得ない。良好な関係を築いているトルコや中国がボイコットすることはあり得ないだろう」と高をくくっています。

実は、FIG総会がトルコで行われるというのは、ロシア・ベラルーシが参加しやすいようにというFIG側の目論見もあったそうです。
またこれからボイコットする国が増えるのか。ロシア・ベラルーシへのFIGの対応に動きはあるんでしょうか。


画像出典
https://www.instagram.com/p/Ci7rmemNAsX/?utm_source=ig_web_copy_link
https://www.youtube.com/watch?v=NywQZtZPyhI&t=36s
https://www.youtube.com/watch?v=yTWqv6cQSBo

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