TAIZO

内部監査のプロとして国内外で20年以上の実務を経験(CIA、CFEを保持)、内部監査の品質向上を軸に、社会的影響、AI活用、リスクアプローチ、人財育成などのテーマに関心あり:読者の皆様と共に学び、成長していくことを目指しています。ご意見やご質問、リクエストを歓迎します!

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内部監査のプロとして国内外で20年以上の実務を経験(CIA、CFEを保持)、内部監査の品質向上を軸に、社会的影響、AI活用、リスクアプローチ、人財育成などのテーマに関心あり:読者の皆様と共に学び、成長していくことを目指しています。ご意見やご質問、リクエストを歓迎します!

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【内部監査Tips】「事実」を正しく扱う:中立的な記録から公正な解釈へ

はじめに内部監査において何らかの不備事象を発見した際には、次のステップとして、「なぜそのような事象が生じたか」と、その原因を探ります。 「根本原因分析」に関する他の投稿記事(※)の中で、私は「事実をありのままに表現すること」の重要性に言及しました。しかし、この点については、より深い解説が必要と考え、本稿のテーマとして取り上げます。 1. 内部監査における「事実」の扱い:二段階アプローチ内部監査プロセスにおける事実の扱いは、以下の二段階に分けて考えることが有効です。 第一

    • 04/15 内部監査という選択:多様な人財が活きる新たなキャリア(第4回)

      内部監査人に求められる基本的な知識とスキル(実践的な観点から) 本連載では、内部監査という職業が持つ可能性や魅力を、私自身の20年以上にわたる経験をもとに、全15回にわたってお伝えしています。 はじめに内部監査の実務で求められる知識やスキルは多岐に渡ります。前回は内部監査人の役割と責任、特に監査リスクについてお伝えしました。 第4回となる今回は、その役割と責任を全うするために必要な具体的な知識とスキルについて、実践的な観点から説明します。この記事を通じて、内部監査人の役割

      • 03/15 内部監査という選択:多様な人財が活きる新たなキャリア(第3回)

        内部監査人の役割と責任 (監査リスクと向き合う) 本連載では、内部監査という職業が持つ可能性や魅力を、私自身の20年以上にわたる経験をもとに、全15回にわたってお伝えしています。 はじめに前回は内部監査の多様な種類と特徴について紹介しました。第3回となる今回は、内部監査人が担う重要な役割と、その責任の重さについてお伝えします。 1. 内部監査人の基本的な役割第1回の「はじめに」では、内部監査は、「組織の価値を向上させることを目的とした、独立的な評価・助言活動です」とお伝え

        • 02/15 内部監査という選択:多様な人財が活きる新たなキャリア(第2回)

          内部監査の種類と特徴 (多様な内部監査の世界) 本連載では、内部監査という職業が持つ可能性や魅力を、私自身の20年以上にわたる経験をもとに、全15回にわたってお伝えしています。 はじめに:内部監査の広がり 第1回は、本シリーズの導入編として、内部監査というキャリアの可能性について、概要をお伝えしました。第2回となる今回は、内部監査にはどのような種類があるのか、その全体像を紹介します。 実は「内部監査」という言葉で表現される活動には、様々な種類があります。それぞれの特徴

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        【内部監査Tips】「事実」を正しく扱う:中立的な記録から公正な解釈へ

        • 04/15 内部監査という選択:多様な人財が活きる新たなキャリア(第4回)

        • 03/15 内部監査という選択:多様な人財が活きる新たなキャリア(第3回)

        • 02/15 内部監査という選択:多様な人財が活きる新たなキャリア(第2回)

          01/15 内部監査という選択:多様な人財が活きる新たなキャリア(第1回)

          本連載では、内部監査という職業が持つ可能性や魅力を、私自身の20年以上にわたる経験をもとに、全15回にわたってお伝えしていきます。 はじめに:内部監査という選択 人生において、職業選択は最も重要な決断の一つです。現代では、多くの人が、それぞれの状況に応じて、自身の適性や価値観を考慮しながら、社会に貢献できる仕事を模索しています。その中で、どのような形で社会と関わり、自分らしく役に立っていくかについては、様々な選択肢があります。 1. 多様な人財が活躍できる分野内部監査は組

          01/15 内部監査という選択:多様な人財が活きる新たなキャリア(第1回)

