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TRPG制作日記(503) 常識に反した特殊ルールを考える

現代稲生物怪録TRPGは屋敷からの脱出を目指す対話型ゲームです。プレイヤーは高校生を演じながら、屋敷から脱出するために妖怪が隠している銀の鍵を探します。

ある朝、四人の高校生が目を覚ますと洋館の正面広間にいた。広間にはスリコギ手と名乗る着物姿の娘がいて、明日の二十四時までに銀の鍵を手に入れることができなかった場合は全員を妖怪館に永遠に閉じ込められると伝えた。銀の鍵は洋館にいる妖怪が盗んだ可能性が高いようだ。また、銀の鍵を手に入れるために、補佐として妖怪が封じられたカードをそれぞれの高校生に渡していると教えてくれた。確認すると、確かに六枚ずつカードが配られている。さあ、高校生達は無事に銀の鍵を手に入れて妖怪たちの暮らす洋館から脱出することができるのだろうか?

現代稲生物怪録TRPG


ゲームには常識と常識とは異なる特殊ルールが含まれています。特殊ルールには以下の基本事項があります。

空間・対象の限定

時間制限

行動の禁止・強制

ゲームにはどこでも誰でも存在するのではなくて、限定された空間と人物により構成されます。

たとえば、学園ゲームなら空間は学園、人物は教師と生徒に限定されます。

また、時間制限があったり、できることやできないことが設定されている場合がほとんどです。


これらは一般世界においてもなりたち、私達は普通、現実という空間、人間という人物にしか会うことはありませんし、時間は人生という有限の長さに拘束されていて、物理法則に束縛されて倫理と法律により規範が明確に定められています(自由も一つの規範です)。

しかし、ゲームには、これらの私達の誰もが共有している常識に加えてゲーム特有の常識、特殊ルールが存在します。そして、この特殊ルールがゲームを面白くします(特殊ルールに面白さを感じず、普遍的な一般ルール、常識に興味がある人は素直に学問をやりましょう!)。


特殊ルールはキャラクター型と環境型に分けることもできます。

鶴姫が機織りをしているときに、絶対に除いてはいけないというのは鶴姫というキャラクターが持つ特殊ルールです。そして、この特殊ルールは鶴姫の正体が鶴であることにより生じます(人間の正体は鶴ではなく、すべての鶴が人間に化けることができるわけではないので、これは鶴姫というキャラクター固有の特殊ルールになります)。


また、無人島で自分以外を殺さないと日本に戻れないのは、その無人島が持つ固有ルールになります。人を殺さないと脱出できない無人島は、もはや普通の無人島ではありません。


文学用語で表現するならば、

一般ルールは「本質」に関係して、

特殊ルールは「実存」に関係しています。

つまり、特殊ルールは私、彼、彼女、あれ、これ、それなどの代名詞により示すことができる対象のみに適応されるルールのことです(基本的人権の尊重は誰もに適応されて、ゲームの特殊ルールはゲーム参加者にしか適応されません。)。


普通、特殊ルールは人物と環境の複合により生成します。

現代稲生物怪録TRPGでは、妖怪世界に閉じ込められた高校生達は妖怪世界において仲間の妖怪を召喚できるようになります。

また、銀の鍵を隠している犯人は、「銀の鍵を持っている」という特殊な特性を持っています。この特性があるからこそ、犯人の妖怪を探すことが使命になるのです。



今日は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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