Regenerative Finance "ReFi"とは?

ReFiについて、日本での認知度はまだまだで、世界でもまだこれからというものですが、とても斬新で、今後の世の中の仕組みをより良い方向に変えていける可能性を感じたので、私なりにReFiについて纏めてみました。

ReFiとは、Regenerative Financeの略です。

まず、”Regenerative”という聞き慣れない単語ですが、最近は欧州方面(?)を中心に、”Sustainable”の代わりに使われることが増えてきているようです。例えば、旅行関連の事業を立ち上げようとしている友人が、Regenerative Travelと言っていたのを聞くことがありました。個人的な印象ですが、Sustainableは現状維持(若しくは過去の良かった時の状態に戻してキープ)を狙うイメージに対して、Regenerativeは改善して進化していくイメージを持ちます。Sustainableより更に高度な所を目指しているような印象です。

ReFiを一言で言うと、貨幣の仕組みを再設計してお金の流れを変える事で、気候変動・生態系の多様性・地域経済/金融包摂という繋がった課題を一連のものとして解決しよう、という試みです。

「貨幣の仕組みを再設計してお金の流れを変える」という辺りに、スマートコントラクト、programmableといったWeb3 techの工夫が凝らされています。また、ReFiという略語からも想像できるように、Web3.0時代に出現した"DeFi", Decentralized Financeを、技術的な側面も、ビジネスの仕組み的な側面でも、応用したものでもあります。

💡補足
もっと深いWeb3 techの工夫があるようですが、私もTech方面は調査中なので、ここでは省きます。

私の持論ですが、Mission drivenであり、且つTech drivenであるプロジェクトは、難易度が高い反面、取り組む意義が非常に高いと思います。ReFiは、現代のメディアで頻出するような重要な社会課題をMissionに据え、最新のWeb3 techに基づいた工夫を凝らした仕組みを構築しており、ReFiはWeb3 techがあってこそ、現実味を帯びてきたものだと言えると思います。

💡補足
再生経済学/Regenerative economicsは、昔から提唱されているものだそうです。

出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Regenerative_economic_theory

世界に目を向けると、極一部が富を独占する資本主義、独裁的な社会主義、そして一部の軍事政権が終わりの見えなさそうな対立を続けていますが、どの政権下でも極一部が富裕層で、他大多数はジリ貧に向かう中間層と貧困層、という大きな対立軸が益々強まっているように感じます。また、現時点の資本主義は、気候や生態系に良い影響を及ぼす行為に対して、インセンティブを与える設計を上手く作ることができていないと思います。それらの事業者に話を聞くと、「儲からない」「補助金次第」という単語が頻出します。事業者ではなくNPOをよく見かけるのも、資本主義ではカバーしきれないからでしょう。個人的な一例ですが、マイクロプラスチックの出ない洗濯ネットを買いましたが、一つ1,000円でした。これでは全く(資金的に)持続しません。

一方でWeb3.0に目を向けると、個人が主な登場人物となっており、個人へのインセンティブにより小さな経済が回る、新しい仕組みがいくつも発明されて来ています。インセンティブとは、もう少し具体的には、主にポイ活に近い小銭稼ぎ的なものから始まりますが、途中から健康など別の目的意識を持たせて持続性を持たせる絶妙な設計になっているものまで出現して来ており(賛否両論あるのを承知で敢えて書きますがSTEPNを意識しています)、まだ進化の途上です。これからエンタメ領域が先鋒隊として、もっと進化を続けていくと思います(期待も込めて)。また、Web3.0のプロジェクトの特徴として、同じ目的を持った人が集まる強固なコミュニティ形成があります。強固なコミュニティ形成には、例え遊びの目的であっても、Mission drivenであるに越したことはありません。

💡補足
Web3.0のイメージとして、資本主義を更に強めたようにも見える、短期的な投機のような側面も一部あるのは事実です。ReFiでは、そうならないような設計が不可欠です。

ReFiの目指す所は、資本主義でも社会主義でも軍事政権でもなく、世の中をガラッと変えるような新たな経済の仕組みを創り出すことにあると思います。具体的には、世の中のお金の流れを変えることで;

  1. 現在の仕組みにおける貧困層と呼ばれるような人々への金融包摂を行う。

    • 世界に17億人いると言われるNon-bank層を世界経済に取り込む。

  2. 人類の活動による環境・生態系への悪影響”Negative externalities”を解決する為、環境・生態系に良い影響を及ぼすインセンティブを持たせる仕組みの設計を行う。

    • Web3.0の仕組みの一つである"DeFi"を活用し、国/地域によらず同一の価値を持つCrypto currenciesやTokenを流動させる事で、気候変動対策に関心のある個人に金銭的なインセンティブを与える設計。

    • 中央集権的な政府主導ではなく、世界中の個人個人が国境を超えてMission drivenで集まった強固なコミュニティが主導して、社会課題の解決を行うことを目指す仕組み。

    • Carbon吸収や生物多様性を保つ現場(例:南米アマゾン、アフリカ中央部)で、環境に良い行いをすればToken収入を得られる仕組みにより、生きる為に仕方なく環境や生態系を破壊する行為が止まり、むしろ回復する事(Regenerate)に繋がっていく。

  3. 結果、理不尽な不平等が無くなる

    • その結果、犯罪や紛争などが無くなるはず

💡補足
必ずしも金融包摂から始める必要はなく、今動いているプロジェクトは、気候変動対策から始めるというものが多いように思います。

理想はこの通りです。現実はもちろん別で、課題や批判も多いでしょう。本当に必要なのはリアルにCarbonが吸収されるリアルの作業でCryptoなんかで解決できない、グリーンウォッシュではないか、投機マネーを持ち込むな等々。しかし、今の世の中の仕組みのままで良いと思いますか?気候変動対策に補助金を出し続ける事、即ち、自らの税金を政府に預けて、税金を中間業者が持って行っても見て見ぬふりをするままで良いでしょうか?批判する人は何か代案があるのでしょうか?それとも、見たくない現実に蓋をしていませんか?(FactFulnessから一部引用)

私は、ReFiの仕組みがメインストリームになると良いなと信じています。仮に"現時点"のWeb3.0の仕組みではうまくいかなくても、仕組みや技術が進化し続ける事で解決の方法が見つかるとも信じています。


次回以降、もう少しReFiを深掘りしていきます。また、同時にReFi関連の簡単な記事の概要を共有していきます。

自己紹介(初投稿なので)
・バックパッカー:南米、アフリカ、インド、軍事政権化のミャンマー、南欧州など
・エネルギー貯蔵R&D(was)
・Digital techゼロからやり直し中。
・Web3方面に没頭中

参考文献

What is ReFi? Part I — A tour through the climate crypto rabbit hole
ReFiとは? ※What is ReFiの日本語訳(←秀逸)
Medium: Regenerative Finance (ReFi) and Reaching Net Zero
Medium: Regenerative Finance (ReFi)
Not boring: Web3 Use Cases: The Future
Not boring: Celo: Building a Regenerative Economy


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