          内部監査との出会い:偶然から必然へ

          はじめに:内部監査との出会い読者の皆さん(内部監査人を想定)の多くにとって、内部監査業務との出会いは「偶然の巡り合わせ」だったかもしれません。 私自身は、当時の所属先の人事部門が新たに始めた「次世代経営者育成プログラム(3年間)」の一環で、内部監査部門に異動を命じられたことがきっかけでした。その偶然の出会いがキャリアの転換点となり、結果として20年以上にわたり内部監査に携わる道につながりました。 1. 従来の内部監査人像これまでの内部監査人のキャリアパターンは、営業や経理

          内部監査との出会い:偶然から必然へ

          6/6【新任内部監査人・必見!】不正リスクを考慮した監査の実施アプローチ(外部委託先選定プロセス)

          本シリーズは、6回に渡ってお届けしています。今回は最終回となります。 第1回:「リスク評価編」 第2回:「監査計画編」 第3回:「実施手法編」 第4回:「評価・分析編」 第5回:「原因究明編」 第6回:「改善提案編」←今回 第6回:「改善提案編」~ 実効性のある不正リスクの低減策の提案1. はじめに前回は、システム保守契約で確認された以下のような状況について、その構造的要因を分析しました。 特定の委託者への発注集中(年間発注の90%超) 価格の段階的な上昇傾向(年10%

          6/6【新任内部監査人・必見!】不正リスクを考慮した監査の実施アプローチ(外部委託先選定プロセス)

          5/6【新任内部監査人・必見!】不正リスクを考慮した監査の実施アプローチ(外部委託先選定プロセス)

          本シリーズは、6回に渡ってお届けしています。 第1回:「リスク評価編」 第2回:「監査計画編」 第3回:「実施手法編」 第4回:「評価・分析編」 第5回:「原因究明編」←今回 第6回:「改善提案編」 第5回:「原因究明編」~ 不正リスクにつながる構造的な要因を探る1. はじめに第4回では、データ分析に基づく発見事項の評価と不正の兆候判断について解説しました。特にシステム保守契約の事例では、以下のような状況が確認されました。 特定の委託者への発注集中(年間発注の90%超)

          5/6【新任内部監査人・必見!】不正リスクを考慮した監査の実施アプローチ(外部委託先選定プロセス)

          4/6【新任内部監査人・必見!】不正リスクを考慮した監査の実施アプローチ(外部委託先選定プロセス)

          本シリーズは、6回に渡ってお届けしています。 第1回:「リスク評価編」 第2回:「監査計画編」 第3回:「実施手法編」 第4回:「評価・分析編」←今回 第5回:「原因究明編」 第6回:「改善提案編」 第4回:「評価・分析編」~ 不正の兆候を見極める着眼点1. はじめに第3回では、データ分析を活用した効果的な確認・検証方法について解説しました。今回は、その分析結果から不正の兆候を見極めるための着眼点と評価方法について解説します。 具体的には、システム保守契約の事例において実

          4/6【新任内部監査人・必見!】不正リスクを考慮した監査の実施アプローチ(外部委託先選定プロセス)

          3/6【新任内部監査人・必見!】不正リスクを考慮した監査の実施アプローチ(外部委託先選定プロセス)

          本シリーズは、6回に渡ってお届けしています。 第1回:「リスク評価編」 第2回:「監査計画編」 第3回:「実施手法編」←今回 第4回:「評価・分析編」 第5回:「原因究明編」 第6回:「改善提案編」 第3回:「実施手法編」~ データ分析を活用した効果的な確認・検証1. はじめに第1回では外部委託先選定プロセスのリスク評価、第2回ではそれを踏まえた監査手続の作成について解説しました。 前回作成した監査手続では、以下のような不正リスクへの対応を計画しています。 表1. 監査手

          3/6【新任内部監査人・必見!】不正リスクを考慮した監査の実施アプローチ(外部委託先選定プロセス)

          2/6【新任内部監査人・必見!】不正リスクを考慮した監査の実施アプローチ(外部委託先選定プロセス)

          本シリーズは、6回に渡ってお届けしています。 第1回:「リスク評価編」 第2回:「監査計画編」←今回 第3回:「実施手法編」 第4回:「評価・分析編」 第5回:「原因究明編」 第6回:「改善提案編」 第2回:「監査計画編」~ 不正リスクを組み込んだ監査手続1. はじめに前回は、システム保守契約を例に、通常の視点と不正リスクの視点でのリスク評価の違いを解説しました。 表1. リスク評価の具体例(システム保守契約)(第1回表5.からの”再掲”) 今回の記事では、不正リスクの

          2/6【新任内部監査人・必見!】不正リスクを考慮した監査の実施アプローチ(外部委託先選定プロセス)

          1/6【新任内部監査人・必見!】不正リスクを考慮した監査の実施アプローチ(外部委託先選定プロセス)

          本シリーズは、6回に渡ってお届けしています。 第1回:「リスク評価編」←今回 第2回:「監査計画編」 第3回:「実施手法編」 第4回:「評価・分析編」 第5回:「原因究明編」 第6回:「改善提案編」 第1回:「リスク評価編」~ 通常の視点と不正リスクの視点との違い1. はじめに内部監査においてリスク評価は、限られた監査資源を効果的に配分するための重要なステップです。特に外部委託先の選定プロセスを対象とした監査では、通常の業務リスクの視点(通常の視点)に加えて不正リスクの視点

          1/6【新任内部監査人・必見!】不正リスクを考慮した監査の実施アプローチ(外部委託先選定プロセス)

          0/6(予告編)【新任内部監査人・必見!】不正リスクを考慮した監査の実施アプローチ(外部委託先選定プロセス)

          本シリーズは、明日以降、6回に渡ってお届けします。 背景と目的昨今、外部委託先との取引は、個別契約や例外処理などを通じて不正の温床となりやすい領域として監査テーマに選定されるケースも多く見られます。 本シリーズでは、なかでも「不正リスク」が比較的高い「外部委託先の選定プロセス」を例に取り上げて、「不正リスク」の視点を通常の監査手続にどのように組み込むべきか、その具体的な方法を解説します。 各回の構成第1回:「リスク評価編」      ~ 通常の視点と不正リスクの視点と

          0/6(予告編)【新任内部監査人・必見!】不正リスクを考慮した監査の実施アプローチ(外部委託先選定プロセス)

          3/3【新任内部監査人「必見!」】監査調書が果たす使命:その時、あなたならどう説明しますか?

          ※3回シリーズでお届けしています。今回は最終回です。 (なお、1.2.3.4.は、フィクションです) 1. はじめに:ある月曜日の出来事1/3【新任内部監査人「必見!」】監査調書が果たす使命:その時、あなたならどう説明しますか?|TAIZO 2. 先輩の言葉を思い出す3. 監査計画および監査調書と向き合う3/3【新任内部監査人「必見!」】監査調書が果たす使命:その時、あなたならどう説明しますか? | 記事編集 | note 4. 監査調書が果たす使命監査調書は単なる記録

          3/3【新任内部監査人「必見!」】監査調書が果たす使命:その時、あなたならどう説明しますか?

          2/3【新任内部監査人「必見!」】監査調書が果たす使命:その時、あなたならどう説明しますか?

          ※3回シリーズでお届けしています。今回は第2回です。 (なお、1.2.3.4.は、フィクションです) 1. はじめに:ある月曜日の出来事1/3【新任内部監査人「必見!」】監査調書が果たす使命:その時、あなたならどう説明しますか?|TAIZO 2. 先輩の言葉を思い出すA 監査主任は急いで保管キャビネットから半年前の監査ファイルを取り出した。ちょうどその時、監査を始めて間もない頃に聞いた、監査部門の先輩からの言葉がふと頭をよぎった。 「監査調書では、『実施したこと』と『実

          2/3【新任内部監査人「必見!」】監査調書が果たす使命:その時、あなたならどう説明しますか?

          1/3【新任内部監査人「必見!」】監査調書が果たす使命:その時、あなたならどう説明しますか?

          ※3回シリーズでお届けします。今回は第1回です。 (なお、1.2.3.4.は、フィクションです) 1. はじめに:ある月曜日の出来事 【内部監査部門オフィスでの会話】 ■S副部門長: 「おはようございます。Aさん、ちょっといいですか?」(表情はいつもと違い、少し険しい) 「先週末に一斉メールで配信された『社内の事故報告』はもうチェックされていますか?」 ▼A監査主任: 「あ、はい、いいえ、これからです。」 ■S副部門長: 「営業部のコンプライアンス違反が事故報告に出てい

          1/3【新任内部監査人「必見!」】監査調書が果たす使命:その時、あなたならどう説明しますか?